ありそうで無かった"トリック返し"!?それに翻弄される広瀬アリス 「探偵が早すぎる」【小虎・りょう】
国内ドラマ 連載コラム
2025.05.24

よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
【プロフィール】
りょう(小虎)
1995年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。NSC東京校24期生。2019年に福井祐樹ともに小虎を結成。学生時代からのドラマ好きが高じて、「よしもとドラマ部」の一員としても活躍中。
探偵ドラマ? 謎解き? トリック? ミステリー?
ドラマのジャンルが数多くある中で、このような作品を好む人は多くいるだろう。しかしこのドラマは、ありそうで実は無かった、まったく新しいドラマなので、そこから紹介していきたい。
当初、タイトルにもある"探偵"という言葉から考察系などを想像しましたが、深く考えることは不要です。本当に"探偵"が"早すぎる"のです。
頭空っぽで見てください。ドラマの1番良いところ、"非日常"に飛び込むことができます。このドラマを見ている間だけ、全部忘れてください。もう一度言います。"早すぎる"のです。
「探偵が早すぎる」(C)井上真偽・講談社/読売テレビ
あらすじ
大学生の一華(広瀬アリス)は、家政婦の橋田(水野美紀)と二人暮らしをしていたが、実父の死に伴って、5兆円という莫大な資産を相続する。本家の大陀羅(だいだら)一族はその遺産を狙い、一華を事故死に見せかけるため、いろいろなトリックを用いて殺害しようと試みる。橋田は一華の命を守るため、「早すぎる探偵」千曲川(滝藤賢一)を雇う。千曲川は、犯人の殺人トリックをトリックで仕返しする「トリック返し」により、事件が起こる前に解決する極めて特殊な探偵であった。
このコラムを書くにあたって、ドラマはもちろん、原作も読ませていただきました。原作のトリックをドラマで忠実に再現しているのだな、という印象です。
謎解きドラマの多くは、伏線が散りばめてあって、視聴者が考察をして、そこに時間をかけたりするものなのですが、このドラマは、すべての伏線を最後に千曲川が教えてくれて、気持ちの良い終わらせ方をしてくれます。
なんなら少しずるいです。いや、だいぶずるいです。しかしそこに千曲川の信念のようなものが見え隠れするので、最後は納得させてしまう。
ずるいのに説得力がある、まったく新しいドラマだなと感じました。
「探偵が早すぎる」(C)井上真偽・講談社/読売テレビ
初めて見る方へ
前述で、ひたすら見やすいことを説明しましたが、このドラマはそんなところばかりではありません。
たまにドラマや映画を見ていて、まったく気付かなかった仲間が悪役だったり、絶対に最後まで戦ってくれると思っていた仲間が亡くなったりと、一杯食わされる瞬間があるじゃないですか。このドラマも6話とかすごいですよ。油断させておいて、パターンがまったく読めなくなるんです。
そして、このドラマにおける緩急みたいなものを強くしてくれているのが、一華を演じる広瀬アリスさんです。コメディーパートとシリアスパートの使い分けの緩急ではなく、全てに全力の広瀬アリスをぶつけることによって、ドラマ自体をとても見やすくしています。
橋田を演じる水野美紀さんと千曲川を演じる滝藤賢一さんと広瀬さんの3人で、会話劇を繰り広げる場面が多くあります。そこの心地良さがすばらしいです。"コメディエンヌ・広瀬アリス"をすごく浴びている感覚がします。
あと、どんなにゆるっとしたシーンでも、片平なぎささんが居ると締まり方がとんでもないです。画面越しに覇王色って出せるんですね。
さらに、ゲストや登場人物を増やすことによって展開を進めるのではなく、会話や初期設定の範囲から物語を膨らませているところなども、とても気持ちが良いです。
「探偵が早すぎる」(C)井上真偽・講談社/読売テレビ
まとめ
最初に言った通り、頭空っぽで見られます。僕は見始めて、気付いたら見終わっていて、気付いたら生活しながらまた見ていました。season1の内容ならほぼ全部覚えています。ちょうどこのドラマを見始めたとき、日常生活に嫌気が差しまくっていました。やっぱり音が心地良すぎます。皆さんも見終わった後、「あれ?終わっちゃった?えーどーしよ!」ってなると思います。(僕はなりました)
しかし、喜んでください。season2、SP版、Huluオリジナルチェインストーリーなど、まだまだ楽しめます。
もう分かりますね?
このドラマ一生続けられます。「釣りバカ日誌」みたいになります。一華と千曲川のタッグがハマちゃんとスーさんみたいになります。
最後に、「探偵が早すぎる」に一貫していることは、必ず悪が淘汰されることです。正義が必ず勝ちます。間違いを犯したり、悪に手を染めた者に千曲川はまったく容赦しません。信念をはっきり貫いています。もしかしたら"早すぎる"部分よりも、このドラマの根幹はそこかもしれません。聖書から来ている決めぜりふもそこが強調されています。
「神のものは神に、カエサルのものはカエサルに。トリック返し」
皆さんも返せるものなら返してみてください!