笠松将が後藤恵介役で得たものを告白「片山慎三監督と柳楽さんのせいですから、責任取ってほしいです」
国内ドラマ 独占配信インタビュー
2025.03.19
ドラマ『ガンニバル』のシーズン2が、3月19日(水)よりディズニープラス「スター」で独占配信される。
同ドラマは、累計発行部数400万部を超える二宮正明の同名ベストセラーコミックをディズニープラス「スター」の日本発オリジナル・ドラマシリーズとして実写化した戦慄のヴィレッジ・サイコスリラーで、この世の最大のタブーである禁断のテーマ「人喰い」を扱い、心理ドラマ、ミステリー、サスペンス、アクションをこの上なく濃密かつダイナミックに融合させた、日本発コンテンツの次元を更新した新しいエンターテインメント作品だ。
2022年に配信された全7話のシーズン1では、日本ののどかな原風景が広がる供花村(くげむら)に駐在として赴任してきた警察官・阿川大悟(柳楽優弥)が、閉鎖的な村に渦巻く"人が喰われている"という衝撃的な噂の真相を探るうちに、絶対的な権力で村人たちを支配する後藤家と激しく対立していくさまが描かれた。そして、真相を暴こうとする大悟が突き止めた"ある儀式"が行われる村祭りの前夜を背景にした最終話は、大悟が重大な真実に迫った瞬間で幕を閉じ、SNSではシーズン2の製作、完成を待ちわびるファンの声が飛び交った。多くのファンの期待に応えて製作された物語の完結編となる全8話のシーズン2では、主演の柳楽をはじめ、笠松将や吉岡里帆ら豪華キャストが再集結し、前シーズンに張り巡らされたあらゆる伏線が回収され、幾多の謎の真相が明らかになる。
村の一大行事である奉納祭の陰で人が喰われている噂を探り出そうとした大悟は、後藤家の人々が「あの人」と神のように崇める正体不明の大男(澤井一希)に再び襲われ、森の中へ逃走。一方、後藤家の新たな当主に就いた恵介(笠松)は、弟・洋介(杉田雷麟)にある疑いがかかり、苦境に立たされてしまう。真相を解く全ての鍵は、呪われた一族・後藤家の過去にあった。
今回、物語のキーマンである後藤恵介を演じる笠松にインタビューを行い、シーズン1の反響やシーズン2の見どころ、演じる上で苦労した点、撮影中の思い出などを語ってもらった。
――シーズン1の反響はいかがでしたか?
「すごく盛り上がっているという話は聞いていました。特に芸人さんたちがすごく楽しんで見てくれたみたいで、たくさん連絡をくれたり、SNSやテレビを通じて作品の話をしてくれる中で僕の名前も出していただいて、『そんな話題になる作品に出させてもらったんだ』と喜びました」
――ファン待望のシーズン2がついに配信開始となります。シーズン2の見どころは?
「制作陣の狂気的なまでのクオリティーの追求ですね。アクションシーンと心情を描く部分の対比というか、ずっとドキドキワクワクさせてくれて、ずっとジーンと何かを心に残してくれるという、ひと息もつかせてくれないその繰り返しが、作品の大きな魅力になっていると思います」
――シーズン1からさらに1、2段階パワーアップしたアクションが展開されますよね。
「いやぁ、僕も大変そうだなって思いながら見てましたね(笑)。本当にすごいなって。後藤家でのアクションシーンでいうと、もうこだわりがすご過ぎて『なんだこれ!?』って笑っちゃうくらいすごい! だからこそ出演者の一人として自信がありますし、ぜひアクションシーンにも注目していただきたいです」
――2シーズンを通して後藤恵介を演じた感想は?
「登場人物の中で、恵介が一番"普通の人"というか、『価値観としては、一番ニュートラルにある』と思って演じていましたし、今でもそう思います。すごく自分に近い役なんですよね。だから、演じていてとても難しかったし(心も)重かったけど、『自分が演じられてよかったな』って思います」
――一番苦労したところは?
「劇中の出来事において、"どの部分が自分自身(恵介)が仕掛けたことで、どの部分が不慮の事故なのか"だったり、"自分が話していることは、本心なのか、嘘なのか"というところは、撮影前に時間を作ってもらって監督とプロデューサーとめちゃくちゃ詰めて整理しました。(台本や原作など)完成物として読めば、それなりにするっと面白く読めるんですけど、(シーンごとに)いざ演じるとなると分からないんですよ。撮影でも、『次のシーンがどこにつながるのか』を結構細かく把握しながら演じるのは大変でした」
――シーズン1の時からシーズン2で明かされる恵介の抱えているものを念頭に置いて演じられていたのですか?
「そうですね。シーズン1の時はシーズン2を製作するのかは決まっていなかったので、見てくださる方々がたくさん応援してくれたおかげでシーズン2ができたんですけど、その部分においては"原作が完結している"というのがありがたかったですね。原作というものを(芝居の核として)真ん中に置いて脚本と向き合うことができて、『原作という切符があって、脚本という時刻表があった』という感じで、すごく助けられました」
――今回の恵介という役を通して、役者として得たものは?
「片山慎三監督や柳楽さんを見ていると、物作りに対してとても真摯で、本気でこだわっているんですよ。それって一緒にやっていてすごく気持ちがいいものだし、そこまで一生懸命やったものがちゃんと評価されるって、何とも言えない成功体験なんです。一生懸命やらなくても評価されるものもあるし、一生懸命やっても評価されないものもある。でも、この作品に携わらせてもらって、『何かやるなら、やっぱり本気でやりたいな』と。逆に、『これからは、本気で取り組めないチームとは、どれだけのものを用意されてもやらない』というのが、僕の中で決まってしまいました。そういう熱のある作品が重なったというのもあるんですけど、"舌が肥えちゃった"というか、『もう適当な、愛のこもっていないご飯は食べられなくなっちゃった』みたいな。これはもう片山さんと柳楽さんのせいですから、責任取ってほしいです」
――撮影中の印象的な出来事や思い出は?
「クランクアップの日の撮影が、大悟と恵介がただ洞窟内を歩くだけのシーンだったんですけど、その時に片山さんから『歩いている時に、何でもいいから会話してくれ』という演出があって、3人でいろいろ考えていろんなパターンを撮ったんです。そんな中で、柳楽さんが『この時間がすごく幸せだ。僕と笠松くんという、この日本を代表する2人の俳優が片山監督の演出で今芝居できているというのが、最っ高の瞬間なんだ』って言ってくれて、その時に『僕もその中に入れてくれるんだ』ってめちゃくちゃうれしかったんです。
その後、出来上がった作品を見たら、その会話の部分が全部カットされてるんですよ! 本当に片山さんって狂気的なんです。あそこの"エモ"をどこに捨てたんだ、っていう......(苦笑)。普通は残したいじゃないですか? 『ここのシーンで柳楽さんがこんなこと言ってくれたなぁ』とか考えたら。あれだけ歩いて、あれだけ時間かけて、あれだけ演出したのに、バッサリいくっていう。......たまらないですね!」
――柳楽さんの印象は?
「もう柳楽さんには感謝しかないです。この作品が高いレベルのものになったのは、片山さんの無理難題を当たり前のようにやってのけた柳楽さんがいたからで、それに僕らが必死に食らいついていったという感じでしたから。柳楽さんって、重いシーンとか辛気臭くなってしまうようなところをエンターテインメントに昇華する能力がすごくて、気持ちが落ちてしまいそうなところでも観てる側がクスっと笑えたり、『行け、行け!』っていうマインドにさせる能力が高いと感じました。そして、狂気的な部分がグッと尖っているからこそ、"優しさ"との振り幅が大きくて......。一緒にやらせていただいていて心強くて本当に頼りになる存在でした。また一緒にお仕事したいし、そのために自分も頑張りたいなって思わせてくれる数少ない俳優の一人です」
――供花村の人々は過去や風習に縛られて生きていますが、ご自身が"縛られて"いるものは?
「僕は(休日などは)基本的に家にいることが多いんですけど、それは2匹のネコがいるからなんです。もうこいつらのことが好き過ぎて、こいつら中心の生活になっていて。 "縛られて"いますね」
――最後に視聴者の方々にメッセージをお願いします。
「全てがパワーアップして帰ってきたので、本当に期待を裏切らないものになっています! ぜひ楽しみにしていただいて、見ていただいて、たくさん考察して、盛り上がっていただければいいなと思います」
取材・文/原田 健 撮影/中川容邦