西島秀俊の天然天才は最強! 「さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜」【小虎・りょう】
国内ドラマ 連載コラム
2025.04.25

よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
【プロフィール】
りょう(小虎)
1995年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。NSC東京校24期生。2019年に福井祐樹ともに小虎を結成。学生時代からのドラマ好きが高じて、「よしもとドラマ部」の一員としても活躍中。
楽器はできないけど、オーケストラを扱ったドラマが好きで、よく見ている。ドラマなら「のだめカンタービレ(CX)」、映画なら『マエストロ!』など。そのたびにメインの楽器の方ではなく、"マエストロ(指揮者)"にスポットライトが当たることが多い。子供ながらにそれはなぜか考えたことがあるが、答えが出ないままこの作品に出会った。答えが分かった。
"才能"とか"指揮者としての腕"とかではなく、こんなにも周り全てに目を配り、"指揮をすることの意味"を表現しているドラマは初めて見た。指揮者という職業から伝わる、音楽以外、オーケストラ以外を描いたヒューマンストーリーに落とし込まれている。
このコラムのおかげでこのドラマに出会えて良かった。皆さんに心から推したいので最後まで読んでください!
あらすじ
5年前、指揮者・夏目俊平(西島秀俊)は音楽の街・ウィーンで指揮台に立ち、聴衆を大いに沸かせた。しかし、俊平はその時、知る由もなかった。娘・響(芦田愛菜)に最悪なことが起きていたことを。
5年後の2023年、秋。俊平は指揮者を辞めて、一人きりでウィーンの街にいた。家族は、彼の元を去っていったのだ。そんな俊平のもとに、日本にいる志帆(石田ゆり子)から5年ぶりに連絡が入る。画家の志帆にフランスで仕事が入ったため、日本で子どもたちの面倒を見て欲しいと言う。
かくして、俊平は20年ぶりに帰国。しかし、響は俊平と目を合わせようともしない。おまけに音楽以外の能力がゼロの俊平は、家事が一切できない。そんな状態の中、父子3人の気まずい生活が始まる。
(C) TBS
このドラマにおいてとても重要な西島秀俊の天然
20年ぶりに帰国し、5年ぶりに会う成長した娘の地雷を踏み倒す、天然・夏目俊平(西島秀俊)。視聴者視点でも西島さんでなかったらシンプルにイラっとするシーンは多々ある。ただ西島さんが演じると、どのシーンも"哀愁"と"愛情"が感じられ『分かるよ〜』となってしまうのはなぜだろうか?そもそも西島秀俊という役者はなぜこんなにも天然が似合うのだろうか。
前回コラムを書かせてもらった、「ユニコーンに乗って」で演じた小鳥さんも完全にそうだ。独特な綺麗な声と出立ちはもちろん。"天然"な夏目俊平が、かわいらしく子供のように語る音楽の話。家族や仲間に優しく熱く接し、奮闘する姿。
そんな、役者・西島秀俊の"天然"にこちらは惹きつけられ、よりこのドラマの魅力が深まっているのだろう。
意外な出演者たち...?
脇を固める個性的な晴見フィルのメンバーに、役者さんはもちろん、お笑い芸人がいたりする。
人力舎の男女コンビ、ふぁのシャープ・わたなべオーケストラさんが、晴見フィルハーモニーのオーボエ奏者としてレギュラー出演している。わたなべさんとはライブでそこそこ会うのでお話を聞いたら、シンプルにオーディションで受かったらしい。オーディションで楽器を演奏して、日曜劇場に出られたと喜んでいらっしゃった。
他にもモグライダーの芝さんや、忘れる。(※2025年1月解散)さん、チャンス大城さんなどが出ていたり、絶妙にお笑いファンが喜ぶ面々が出ている。こういった制作陣の遊び心も視聴者はうれしい。
ちなみにわたなべオーケストラさんのオススメの回は第8楽章『親子の愛のカタチ』だそうだ。1番好きな回なのに自分が出ていないと落ち込んでいらっしゃった。
確かに第8楽章の親子回は非常に良かった。俊平と父・行彦(柄本明)の親子の話と、俊平に音楽を教えてくれたシュナイダー先生との関係性、谷崎天音(當真あみ)の親子の話。
全ての繋がりについてクローズアップしている回で、俊平以外のハッピーエンドの最終回と言っても過言ではないと思う。
(C) TBS
まとめ
僕は個人的に第2楽章がとても好きです。晴見フィルの仲間が一気に3人も増えて、みんなに俊平が寄り添い、理想のオーケストラになっていく形が堪らなかった。
一人一人のバックボーンがコンパクトにまとまっていて、感情移入しやすく、一つ一つの物語をゆっくり解決していくのを見届けられる。
あと、何より、響への見方が最後のせりふ『うまいんかい』の所でよく分かる。『あ、ちゃんとパパのこと好きじゃん』とよく分かる。
そこに主題歌のアイナ・ジ・エンド『宝者』が流れて、さらにグッと来る。
最終楽章まで全て見て、少し寂しい気持ちになったのもまた事実。それだけ入れ込んだのだと思う。このドラマを心が弱ってる時にもう一度見たくなるだろうなと思った。とりあえず全てのことにおいて、諦める必要はありません。何か壁にぶつかった時このドラマを見てください。
"取り返しのつかないこと"はたくさんあるけど、"取り返しに行く"のもアリかもしれません。
アパッシオナート!