「来季はリーグワン初優勝を目指し、チームも個人も進化した姿を見てほしい!」【松島幸太朗/東京サントリーサンゴリアス・FB(フルバック)】ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~
スポーツ インタビュー
2025.07.20
日本代表として、ワールドカップに3大会連続出場し、オーストラリア、フランスなど海外クラブでもプレー経験のある東京サントリーサンゴリアスの松島幸太朗選手。幼少期はサッカーをしていたが、南アフリカで中学1年生からラグビーを始めた松島選手に、リーグワンでの今季の振り返りと来季への意気込みを聞いた。
――惜しくも6位に終わった2024-25シーズンのリーグワンを振り返っていただけますか?
「チームとしては序盤からなかなか勝てない時期が続き、途中で自信をつけていった感じでしたが、やはり厳しいシーズンになってしまったなという印象です。プレーオフの準々決勝のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦(●15-20)も惜しい試合でしたが、自分たちのミスや規律の悪さが目立ってしまい、勝つためには80分間やり切ることの重要性を痛感しました。個人的にもシーズン序盤はけがで出遅れてしまい、試合に出られず、結果の出ないチームを歯がゆい思いで見ていました。それでも復帰後はシンプルに自信を持って、1週間通してやったことを試合でやり切ろうと意識していました。後半、ようやくチームも個人も持ち味が出せるようになってきたころにシーズンが終わってしまったなという感じで、『もう少し早く復帰したかったな』と不完全燃焼な気持ちと悔しい思いが残りましたね」
――チーム内には若手の選手も育ってきていますね。
「FB(フルバック)河瀬諒介選手は、サンゴリアスに入ってきた時から良い選手だなと注目していました。彼が今後どう成長していくか楽しみですし、同じポジションに良い選手がいるのはうれしいです。僕は自分から積極的にアドバイスをするタイプではないのですが、キック練習などは一緒にしています。試合にずっと出続けたい気持ちはもちろんありますが、徐々に世代交代が必要だと思いますし、サンゴリアスが強くなるためにも若手の成長が不可欠なので、若い選手が活躍するのは良いことです。でも、自分もまだまだ負けないという気持ちです。今年は長い距離を走る数値が昨年よりも上がりました。今後も筋力をつけながら、僕の持ち味でもあるスピードも落とさないようにトレーニングに取り組んでいくつもりです」
――昨季、トップリーグとリーグワンの通算で、公式戦100キャップ出場を達成されましたね。
「やっとここまで来たなという思いもある一方で、まだまだだなという気持ちもあります。(トップリーグ)初キャップは20歳の時で、オーストラリアやフランスなど海外での経験も重ねてきました。一つ一つ必死でやってきて、その積み重ねを感じています。今は漠然と35歳くらいまではプレーしたいと考えていますし、セカンドキャリアについてまったく考えていないわけではありません。でも、チームが必要としてくれる限りは現役を続けたいですね。選手としてまだまだ進化できていると感じていますし、来季もこれまで取り組んできたことを継続して、さらに新しいことも取り入れながらやっていきたいと思っています」
――6月から8月にかけてはオフとうかがっています。松島選手の趣味は何ですか?
「映画を見るのが好きなので、アクションやコメディーなどを英語字幕で見ていますね。子どもたちと一緒にアニメを見ることもあります。今年はしばらくやっていなかったのですが、趣味のゴルフを再開しようかなと考えています」
――来季に向けての意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
「まずは、開幕から試合に出たいですし、自分の強みであるボールキャリーとキックはもちろん、自分の進化した姿をファンの皆さんにみてもらいたいです。トライも期待されることが多いのですが、自分としてはFBとしてWTB(ウイング)に良いボールを出したり、SO(スタンドオフ)と一緒にボールを動かしたりということも大事な仕事かなと思っています。
サンゴリアスはリーグワンになってからまだ優勝していません。同じ東京都府中市に練習グラウンドがあり、『府中ダービー』のライバルで、連覇を達成した東芝ブレイブルーパス東京を倒して優勝したいですね。とはいえ僕たちは、まず自分たち自身をしっかり見つめ直して、来季はファンの皆さんの前に強いサンゴリアスとなって戻ってきて、頂点を目指したいと思っています」
Profile
'93年2月26日生まれ、南アフリカ出身。桐蔭学園高校→シャークスアカデミー→サントリー→クレルモン(仏)→東京サントリーサンゴリアス。身長177cm /体重87kg。ポジションFB。'15、'19、'23年ワールドカップ日本代表。
撮影/長尾亜紀 取材・文/斉藤健仁