誰しも憧れる青春の楽園(パラダイス)にやっぱり僕も憧れた「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」【小虎・りょう】

よしもとドラマ部

よしもとドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は宮地ケンスケ・福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

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誰しも憧れる青春の楽園(パラダイス)にやっぱり僕も憧れた「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」【小虎・りょう】

<プロフィール>
りょう(小虎)
1995年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。NSC東京校24期生。2019年に福井祐樹ともに小虎を結成。学生時代からのドラマ好きが高じて、「よしもとドラマ部」の一員としても活躍中。

はじめまして、小虎のりょうです。吉本興業に籍を置かせて頂いて6年目になります。この文を書かせて頂くにあたって、自分が最初に見たドラマはなんだろうと考えてみました。母親が見ていた『よい子の味方 〜新米保育士物語〜』だと記憶しています。最初に見たのが櫻井翔さんならそりゃ非日常を愛するようになるでしょう。僕がドラマに求めるのは"憧れ"と"非日常"です。ドラマを見ることが日常なのでそんなドラマを特に好んでいる様な気がします。

"最高"に憧れる"非日常"

「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」は僕が小学6年生の時、このドラマに髄の髄から髄まで熱中しました。たまらなく好きだった。どれくらい熱中したかというと、このドラマの主題歌であるORANGE RANGEの『イケナイ太陽』、大塚愛の『PEACH』、この曲を流したいという理由だけで、修学旅行のバスレク係に立候補して愛知から京都まで移動するバスの中はこの2曲の鬼リピだったことを覚えています。そしてクラスの誰もがそれに嫌な顔をしなかったことも熱中していた強い証拠だと思います。

さらに親にねだって、ロックマンエグゼの新作を諦めてDVD BOXを購入した僕は、封入特典の桜咲学園のネクタイをつけて町内を歩き回るといった激イタ熱中もさせてもらいました。

いつ何時でも熱量がかかると人は恥ずかしげもなく動けるものだ。

なぜそんなにも熱中することができたのか?今、あらためてDVD を再生してみた。それは大人になった今だから言語化出来る"最高"に憧れる"非日常"があったからだと思う。

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イケてるメンズが揃いに揃った魅惑の全寮制男子校『桜咲(おうさか)学園』
そこにアメリカから転校生がやって来た。
名前は芦屋瑞稀 性別は女

もうここまでで、"最高"に"非日常"。この学園は学力も運動神経も関係ない、顔面さえ良ければ、イケメンでさえあれば入学できる。そんな絶対にあり得ない設定が映像化されている。今の時代に合わないとかそんなのは、いったんどうでも良い。イケメンじゃない自分が悪いのだから。まず自分は入学できない。僕のような非モテ小学生はシンプルに憧れたのだ。イケメンに憧れたわけではない。優しくて、熱い男たちがさらにイケメンだったのだ。そりゃ憧れる。

芦屋瑞稀(堀北真希)を真ん中に据えて、佐野泉(小栗旬)、中津秀一(生田斗真)、難波南(水嶋ヒロ)、関目京悟(岡田将生)...、名前を挙げればキリが無いほど、2007年のトップスターが並んでいた。

昔からドラマには悪役がいないと盛り上がりに欠けると言われているが、このドラマに悪役はいない。

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全員が全員、自らの青春を送っているだけだ。

そんな自分が絶対に参加できない"非日常"の学園生活に強い憧れを抱いたのだと思う。ドラマの冒頭でめちゃくちゃ楽しそうな行事が発表される。マラソン大会、文化祭はもちろん、女子高との合コン、舞踏会など変わり種のものまで。そして最高の生徒達がそれを全うする。これが基本的な流れだ。

この流れに憧れるんだ。強く。自分も参加できたらな、できるわけないのにな、こんな学園生活を体験したい。この揺さぶりがこのドラマの魅力を強く占める。

僕の一番好きなお話は第5話、夏休みに入って難波南の母、伊緒(森口瑤子)の経営する海の家の手伝いをすることになる回。そこで、桜咲学園のライバル、桃郷(とうきょう)学院の面々と遭遇する。そこでいつも通り揉め始め、桜咲学園VS桃郷学院の『どっちがイケてるか』を争う"ナンパ対決"に発展する。

"最高"にバカらしい対決だが、この対決の中にも、サイドストーリーがあって『恋愛』『勝負』...さまざまな姿が描かれている。

簡単な言葉でまとめると『青春』。今の言葉でいうとエモい。ベタで青臭い言葉がつらつらと並ぶストーリーに、前述の通り、悪人は出てこない。見終わった後、自分の中に残っているものなんて何もない。でも見ている時、その瞬間だけは日常を全て忘れて"最高"の"非日常"に溶け込めるのだ。

この魅力は、お笑いに似ているのかもしれない。

よく『笑いは麻薬だ』というとんでもない言葉を耳にする。これはお笑いが神経を刺激して身体に害をなす...なんてことではない。"笑い"という反応は喜怒哀楽全てを一瞬だけ凌駕することができる。その時にトランス状態に入る。怒っている人間も腹を抱えて笑っている瞬間は一瞬だけ怒りを忘れているし、泣いている人間も腹を抱えて笑った瞬間は一瞬だけ悲しいことを忘れる。

そんな笑いの効果の事を麻薬と呼ぶのではないのかな。と僕は解釈している。

もちろん、こんな末端芸人が笑いの仕組みの戯言を解説したかった訳ではなく、このドラマは見ている46分間だけは、"最高"の"非日常"という麻薬を摂取できるんじゃないのだろうか、と思う。

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まとめ

人間関係や日常生活に心が疲れ切って"非日常"を求める私たちは、年に1度、いや、春夏秋冬の中で1度くらいは"最高"にバカらしくて"最高"にキュンキュンして"最高"に憧れる"非日常"を摂取して時間の経過を忘れるべきだと思う。

今の学生は勉強し過ぎている、今の大人は働き過ぎている。20代の僕にでも分かるのだから、それは紛れもない事実だ。このドラマに出てくる場面は8割が学園内を占めるが、勉強をしている描写は2mm程もない。でも全員が全力で遊んでいるのだ。"非日常"の中で愛おしくなるほど学園生活を全力で謳歌しているのだ。

こんな、不相応な難しい文章を書き連ねてみてしまったが、最後に簡単な言葉で締めくくろうと思う。

どうせ見終わった後、日常にすぐ引き戻されます。でも、この作品を見たことない人も、あの頃見ていた人も、あらためて見てみてください。

"最高"に憧れる"非日常"があなたの一瞬を幸せにしてくれるかもしれません。