綾野剛、豊川悦司ら"クセ強アベンジャーズ"のキャスト陣が紡ぐ究極のクライム・サスペンスが誕生
2024.08.14
「全裸監督」(2019年)や「サンクチュアリ -聖域-」(2023年)など、エンタメ界を揺るがす話題作を世に送り出してきたNetflixから新たな傑作が7月25日(木)より配信される。その名も、Netflixシリーズ「地面師たち」。
同作品は、金のために他人の土地と人生を転がし倒す不動産詐欺集団「地面師」を主人公に、彼らの大胆な手口や、「だます側」と「だまされる側」の手に汗握る駆け引き、登場人物たちの人間模様などを全7話で描く究極のクライム・サスペンス。2017年に実際に起こった東京都品川区五反田の土地を巡る不動産詐欺が広く報道されたことをきっかけに、多くの人が知ることとなった「地面師」という言葉。その実態をエンターテインメント小説に昇華させた新庄耕の小説「地面師たち」を、映像ディレクター・大根仁が自ら出版社に映像化を交渉し実現させた力作だ。
2010年代半ば、東京では東京オリンピック招致決定を機に土地の価格が上昇し、管理の行き届かない土地や所有者の不在など表面化しにくい土地を中心に、再び地面師事件が発生するようになった。辻本拓海(綾野剛)はハリソン山中(豊川悦司)と名乗る大物不動産詐欺師グループのリーダーと出会い、情報屋の竹下(北村一輝)、なりすまし犯をキャスティングする「手配師」の麗子(小池栄子)、「法律屋」の後藤(ピエール瀧)らと共に、「交渉役」として不動産詐欺を働いていた。そんな中、山中の鶴の一声で過去最大の100億円規模の不動産を狙うことに。地主、土地開発に焦りを見せる大手デベロッパーとの狡猾な駆け引きが繰り広げられる中、警察が地面師たちの背後に迫る、というストーリー。
ひと足先に作品を鑑賞させてもらったのだが、毎シーン、毎秒ごとに惹きつけられて1話があっという間で、気付けば休憩も忘れて<次のエピソード>ボタンを押しており、7時間が"秒で"過ぎてしまうほど。ドキドキとワクワク、喜怒哀楽の全てを味わわせてくれ、見終わった時には何とも言えない充足感と共に"地面師ロス"までも付いてくる傑作だ。
実際に起こった不動産詐欺事件から着想を得た原作小説が紡ぐ"リアリティー"はもちろん、大根監督が描くだます側とだまされる側、そして地面師を追う刑事という三つ巴の争いによる"息の詰まるヒリヒリした展開"、話が進むにつれて明かされていく"謎の真相"、さまざまな人間模様が織り成す"狂気と欲望にまみれた人間性"など、ストーリーや演出から生み出される、これまでの話題作に勝るとも劣らない圧倒的な魅力は顕在で、「さすがネトフリ!」と称賛の拍手を贈りたくなるほど。
そんな中でも、やはり魅力の核となるのはキャスト陣の芝居だ。綾野、豊川、北村、小池、ピエール瀧、染谷将太、池田エライザ、リリー・フランキー、山本耕史etc....と、「よくこれだけの名優がそろったな」とうなってしまうほどの豪華さで、「クセが強い役を演じたら右に出る者はいない」という、現代の日本のエンタメ界における「クセ強アベンジャーズ」と言っても過言ではないほどだ。完成報告会でも、大根監督が「メインとなる地面師グループをどう魅力的に撮るかというのをすごく考えて、まずはキャスティングですよね。僕は脚本を書く時に『この人に演じてもらいたい』と想像しながら書くんですけど、その時の第一候補で挙げていた皆さんが見事にハマったんです。5人そろった時の怪しさは見ての通りで...(笑)」と語ったように、この傑作を映像化する上で理想のメンバーがそろっている。
そんな彼らが、「仲間でありながら友人ではない」というセンシティブな関係の役どころを、持ち前の演技力をぶつけ合って表現し、他では見られない化学反応を起こしまくっている。拓海とハリソン、ハリソンと麗子、麗子と後藤、後藤と竹下...など、それぞれがそれぞれ違った関係性の中で一つの目的のために動いており、金でしかつながっていない"絶対ではない関係"の変化や、不測の事態てんこ盛りの詐欺師と被害者による大金を巡る白熱した駆け引き、じわじわと近づいてくる警察の影といった枚挙にいとまがないほどの見どころを、名優たちが化学反応で魅力的に仕上げている。だからこそ、毎秒惹きこまれてしまうのだ。
完成報告会で綾野は、「皆さん、現場力や人間力がとにかくすごいので、その中で何テイクも重ねていくうちに新しい一面がどんどん見えてくるんです。そういう意味では、現場中にどんどんトチ狂っていくというか...。そこから抽出されたものが、この作品の魅力に変わっている」と述懐し、豊川は「綾野くん演じる拓海を山中が(地面師に)誘うところは、まだ撮影2日目くらいだったのですが、とても素晴らしいシーンになったんじゃないかなと思っています」と撮影の早い段階から綾野との化学反応を感じたことを明かしていた。
主演の2人も口をそろえて言及するほどの"化学反応"は偽りではない。圧倒的なリアリティーとジェットコースターのような展開、登場人物たちが織り成すハラハラドキドキを、日本が誇る「クセ強アベンジャーズ」の化学反応で堪能してほしい。
取材・文/原田健
(C)新庄耕/集英社