声優・佐倉綾音インタビュー#1「人間をわかった気になるのが一番怖い。『集団ごっこ』の根っこにある思い」

声優・佐倉綾音インタビュー#1「人間をわかった気になるのが一番怖い。『集団ごっこ』の根っこにある思い」

「僕のヒーローアカデミア」の麗日お茶子をはじめ、「五等分の花嫁」の中野四葉、「SPY×FAMILY」のフィオナ・フロスト、「SAKAMOTO DAYS」の陸少糖(ルー・シャオタン)など、数々の人気作品で主要キャラを好演する、声優・佐倉綾音さん。人間に対する深い洞察から生まれるその演技力と、そのキャラの気持ちや感情を真っ直ぐに伝える表現力は、アニメファンならずとも心を打たれます。2025年4月にはTBSラジオでレギュラー番組がスタート、豊かな語彙と軽妙な毒を散りばめたトークでラジオパーソナリティとしての才も発揮。活躍の場がさらに広がりました。この企画では全3回にわたり、佐倉綾音さんへインタビュー。ラジオへの思いやこれまでの歩み、お芝居に対する考えをひもときつつ、その人となりに迫ります。

■「とんでもないスタートダッシュ」を切ったラジオ番組

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――今日は、よろしくお願いします! 4月からTBSラジオで『佐倉綾音の論理×ロンリー』が始まりました。初回放送の出だしから、ハプニング的なスタートとなってましたね(笑)。

「そうなんですよ......!聴いていない方のために何が起きたかを説明しますと、前番組の『アフター6ジャンクション2』のMC・宇多丸さんが番組紹介をしてくださるときに、私のことを間違えて『佐藤綾音さん』と呼ばれる事件が起きまして。その後、宇多丸さんが『どんな差し入れを持ってくるのか』というのを放送内で煽ってしまった結果、3週ほどそのネタを引っ張ることになりました(笑)」

――あの、番組間のやりとりは最高でした(笑)。

「ありがとうございます。でも変な話、あのハプニングに関しては『運が良かったな』と思うのと同時に『もしかして、ここがこの番組のピークなんじゃないか......?』とも思っていて」

――意外......! 空気感やトークのペースが徐々に仕上がってきた気がしていたので、これからどんどんエンジンがかかるものと思っていました。

「どちらかといえばスロースタートなイメージで、じわじわと番組の雰囲気を作っていこう!というのが私の中でのビジョンだったのですが......それを壊されてしまったというか、自ら壊してしまったのか......。リスナーさんが初回のようなハプニングをつねに求めて番組を聴くようになってしまったら、それこそあまりにハードルが高くなってしまうので、今はそこがいちばん心配なところです」

――でも、ラジオといえばハプニングがつきものじゃないですか?

「普通そういうハプニングが起こるのって、番組がスタートしてしばらくしてからじゃないですか......?それがあまりにも速すぎて、『とんでもないスタートダッシュを切ってしまったな』と思っており、ここから先の放送でここまでの爆発力はあまり期待しないでほしいなと思っています(笑)」

――(笑)。結構、ふだんアニメや声優に触れる機会が少ない、年齢層が高い方々も聴いていらっしゃるみたいですね。

「そうなんです、本当にありがたいことに。自分の中では親の存在ってとても大きくて、声優の活動を始めた頃から『親が喜んでくれたらいいな』というのが、モチベーションの大きな割合を占めていたんです。だから今、親世代の方がラジオを一緒に面白がってくれる環境になりつつあるというのは個人的にもすごく嬉しいです。逆に若年層、今までずっと応援してくださっている同年代の方や、さらに下の世代の方で『聴いてます!』と言ってくださる方もいるので、ラジオがいろいろな世代の方と感覚が共有できる場所になったらいいなと思っています」

――「いろいろな世代の方と感覚が共有できる場所」というのは?

「ラジオって一方通行じゃなくて、メールやお便りを通じた、番組とリスナーさんとの双方向のコミュニケーションですよね。例えば、上の世代の人にとっては『若い人たち、頑張ってるな!』、逆に若年層にとっては『面白いメールを書く大人がいるんだ!』みたいに感じてもらえたらいい。どちらの世代も互いに希望を感じられる場所にできたら理想です。そんなことが音声でお届けできるのってラジオ番組くらいなので、そういう環境に身を置かせていただけているのが、本当にありがたいことだなと常々思っています」

■作品と裏側をワンセットで知りたい

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――ご自身もラジオを聴くのが好きだという佐倉さん。今おすすめしたい「神回!」だと思うラジオはありますか?

「ライターのARuFaさんとダ・ヴィンチ恐山さんの『匿名ラジオ』が好きで、3周以上リスニングしているのですが、その中に『トークのおしくらまんじゅう』という回があるんです。おしくらまんじゅうって『押されて泣くな』という歌詞があるじゃないですか。あるテーマに沿って強い言葉を言い続けて、先に泣いちゃった人が負け。強い言葉といっても、暴言や悪口ではなく、どんな言葉なのかぜひ聴いて確かめてほしいのですが。

大の大人たちが、どちらかが泣くまで強い言葉を浴びせ合うという、本当にしょうもないことをやっているだけなんですけど、それが大好きで(笑)。元気がないときや、気分が落ち込んだとき、理由がはっきりしないようなネガティブ期にはかなりお世話になっています」

――わかる......!『匿名ラジオ』は企画がとにかく面白いですよね......!

「企画力と、それを具現化する能力もすごいですし、トークの反射神経、無意識だと思いますが声のトーンの使い方とかもすごいんですよ。あのお二方は自分をキャラクターとして確立させる才能が飛び抜けていると思います。たまに『匿名ラジオ』の中で『サキュバスラジオ』という企画があり、これがお二人がサキュバスでマッサージ店を営んでいる設定で、オモコロ社員の方々を招いてトークで気持ちよくさせて帰す、というだけの企画なんですけど、もはやエチュード(即興劇)なんですよ」

――役者ならではの視点ですね......!

「がっつり声色を変えているわけでもなく、喋り方や内容でお二人が役を確立させているのを聴いてると『これはもう役者じゃん、コントじゃん』と。それを聴いていると、表現者としての自信を刈り取られるような気分になるんですが、同時にいいモチベーションにもなっているような気がしています(笑)。そんなわけで『匿名ラジオ』は繰り返し聴いてしまうラジオ番組の一つですね」

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――ありがとうございます!ちなみに、学生時代からラジオがお好きだったと別のインタビューで拝見したのですが、ラジオのどんなところに惹かれたんでしょうか?

「前提からお話すると、ラジオパーソナリティに限らず、俳優、漫画家、小説家、エッセイスト、モデルなどなど、表現者の方っていろいろな複合的な魅力で成立していると思うんです。例えば、漫画家だったら監督、脚本、演出、役者、美術の役を、すべて一人で考えて構成していくわけじゃないですか。小説家もそれに似ていて、より言葉に特化していますよね。俳優なら容姿、声、表情、感情表現すべてを一人でコントロールしている。そう考えると、ラジオパーソナリティって単に喋りがうまいだけではなくて、文字に起こしていないだけで、喋りでエンタメを作り上げる脚本家でもあるなと思うんです」

――確かに......!

「しかも、その脚本は自分の人生や生き様を映していて、喋れば喋るほど嘘をつくのが難しくなっていく。というか『あれだけ喋るとどうしてもその人の本質が出てしまう』というほうが近いかもしれません。元々、私は学生の頃から創作物に興味があったのですが、人間そのものにもとても興味が濃く、『その作品はどんな人間が作ったのか』まで見るのが大好きでした。例えば、映画を観た後の"メイキング映像"を見るのが好きで、自分の中では必ず"作品とその裏側"をセットで見たい気持ちなんです」

――作品だけ観て終わり、ではないんですね。

「どういう人がどんな思想で、何を表現したくてどんな過程で作ったのか。それを作品と一緒に知ることが、私の中では喜びとして大きくて。そういう意味でラジオは、作品と作者の人間性(裏側)が同時に表現されているコンテンツなんですよね。エッセイもそれに似ているのでとても好きです。それにお芝居をする上でも、基本的に奥底にある題材って"人間"なので、人間を知らないことにはお芝居も成立しない。そうするとラジオやエッセイのようなコンテンツって、人間をより深く理解するための参考として、とても優秀なんです。......遠回りしましたが、だからラジオというコンテンツが、私にとっては魅力的だったんだと思います」

■見えているものがその人のすべてではないから

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――そんなふうにラジオやエッセイを捉えたことはなかったです......! そう考えるようになったきっかけはあるんですか?

「元々は、単に面白いと思う番組を聞き流してる感じで、表面的に『この人、面白い!』『この話題、面白そう!』とかで聴いていただけだったんです。ただ、中学時代にお芝居の勉強を始めたことで、『なんでこの人からこういう言葉が出るんだろう』『なんでこのタイミングでこういう返事をしたんだろう』と想像しながらラジオを聴くようになって。そこから一人の中にある感情の線、人生の物語みたいなものを考えるようになったのだと思います」

――お芝居を始めたことで、"裏側"に対する興味がさらに強くなったんですね。

「おそらく当時の自分としては、安心感が欲しかっただけだったんです。人間の心の動きを論理的に理解して、分析して、言語化して......とやっていれば、なんとなく人間のことがわかった気になるじゃないですか。それに、お芝居ってテストの点数のように数値化できないので、そういうことで自分に自信を付けていくしかない。
でも逆に、声優のお仕事をするようになって年齢が20歳を超えたくらいからは、『それで人間をわかった気になる』のが、いちばん怖いことなんじゃないかと思うようになってきました。じつは、ラジオの中で私が時折『集団ごっこ』『分かり合えているごっこ』という言葉を使うのも、この辺りの考えと繋がっていて」

――「集団ごっこ」ってすごいパワーワードで、気になっていました。もう少し詳しくお聞きできますか?

「例えば、私が聴いているラジオのパーソナリティにしたって、きっとラジオでは見せない一面がたくさんあるはずですよね。でもコンテンツを受け取っている側は、そこで受け取れるものが、その人の人間性すべてだと思ってしまったりする。そうすると、聴く人の頭の中にいるそのパーソナリティと、本当のパーソナリティの人間性が乖離していきます。ラジオは一例ですけど、本当は俳優でも声優でもいろいろな存在にそれが当てはまる。そして、その延長線上には『キャラクターとして人間を消費する』ということがあって、私はそれがすごく怖いことだなと思うんです」

――見えている部分だけでその人の人間性を決めて、それ以外を受け入れなくなってしまう。つまり、それが「キャラクターとして消費する」ということになる。

「そうです。この問題は私にとっては見る側、見られる側の両方の側面があって。私自身、『こうやって自分自身も消費されてるんだ』と感じていたことが、そう考えるようになったきっかけだと思うんです。逆に、10代の頃は『それを承知でお金をもらっているから当たり前だろう』と思っていた節があって、ある意味ではそれが強みになっていたかもしれない。でも今思うと、それ自体、すごく危険な思想だなと感じます。なぜって、見られる側がそれを受け入れてしまうと、自分以外の人にもそれを求めてしまう可能性があるから。どんな業界であれ、『キャラクターとして消費されて当たり前だ』と相手に押し付けるのは、とても乱暴なことだなと」

■親への思いと、ほかの人の笑顔に対する思い|『僕のヒーローアカデミア』麗日お茶子

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――2025年にはFINAL SEASONが放送する「僕のヒーローアカデミア」(以下、『ヒロアカ』)では、ヒロイン・麗日お茶子を演じられています。まずは、作品との出会いから教えていただけますか?

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「最初の出会いはオーディションでした。そのときに初めて原作を読ませていただいたんですけど、じつは私自身、普段はあまり少年マンガを読む習慣がなくて。学生時代に通ってきたのも『ツバサ・クロニクル』や『さよなら絶望先生』など、王道の少年漫画ではなかったように思います。なんか、引きこもりには「友情・努力・勝利」という王道がまぶしすぎて(笑)」

――まぶしすぎる(笑)。

「でも『ヒロアカ』は読んでみたら、すべての精一杯生きる人たちに向けた作品に見えて、『アニメに参加したい!』という気持ちがとても大きくなりました。『あぁ、この作品に関われるなら人生を賭けてもいいな』と素直に思えました。アニメ版のスタッフの資料を眺めても、錚々たる面々で『こんな方々と仕事できるなんて、どれだけ人生のおみやげになるんだろう』と感じていました」

――オーディションの段階で、かなり佐倉さんの気持ちも乗っかっていたんですね......!

「オーディションの競争率も高いだろうし、難しいだろうと思っていたのですが、テープオーディションで合格の連絡をいただいて......。マネージャーから知らせをもらった瞬間、交差点のど真ん中で嬉しさを抑えきれず、その場でめちゃくちゃ喜んだ記憶があります(笑)」

――演じられたお茶子は物語としても、雄英学園1年A組でも中心的な存在ですよね。演じる上ではどんなことを意識されていたんでしょうか?

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「お茶子がヒーローを志しているのって、『ヒーローで稼いで両親に恩返しをしたい』と『みんなを笑顔にしたい』というような理由からなんですよね。私は、お茶子みたいに健康的な生き方はまったくできなかったのですが、『両親がとても大切』『ほかの人の笑顔を見るのが好き』という点では、彼女に強く共感しているんです。
私、父のことも母のこともとんでもなく愛していて、あまり他では出会わないくらい親への執着心が強いんです(笑)。それと、昔から人が笑うところも、泣くところもめちゃくちゃ好きで、とにかく人の心が動いている瞬間を見ることが大好き。母と一緒にテレビを見ていて母が笑っていたら、そのテレビの内容よりも母が笑っている顔の映像のほうが、強く記憶に残ってたりしています。『こういうところで笑うんだ』と。
お茶子も同じで、すごく嬉しそうな人の顔を、彼女は見ている。お茶子の他の部分は、私からみたらまぶしすぎるくらいだし、自分とは対極にいるタイプだと思ってしまうのですが、彼女の信念、大きな思いの部分で共感できたことは、彼女を演じ切る上で大きなポイントになったと感じています」

■オンエアを観て泣いた|『僕のヒーローアカデミア』麗日お茶子

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――2016年の第1期の放送からおよそ10年を経て、多くのファンが応援する作品になっていったことと思います。思い出に残っているファンからの声はありますか?

「『佐倉さんが声をあてていると、キャラクターが生きているみたいだよね』と言っていただいたこと、かな。私はそれを目指してお芝居をしているので、とても嬉しかったです。やっぱりお茶子のシーンで言うと、『体育祭の爆豪戦』『未成年の主張』『トガヒミコ戦』の3つがとくに反響が大きくて。観ていただいた方から『この辺(みぞおち辺りを触りながら)から声が出てるのがわかった。あんな局面になったら、ああいう声が出ちゃうよね』『あのシーンの後、のど大丈夫でしたか?』と言っていただく機会もありました」

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――その3つの印象的なシーンについて、もう少しおうかがいしていいですか?

「いいんですけど......爆豪戦のアフレコはほぼほぼ記憶がないし、未成年の主張はほぼほぼ一発OKだったので手応えがなかった、というくらいしか(笑)。ただ、トガヒミコ戦は、現場で何度も試行錯誤して......という感じで、それぞれシーンごとに全然向き合い方が違ったんじゃないかなと思いますね」

――爆豪戦の記憶がない、というのは酸欠に近い感じ?

「そうですね。極度に集中していたのもあると思います。本当に叫んだし、耐えたし、とんでもない感情の高ぶりと、喉を酷使しながらの戦いだったので、本当に何一つ覚えていない(笑)。ノブ(岡本信彦)さんともよくそんな話をしています」

――むしろ覚えていないということが、いかに収録が激しかったかが伝わってきますね......! 爆豪戦のあとの、お父さんとの電話も印象的なシーンでしたよね。

「そう、じつはあのシーン、自分で演じたくせにオンエアを観て泣いてしまった回なんですよね。自分がやったお芝居なのに、自分じゃなくて完全にお茶子の声になってると感じられて、あのシーンを見ながら自然と自分の親のことが頭に浮かんできたんです。

普通は、オンエアをチェックしているときは『もっとこうできたのに』と思うことのほうが多くて。『まだ自分には伸びしろがある』『頑張れる』『できなくて悔しい』という気持ちが次に繋がっていくものだと思うので、ネガティブな感情ばかりではないのですが。

だけど、たまに自分が完全に消えてキャラが喋り出すことがあって、あのシーンに関しても『お茶子が喋ってるんだから、私がうまくできたとか、できなかったとか、そういう話じゃないな』と思いました。だから、あの回はいちファンとしてオンエアを観てしまった回なんです」

――すごく素敵なエピソードです。続いて、トガヒミコ戦の試行錯誤についてもお話を聴いていいですか?

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「トガヒミコ戦に関しては、トガちゃん役の福圓さんと一緒に悩んで、『まだこのお芝居の先があるんじゃないか』という思いが私たち二人にもスタッフさんの中にもあって、それを現場でどんどん突き詰めていきました。彼女たちにとっては命を懸けた対話のシーン。それを演じるからには、普通に喋っているだけでは感情を表現しきれない。私はもう、テストの段階からずっと泣いてしまっていて、その状態で本番、さらにリテイクを何度も何度も重ねて。『まだいける、まだいける』って。極限を超えた先でいいものが生まれると信じて、自分を追い込んで......追い込んだあとにようやく出たもの、という感じでした」

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――最後は、どんなところにたどり着けたと思いますか?

「いや、それが私もわからないんですよ。最後は意識がもうろうとしていたし、たくさん録った中でどのテイクが使われたのかもちゃんとはわからない。ただ必死に手を伸ばし続けて、そこに手が届いたのかどうかわからないまま、という感じでした。まぁでも人生ってずっとそんなものですよね。ただ、周りのキャストの方々が『大丈夫?』『すごかったね』と声をかけてくれたことがとても心強かったのは覚えています」

――ありがとうございます......! 最後に、佐倉さんにとって麗日お茶子はどんな存在ですか?

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「10年近く一緒にやってきたし、"パートナー"と呼ぶのが一番しっくりくるかなと思います。"パートナー"って、いろいろな意味合いがあると思うんです。私にとっては、彼女がいたからいろいろな景色を見ることができた......それは現実世界でもそうだし、彼女の目を通して見た『ヒロアカ』の中の凄惨な世界、救いのある世界もそうです。そうやって見てきた景色があるから、いまの自分がいるわけだし、自分を形づくる一部として、かけがえない存在になっていると思います。彼女の人生や、場面ごとの感情と相談しながら、彼女の気持ちや伝えたいこと、表現したいことを声としてお手伝いさせてもらえて本当に光栄です。彼女にとっても、私が"いいパートナー"になれていたら嬉しいな、と思います」

取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃

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