「私の完璧な結婚」のウィリアムチャン(陳偉霆)が25年の時を超えて未解決事件を追う中国・香港ドラマ「太陽と星辰」

「私の完璧な結婚」のウィリアムチャン(陳偉霆)が25年の時を超えて未解決事件を追う中国・香港ドラマ「太陽と星辰」

チャオ・ルースー(趙露思)と共演した現代劇ドラマ「私の完璧な結婚」で、2025年の中国ドラマ界を席巻したウィリアム・チャン(陳偉霆)。実はその前年にも、主演作が大きな話題を呼んでいた。それが今回、日本初放送となる「太陽と星辰(ほし)-時を越える追跡者-」だ。中国大手動画配信プラットフォーム・テンセントビデオとNetflixで同時配信されるや、視聴ランキング上位にランクイン。緻密なストーリーとスリリングな展開で高い評価を獲得した。

ウィリアム・チャンは、2006年にボーイズグループ・Sun Boy'zのメンバーとして芸能界デビュー。2008年からはソロアーティストとして活動する一方、俳優としても本格的にキャリアを広げていった。2015年には、若き捕吏(ほり/罪人や犯人の身柄を拘束する役人)たちの活躍を描いたドラマ「四大名捕~都に舞う侠の花~」で注目を集め、共演した人気俳優たちと共に、日本の漫画「花より男子」の"F4"になぞらえて"中国時代劇F4"と呼ばれるほどの人気を獲得。その後も「酔麗花~エターナル・ラブ~」「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」など数々の時代劇で、端正な顔立ちと抜群のスタイルを古装姿で際立たせ、多くの視聴者を魅了してきた。

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25年の時を超え、未解決事件に挑む!

そんな彼が今回挑むのは、"時を超える刑事ドラマ"だ。「太陽と星辰(ほし)-時を越える追跡者-」は、1993年と2018年、25年の時を隔てた香港を舞台に展開するサスペンス。ウィリアム・チャン演じる刑事ヤン・グアンヤオは、1993年に発生した連続殺人事件を追う最中、突如として2018年へタイムスリップしてしまう。そこで彼は、かつての上司の計らいで亡くなった捜査官の身分を借り、潜入捜査官として復職。年老いたかつての同僚や新たな仲間たちと共に、25年経ってもなお未解決のままとなっていた事件の真相に迫っていく。

突然未来へ飛ばされたグアンヤオがまず戸惑うのは、25年で大きく変化した香港の街並みと価値観だ。1993年には連絡手段の主流だったポケベルは姿を消し、人々はスマホを使いこなしている。さらに、刑事の勘や経験が重視されていた時代から、DNA鑑定やデータ分析を駆使する科学捜査の時代へと変化していた。そんな未来社会の中でも、グアンヤオの刑事としての信念は変わらない。足で稼ぎ、人を信じ、自ら危険の中へ飛び込んでいく昔気質の捜査スタイルは、効率重視の現代では時に"時代遅れ"にも映る。しかし、その泥臭さこそが彼の魅力でもある。

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経験と勘 vs 科学――対照的な二人が衝突!

そんなグアンヤオと対照的な存在として登場するのが、新たな同僚となる女性刑事チェン・カイチン(演:リウ・ヤースー)だ。データやテクノロジーを駆使して捜査を進めるカイチンに対し、経験と勘を武器にするグアンヤオはたびたび衝突。旧世代と新世代、アナログとデジタル――対照的な二人が反発しながらも少しずつ信頼を築いていく関係性も、本作の見どころとなっている。

そして本作を単なるタイムスリップ刑事ドラマで終わらせていない要因が、香港ノワールを思わせる独特の空気感だ。夜の香港を彩るネオン、湿度を感じさせる雑踏、そして善悪の境界線が揺らぐ人間ドラマ。マフィア抗争を描く従来の香港ノワール作品とは異なりながらも、どこか懐かしくスタイリッシュな魅力が全編に漂っている。その空気感をさらに濃密なものにしているのが、グアンヤオが追う有力容疑者マイ・ジーホン(演:リン・マンロン)の存在だ。何を考えているのか読めない不気味さと、ふとした瞬間にのぞかせる狂気が強烈なインパクトを残す。単なる犯人候補にとどまらないサイコパス的な存在感が、物語全体の緊張感を一気に高めている。

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香港出身俳優ウィリアム・チャンの新境地

さらに本作の魅力は、サスペンスの中で丁寧に描かれる人間ドラマにもある。1993年と2018年、2つの時代をまたぐ物語だからこそ、かつての仲間たちの変化や、25年という歳月がもたらした後悔、隠されていた秘密が複雑に絡み合っていく。点と点であった出来事が少しずつつながり、やがて一つの真実へと収束していく展開は実にスリリングだ。

その濃密な物語の中心にいるのが、香港出身のウィリアム・チャンである。香港の雑踏を駆け抜け、危険を顧みず事件へ飛び込んでいくグアンヤオの姿は、往年の香港アクション映画を彷彿(ほうふつ)とさせる。キレのあるアクションはもちろん、時代の変化に翻弄(ほんろう)されながらも、内に熱い情熱を秘め続ける男の哀愁まで体現。スタイリッシュな時代劇スターとして知られる彼の、新たな代表作と呼びたくなる熱演が光っている。また、グアンヤオとカイチンが潜入捜査について語り合う場面では、グアンヤオは『辺縁人』(1981年)、カイチンは『インファナル・アフェア』(2002年)を挙げる。世代による価値観の違いを示す演出であると同時に、本作が香港犯罪映画へのリスペクトを込めて作られていることを感じさせる印象的なシーンだ。

時を超えた未解決事件、25年ぶりに再会した仲間たち、そして愛する家族の行方――。サスペンス、アクション、人間ドラマが濃密に絡み合いながら加速していく「太陽と星辰(ほし)-時を越える追跡者-」。ウィリアム・チャンの新たな魅力を堪能できる、見応えたっぷりの一作だ。

文/神野栄子

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