ディリラバ(迪麗熱巴)とチャオルースー(趙露思)が紡ぐ切なくも美しい絆!「長歌行」で描かれた対照的なヒロイン
2026.08.15
ディリラバ(迪麗熱巴)とチャオ・ルースー(趙露思)という、中国ドラマ界を代表する二人の人気女優が共演した歴史ドラマ「長歌行」。唐王朝成立直後の乱世を舞台に、復讐(ふくしゅう)を誓う主人公・李長歌(りちょうか)と、政変によって運命を大きく変えられる従姉妹・李楽嫣(りらくえん)が、それぞれ苦難を乗り越えながら成長していく姿を描く。壮大な歴史劇でありながら、迫力あるアクションやロマンスに加え、困難な運命の中でも互いを思い続ける二人の女性の絆、いわゆる"シスターフッド"を描いた作品としても高く評価されている。

(C)2021 China Huace Film & Tv Co.,Ltd.
原作から抜け出したような強く美しいヒロインを演じるディリラバ
本作は、「玄武門の変」を背景に史実とフィクションを織り交ぜた壮大な歴史ドラマだ。皇位継承を巡る陰謀や権力争いが渦巻く乱世の中で、それぞれの信念を胸に生きる人々の姿が重厚に描かれる。ディリラバが演じるのは、皇太子の娘・李長歌。男装して蹴鞠大会へ出場するほど勇敢で聡明な姫で、皇子たちにも引けを取らない文武両道の才を持つ。しかし、叔父・李世民(りせいみん/演:ゴン・ロー)が起こした政変によって父母を失い、自らも命を狙われることに。何不自由なく育った皇女は、一夜にしてすべてを失い、復讐を胸に過酷な旅へと踏み出していく。
原作は、日本でも「ウルトラジャンプ」で連載されていた同名漫画。ディリラバは凛とした美しさや芯の強さだけでなく、男装姿や華麗な剣さばきまで見事に体現し、原作ファンからも絶賛された。原作の長歌と同じ位置にホクロがあることも話題となり、高い再現度で人気を集めたが、本作で光るのはビジュアルだけではない。旅の中で戦乱やさまざまな人々との出会いを経験した長歌は、復讐心だけで突き進む少女から、国や民の未来を考えられる人物へと成長していく。戦場では武術だけでなく知略にも優れた一面を見せ、迷いや葛藤を抱えながら前へ進む姿を、ディリラバは力強さと繊細さを兼ね備えた演技で表現した。

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チャオ・ルースーはドラマオリジナルの可憐なもう一人のヒロイン
一方、チャオ・ルースーが演じる李楽嫣はドラマオリジナルのキャラクター。李世民の娘であり、長歌とは姉妹のように育った従姉妹だ。しかし政変によって、楽嫣は長歌にとって父母の仇の娘という立場になってしまい、二人は互いを大切に思いながらも引き裂かれてしまう。序盤の楽嫣は気弱で心優しい姫として描かれ、男勝りな長歌とは対照的な存在だ。そんな彼女が涙ながらに「私を殺すことで父上への恨みが晴れるなら構わない」と長歌へ思いを伝える場面は、本作屈指の名シーン。チャオ・ルースーは、父への愛情と長歌への友情の狭間で揺れる複雑な感情を、繊細な表情と涙の演技で体現し、楽嫣というキャラクターに豊かな奥行きをもたらした。
本作出演当時のチャオ・ルースーは、「三千鴉の恋歌」「花の都に虎われて~The Romance of Tiger and Rose~」「2人はスパイシー&デリシャス」など主演作を立て続けにヒットさせ、ラブコメ作品を中心に人気急上昇中だった。一方、「長歌行」では、それまでの愛らしいヒロイン像とは異なり、苦難を経験しながら精神的に成長していく楽嫣を熱演。父への愛情と長歌への友情の間で揺れる葛藤や、幾度となく試練に直面しながらも少しずつ芯の強さを身につけていく姿を繊細に演じ切り、かわいらしさだけではない確かな演技力を印象づけた。

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ディリラバとチャオ・ルースーが描く成長とシスターフッド
復讐を胸に都を離れた長歌は、戦乱の中で奴隷となるなど数々の苦難を経験しながら、自らの進むべき道を見つけていく。一方、楽嫣も政略結婚や人さらいなど、過酷な運命に翻弄(ほんろう)されるが、旅先での出会いを通じて少しずつ精神的な強さを身に付け、自らの力で未来を切り開いていく。異なる道を歩みながらも、それぞれが人として大きく成長していく姿は、本作最大の見どころの一つ。ディリラバは戦場で生き抜く長歌の気高さと覚悟を、チャオ・ルースーは弱さを抱えながらも芯のある女性へ変わっていく楽嫣を説得力たっぷりに演じている。
また、本作は群像劇としての魅力も大きい。遊牧民族の将軍・阿詩勒隼(あしらしゅん/演:ウー・レイ)、冷徹な武官・皓都(こうと/演:リウ・ユーニン)、幼なじみの魏叔玉(ぎしゅくぎょく/演:ファン・イールン)らが、それぞれの信念や恋模様を織り成し、物語に奥行きを与えている。中でも人気を集めたのが、楽嫣と皓都の関係だ。不器用ながらも楽嫣を守り続ける皓都の姿は多くの視聴者を魅了し、チャオ・ルースーとリウ・ユーニンは3年後に「紅き真珠の詩」で再共演を果たしたことでも話題となった。

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そして、本作を象徴するのが長歌と楽嫣の絆だ。政変によって引き裂かれた二人は、それぞれ苦難を乗り越えた末に再会。かつて守られるだけだった楽嫣の成長を長歌が温かく見守る姿からは、互いを思いやる気持ちが決して失われていなかったことが伝わってくる。復讐に生きる長歌と、優しさを失わず成長していく楽嫣。一見対照的な二人だが、それぞれが自分らしい強さを見つけ、自らの道を歩んでいく姿は、多くの視聴者の共感を呼んだ。ディリラバとチャオ・ルースーの息の合った演技が、そのシスターフッドをより印象深いものにしており、「長歌行」は今なお中国歴史ドラマの名作として愛され続けている。
文/神野栄子



