「アンメット」が切り開いた新しいドラマの道! 「アンメット ある脳外科医の日記」【夫婦のじかん・大貫さん】
国内ドラマ 連載コラム
2024.10.02
よしもとドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は宮地ケンスケ・福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
よしもとドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は宮地ケンスケ・福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
<プロフィール>
大貫さん(夫婦のじかん)
1981年7月8日生まれ、栃木県出身。NSC東京11期生。タカダ・コーポレーションを経て2016年に旦那の山西章博と「夫婦のじかん」というお笑いコンビを結成。普段は芸人として活動しているが、漫画家やイラストレーターとしても活躍中。コミックエッセイ「母ハハハ!」発売中。第35回フジテレビヤングシナリオ大賞最終。
「アンメット」の第1話を見終わったとき、「え、待って、やばい。今期マイベスト来た、やば」と、語彙力皆無な一言が思わず飛び出してしまうくらい、ちょっと感動してしまいました。あの空気感を説明するのはなかなか難しく、とにかく見ていただくことが一番だとは思うのですが、良い意味でドラマのテンポ感、空気感ではなく、普段私たちが生活している空間のそれに近いのです。わかりやすい言葉で言ってしまえば、「リアルな雰囲気」。しかし、そんな言葉で説明してしまうのはもったいないような、素晴らしい空気感がこのドラマにはあるのです。
杉咲花さん演じる川内ミヤビは、事故で脳を損傷したため記憶障害になり、過去2年間の記憶を失い、新しい記憶も1日しかもたないという脳外科医。若葉竜也さん演じる風変わりな脳外科医・三瓶友治や井浦新さん演じる脳神経外科の教授・大迫紘一、千葉雄大さん演じる救急部長の星前宏太など、さまざまな人との交流の中で、どのように日々を送り、自分らしく生きていくのか。そしてミヤビの失われた記憶とは...?というようなストーリーなのですが、一見リアリティが無さそうな設定なのにものすごいリアリティなのです。それもそのはず、原作は漫画なのですが、原案・原作の子鹿ゆずるさんは元脳外科医。実際の現場で見てこられたさまざまな脳の病気、またその後遺症などが、リアルな視点で描かれています。
とにもかくにも、杉咲花さんが!素晴らしいんです!そばかすが見えるくらい薄いメイクで撮影に臨み、それが「アンメット」の世界観をますますリアルにしていて、Xのトレンドに「#そばかす」というワードが入るほど。ひと昔前ですと、顔を洗ってもお風呂から上がってもメイクばっちりということも当たり前だったりしたので、むしろそのウォータープルーフのメイク用品を教えて欲しい!と、関係の無いことが気になっていたりしました。最近では徐々にこの辺もリアルな感じになってきてはいますが、その中でも特にこの作品はリアリティがあったと感じました。私も時々ちょい役でドラマに出演させていただくのですが、毎回毎回、俳優の皆さんは本当に美しいです。メイクをしなくてもそのままの素材が美しく、メイクも本当に薄いんですよね。SNSで「芸能人風メイク動画」のようなものを何時間も見続けていた時間を返して欲しいと思うほどに...。
話は少しそれましたが、第2話で杉咲さんとサッカー部員役の島村龍乃介さんが泥だらけでサッカーボールをパスし合うシーンがあるのですが、そのシーンはリアルに数十分、本当にボールをパスしていたそうです。そこから、島村さんの気持ちが高まるシーンにつながるのですが、このシーンも「アンメット」に引き込まれたきっかけの一つになっています。毎話引き込まれるシーンがあり、演者の皆さん、スタッフの皆さんが丁寧に作られている賜物なのだなと感じました。
そして若葉竜也さんの三瓶先生が、三瓶先生以上に三瓶先生なんです!もはや語彙力がわけのわからない境地へ行ってしまっていますが、この感覚、伝わって欲しい!最初は、とっつきにくいような、気難しそうな人だなと思わせておいて、なんだか隙があるというか...。恋愛ドラマの胸キュンシーン的な行動は皆無なのですが、それでもみんなが三瓶先生を好きになってしまうような...。好きになってしまうというか、毎週焼肉をおごりたくなってしまうような感覚です。いや、三瓶先生は焼肉に誘っても来てくれないかもしれません。いや、来てくれないだろうなと思って誘ったら「はい、行きます」って言われて「え、来るんかい」と心の中でツッコミを入れてしまうパターンかもしれません。そんな不思議な魅力のある三瓶先生。若葉さんって、本当にこういう性格なのかなと思ってしまうくらいリアルな役作りがお見事で、どこからがせりふでどこからがアドリブなのかわからない、不思議な空気感でした。
その他、井浦新さん、吉瀬美智子さん、千葉雄大さん、岡山天音さん、生田絵梨花さん、尾崎匠海さん等々...、本当にひとりひとりがとても愛おしいキャラクター。特に千葉雄大さんについては、「アンメット」の千葉雄大さんが一番好きです!ドラマ部のみんなが大好きな岡山天音さんももちろん素晴らしく、この物語を大きく進展させる役割を担ってくださいました。拍手を送りたい!というか、お名前を単に羅列させていただくだけでは申し訳なく、演者の皆さま、そしてスタッフの皆さまに便箋3枚ずつの感謝の手紙を書いて、各所へお送りしたいくらいの気持ちです。(大迷惑!)
映像もすごくリアリティがあるのですが、映画用のカメラで撮られているというこだわりよう!ドラマの中のあの独特な雰囲気やリズムは、ドラマでの表現の新しい境地を切り開いたのではないかと感じました。作品全体としてこうして新しいことに挑戦していくというのは、一人で挑戦するより数段難しいと思います。それゆえ、それを可能にした演者及び制作陣の皆さまには本当に頭が下がります。
私自身、普段は芸人や漫画家として活動していますが、最近は脚本を書いてヤングシナリオ大賞に応募したりしています。というのも、やはりドラマが大好きで、ドラマが伝えられるパワーのすさまじさ、何かを丁寧に大切に伝えようというときの震える程のエネルギーを届ける一端になってみたいと思ったからです。そんなドラマに対する熱い気持ちを、この作品は改めて感じさせてくださいました。
「アンメット」では、見た人に、その優しくもあり、とても力強いメッセージが届いたことと思います。少なからず私にはあり余るパワーが、これでもかというくらいに届きました。「アンメット」に関わる全ての皆さま、届きましたよー!!!願わくば、ぜひ続編を...!