インカレ連覇の鍵を握る世代屈指のスコアラー・小川瑛次郎(白鴎大学)が語る、大学バスケットの魅力
スポーツ インタビュー連載コラム
2026.10.20
リーグ戦も終盤を迎え、年末のインカレ(全日本大学バスケットボール選手権大会)に向け熾烈(しれつ)な戦いが繰り広げられている。昨年は白鴎大学が関東大学リーグ戦3位からのインカレ優勝と大躍進。当時2年生の小川瑛次郎選手は決勝戦で14得点をあげ、優勝に大きく貢献した。そんな小川選手にインカレ連覇のポイントと、大学バスケットのおもしろさなどを聞いた。

――白鴎大学に進学して3年目。バスケットボール部ではどんなことを学んでいますか?
「白鴎大学は伝統的にディフェンスのチームですが、オフェンスは組織的に展開していて、プロチームのバスケットに似ています。そうしたシステムの中で個々がどう工夫してプレーするかが毎日勉強になります」
――その中で小川選手が求められていることは?
「得点を取ることです。もちろん自分が取りに行くことで周りにもチャンスが生まれるので、みんなの動きを見ながらチームが勝つための最善の行動を心がけています」
――実際の試合でも、ゴールに向かって攻めながら無理にシュートを狙うのではなく、状況に応じてよりチャンスのある味方にパスを出していました。
「そうですね。最終的には誰かが脇役になる必要があると思うんです。5人全員が主役になろうとしたらボールが足りません(笑)。誰かが脇役となり、チームを勝たせることも大事だと思っています。自分はチームが勝つために何が必要かを常に考えていて、内藤(晴樹)さんや八重樫(ショーン龍)さん(ともに4年生)ら、得点力のある選手は他にもいるので、自分がスペースを作って、パスで得点に貢献したいと思っています」

――小川選手と言えば、高校時代を含めて2度、特別指定選手としてB.LEAGUEでもプレーしています。さらに昨シーズンはスタメンで出場した試合もあります。プロと学生の違いをどのあたりに感じましたか?
「やはりひとつひとつのスクリーンの強度やパスの強さはまったく違います。シューターの自分からすると、B.LEAGUEの選手は体が大きい分、1つの動作で全体に大きなズレが生まれます。そういった中で伸び伸びとプレーさせてもらって、純粋に楽しかったです。でもさすがにスタメンで起用されたことにはびっくりしました。試合当日に言われたので...(笑)」
――しかしその日、小川選手は19得点を取っています。結果が残せた要因は?
「あのときはコーチもチームメイトも、大学生の自分をすごく信頼してくれて『シュートを打て』と何度も言われていたんです。それがうれしいというか、その期待に応えなきゃと思えたので、それが結果につながったんだと思います」
――高校生の時から年代別の日本代表にも選出されています。小川選手の日本代表に対する思いをお聞かせください。
「やはり国を背負って戦うことは、多くの人から注目される立場なので、大きな責任が伴いますし、選ばれたからには自分も日本のために頑張りたいと思います。もちろん自分のアピールの場にもなるので、とても貴重な場所だと思っています」
――現在の日本代表(A代表)には同級生の川島悠翔(ゆうと)選手や、1つ下のジェイコブス晶選手が入っています。同世代の彼らの活躍をどのように思っていますか?
「同じカテゴリーの日本代表として一緒に戦っていた仲間が、日本代表(A代表)としてプレーしているのはうれしい反面、悔しい思いもあります。自分は誰にも負けたくないですし、いつかまた同じコートでプレーできるように、自分も這い上がっていきたいです」

――這い上がるためにも白鴎大学でのプレーは重要になります。今年の白鴎大学はどんなチームですか?
「個々の能力は高いと思います。今はそれをチームとして合わせていくことに取り組んでいて、リーグ戦を通して、インカレに照準を合わせられたらなと思います」
――昨年、インカレで優勝できた要因は?
「昨年はインカレに至るまでの大会でひとつもタイトルが取れませんでした。インカレにチャレンジャーとして臨み、チームが一丸になれたことが要因だと思います」
――昨年のインカレで小川選手は、決勝戦で3ポイントシュート4本を含む14得点と大活躍でした。
「昨年はリーグ戦に全然出られなくて、悔しい思いをしました。だからこそインカレでは『俺がいないとチームは勝てない』とプレーで示したかったんです。シュートをすべて決めてやるという、強いイメージを持って打てたことが結果につながったと思います」
――今年のインカレで連覇するためのポイントは?
「自分たちにしか連覇するチャンスはないので、自分たちの強みが何なのかを理解すること。もちろんコーチの指示も聞きますが、最終的にはコートに出ている選手が決断するしかありません。支えてくれる人たちの思いにも応えようとすることで、より強くなれると思います」

――ライバルになりそうなチーム、あるいは選手はいますか?
「ライバルと意識する選手はあまりいないんですけど、東海大は今年に限らず、白鴎大にとってのライバルです。インカレでは自分たちが勝って終わりたいです」
――大学バスケットのおもしろさはどこにあると思いますか?
「さまざまな高校のエース級が集まったチームがあったり、高校時代には無名だった選手が頭角を現すなど、高校バスケットにはない楽しさがあります。一方でプロにはない若々しさもあって、そこが大学バスケットの面白さです。ぜひインカレに足を運んでもらい、盛り上げていただきたいです!」
――その中で「小川瑛次郎のココを見て!」はどこですか?
「自分というより白鴎大学に注目してほしいです。自分自身はホームよりアウェイのほうが好きというか、たとえば相手チームのファンにあおられたほうが燃えて、良いパフォーマンスができるので、アンチの視線で見てほしいですね(笑)」
――頼もしい。では最後にインカレに向けた意気込みをお願いします。
「インカレは4年生にとって最後の大会ですし、その4年生がいい形で終われるように、自分たち3年生以下も頑張りたいと思います。個人的には昨年、インカレでプレーしたことがすごく楽しかったので、またあの舞台で自分たちが優勝できるように、これからもっと頑張っていきたいです」

【パーソナルINFO】
地元のプロチーム、秋田ノーザンハピネッツの試合を小学生の時に見て、バスケットボールを始めました。これまでに2度、特別指定選手としてB.LEAGUEを経験し、昨年は8試合に出場、うち1試合はスタメンで起用してもらいました。最近のオフはもっぱらディズニー映画を見ています。最近見たのは「リメンバー・ミー」。趣味はスニーカー収集で、今は70足くらい持っています。
【プロフィール】
'05年10月1日生まれ。秋田県出身。城南中学/秋田ノーザンハピネッツU15→羽黒高校→白鴎大学。187㎝/85kg。ポジションはSF。U17ワールドカップでは3ポイント部門で大会トップを記録。
取材・文/三上太 写真/宮崎雄亮



