「映画クレヨンしんちゃん」がいよいよ公開!声優・小林由美子が野原しんのすけの役作りの秘密を明かす

「映画クレヨンしんちゃん」がいよいよ公開!声優・小林由美子が野原しんのすけの役作りの秘密を明かす

「映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション」が7月31日(金)より全国公開となる。

同作品は、テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日系)の劇場版第33作目で、妖怪の国に迷い込んだしんのすけら野原一家が大騒動を巻き起こす。また本作では、ゲスト声優として伊藤沙莉とマユリカが参加。伊藤は、見た目は子供だが高い妖力を持ち、年齢は500歳の九尾の狐の妖怪・やこ、マユリカは、妖怪の国でしんのすけらと野球勝負を繰り広げるイカとカレイの妖怪をそれぞれ演じる。

ある夏の日、日本各地で奇妙な怪奇現象が相次いで目撃され、世間を賑わせていた。そんな中、帰省で秋田県大曲にある父・ひろしの実家にやってきた野原一家は、祖父・銀の介の家で穏やかなひと時を過ごしていた。ところが、秋田に到着した翌朝、部屋中に「おばけーしょん村」のチラシがばら撒かれており、「チョコビたべほーだい!」の文字に大興奮のしんのすけに頼まれ、一家は「おばけーしょん村」を訪れることに。道中、奇妙な空間に迷い込み、人間が立ち入ることを禁じられた「妖怪の国」に入り込んでしまう。そこで、人間だとバレてしまったひろしとみさえは"おしりだま"を取られてしまい、妖怪の姿に。徐々に人間だった頃の記憶を忘れていき、完全に妖怪になるまでの間に、取られた"おしりだま"を取り返すべく、しんのすけが奔走する。

今回、しんのすけを演じる小林由美子にインタビューを行い、作品について、演じる上で意識したこと、ゲスト声優の印象などについて語ってもらった。

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――最初に台本を読んだ時の感想は?

「今回の台本は情景をト書き(※演出上の指示や説明を書いた文章)で書いてくださっている部分が多くて、初めは1冊の本を読むかのように、しんのすけではなく、いち読者として、のめり込むように読ませていただきました。いつもは(展開を把握するためにも)あまり感情移入せずフラットに読むことを心掛けているのですが、しんのすけが父ちゃんと母ちゃんの"おしりだま"を探すシーンでは泣いてしまいまして、『アフレコではなんとか耐えなければ...』と思ったくらいでした(笑)。その後に、しんのすけの目線で感情移入しながら読ませていただいて。そうしたら、今度は野球対決のシーンが楽し過ぎました!」

――一番印象に残っているシーンは?

「やはり、ひろしとみさえの"おしりだま"を探すシーンですね。これまでは、父ちゃん、母ちゃんと物理的に離れてしまって、2人を捜すために奔走するという展開が多かったのですが、今回は2人は目の前にいるのに、どんどん記憶が失われてしまって、父ちゃんと母ちゃんではなくなってしまっていくという恐怖が描かれていて、5歳のしんのすけからしたら"離れてしまう恐怖"とはまた違った"恐怖"で、心細さや寂しさがより深いと思うんです。そんな中で、走り回って捜していた今までとは違って、ひたすら耳を澄まして父ちゃんと母ちゃんの声を頼りに静かに捜すというのが、ありそうでなかったような新しい感覚がありました。

あとは、父ちゃんの扱いがちょいちょいひどいっていう(笑)。試写会後にうちの息子に『どこが面白かった?』って聞いたら、『父ちゃんがバットにされて打たれていたところ』って言っていて、私もあそこは秀逸だなって思います」

――特にどんな方に鑑賞してほしいですか?

「本当に老若男女、全世代に刺さるシーンが満載なので、もちろん皆さんに見ていただきたいです。子供は子供で、わくわくドキドキの大冒険に、ジェットコースターに乗っているような爽快感を感じられると思いますし、大人の方たちには秋田のシーンが心に沁みるんじゃないかなって。めんこで遊んだり、野球で遊んだり、街並みや風景も含めてすごくノスタルジックなシーンが詰まっていて、私自身もグッとくるので、40代、50代、60代の皆さんには、ぜひご覧いただいてノスタルジーに浸っていただければ!」

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――ゲスト声優の印象は?

「伊藤さんは『本当にさすがだな』と思いました。演じられた『やこ』というキャラクターは、"容姿はかわいいけど500歳である"というところがすごく難しいと思うんです。声に500年分の年季が入っていなければいけないし、言葉に重みがなければいけないわけですから。容姿に合わせてかわいい声にしてしまうと500歳の説明がつかないし、『じゃあ、おばあちゃんみたいにやればいいか』というと、それも違う。そんな中で、"見た目は若く、中身は500歳"というのをすばらしく完璧に演じてらっしゃって、声を聴いて『ちゃんと500歳、年を取っている生き物なんだな』という説得力のある演技とお声で、本当にさすがでした。

マユリカのお2人は、隙さえあればアドリブを入れてこようとするような、わちゃわちゃした野球対決のシーンが本当に合っていて!芸人さんならではのスキルで、楽しい雰囲気を作ってくださったなと思います。あの野球のシーンって、ともすれば、作品の中でちょっと浮いてしまう可能性のあるところなのですが、すごく楽しくまとめてくださって、子供たちが一番好きって言ってくれるシーンにしてくださいました」

――劇場版でしんのすけを演じるに当たって、テレビアニメの時と変えている部分などはありますか?

「しんちゃんの声を担当させてもらってから、初めての劇場版に臨む時に『"映画クレヨンしんちゃん"をやろう』とどこか肩に力が入っていたら、監督の橋本(昌和)さんが『いつものしんちゃんでいいんだよ。半年間やってきた小林さんのしんちゃんがちょっと大きいスクリーンでオーストラリアに行って暴れる範囲が広がるだけで、根底にあるのはいつもの春日部のしんちゃんだから、楽しくやってくれればいい』っておっしゃってくださって、それからは普段の野原しんのすけでいることを心掛けています。たとえテレビアニメの世界でも(映画と同じようなシチュエーションになって)父ちゃんと母ちゃんがいなくなったら、めちゃくちゃ捜すし、覚悟を決めると思うんです。それが、映画ではしっかり見ることができているということですね」

――しんのすけの声を担当してから丸8年、演じる上でいまだに難しいと感じるところはありますか?

「5歳の子供が嫌味を言ったり、大人をイラつかせるシーンが醍醐味だったりすると思うのですが、それをちゃんと5歳の目線で演じられているのかというのは常に省みている課題ですね。大人の皮肉ったシニカルな部分を入れてしまうと本当に嫌な子になっちゃう場合があるので、"ちゃんと5歳児が純粋に『何やってんの?』などと言っているように"という5歳の男の子の目線を常に気に掛けています。最近は息子がモデルになっていまして(笑)。しんちゃんって、"おしりブリブリ"をやったりとか、すごく上品に下品なことをやるのが面白いなと思っていて、今、息子が小学3年生なんですけど、お風呂から出てきて真っ裸で急に踊り出したりとかするんです。『"おバカ"が一周回って面白い』みたいなことばっかりやっているんですけど、あの何の邪気もない、何も考えず欲望のままにやりたいことをやっているこのバカさ加減には、『もう早く服着なさい!』って注意しながらも、勉強になるなと思って見ています(笑)」

――私生活では2人のお子さんを持つ母親ですが、しんのすけを演じていながら、みさえやひろしに感情移入してしまうことはありますか?

「めちゃくちゃあります!『分かる~!』って(笑)。やるなと言っていることをやられたり、部屋がめちゃくちゃになっちゃったり、出掛けにトイレに行かれて『なんで今なんだ!』って思ったりとか...。テレビアニメの台本を読んでいる時は特に、『分かる!』って声が漏れてしまうことが多いです。しんのすけをやらせていただくようになってから子供と一緒に鑑賞するようになって、見ているとみさえに救われることがすごく多いんですよ。上の子を育てている時は『育児書通りに育てなきゃいけない』という思いにとらわれてしまったり、家事と育児を完璧にできないことに後ろめたさを感じてしまって、追い詰められてしまうことも多かったのですが、みさえを見ていると部屋は散らかっているし、冷蔵庫はぐちゃぐちゃ、押入れもぐちゃぐちゃで、冷凍食品を出してしんのすけが喜んでいたりとかしていて、『別に完璧じゃなくてもいいんだな』『たまには冷凍食品もアリだよな』って目から鱗で。"愛情は抜かないけど、手は抜く"というのを教えてもらいました」

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――みさえへの共感から、しんのすけを演じる時に遠慮が生まれたりすることは?

「それはないですね!アフレコ現場に入ると、ならはしみきさんが母ちゃんとしていてくださっているし、森川智之さんが父ちゃんとしていてくださっている。カスカベ防衛隊のみんなも役のままいてくださるので、アフレコスタジオ内は既に春日部になっているんですよ。初めてアフレコした時も、『ちゃんとできるかな』ととても不安だったのですが、周りの皆さんが役そのままでいてくださるおかげで、こちらも釣られて一気にしんのすけになれました。現場でキャストの皆さんが作り上げてくださっている雰囲気に助けられて、小林由美子の要素は一切排除できています。」

――妖怪がテーマの本作。ご自身が体験した不思議な出来事があったら教えてください。

「言葉の力を感じることはよくあります。娘の出産のとき、予定日まで3週間ちょっとあったのですが、仕事納めも出来て準備万端になったので、『もう生まれてきても大丈夫だよ~』と言ったらその言葉を聞いていたのか。『だったら...』とその日のうちに生まれました。息子の時もまだ2週間先だったのですが、『もう生まれておいで~』と言ったその日に生まれました。他にも『近所にこのお店があったらいいな~』と言うとそのお店が出来たり、と。他の声優さんも同じようなことおっしゃっていたので声優言葉の力強い説はあるかもしれません」

――最後に映画をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

「今年の映画は妖怪とのタッグということで、ありそうでなかった『妖怪×夏×しんちゃん』という、夏にぴったりのわくわくとドキドキ、そしてホロリとくる、さまざまな魅力がギュっと詰まったひと夏の大冒険を繰り広げています。ぜひ、しんのすけと一緒に夏休みを過ごしていただけたらと思います!秋田の風景はめちゃくちゃすばらしいですし、風鈴の音だったり、セミの鳴き声、じいちゃん家の空気感など、五感で感じていただけるようなシーンがたくさんあるので、この夏は野原家と一緒に秋田のじいちゃん家に何度も帰省していただいて、夏の大冒険を野原一家と一緒に過ごしていただけたらうれしいです。劇場でお待ちしております!」

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PROFILE
1979年6月18日生まれ。千葉県出身。1998年に声優デビュー。2001年に「電脳冒険記ウェブダイバー」の結城ケント役で初主演。2018年7月6日放送回より、「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日系)の野原しんのすけ役を、放送開始から演じてきた矢島晶子から引き継いだ。2018年に第5回Yahoo!検索大賞の声優部門賞を受賞。ほか、「DIGIMON BEATBREAK」(フジテレビ系)にも出演中。

文/原田健 撮影/皆藤健治 ヘアメイク/関谷まゆみ

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