第六回 プロ野球愛宣言! 【歌手・相川七瀬】 〜ベイスターズは家族にとって大切なコミュニケーションの核です〜 横浜DeNAベイスターズ編

第六回 プロ野球愛宣言! 【歌手・相川七瀬】 〜ベイスターズは家族にとって大切なコミュニケーションの核です〜 横浜DeNAベイスターズ編

数々のヒット曲を生み出し、今年デビュー30周年を迎える相川七瀬さん。応援するベイスターズ愛を語ってもらった。

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――ファンの間では"勝利の女神"と呼ばれる相川さんですが、野球ファン/ベイスターズファンになったきっかけは?

「'15年ごろだったと思うんですけど、ベイスターズが神奈川県内の小学校にチームのベースボールキャップを配ったことがあって、それで子どもが興味を持ち、横浜スタジアムに野球を観に行きたいと言い出したのがきっかけなんです。それから一緒にスタジアムに行くようになって、少しずつ私も野球って面白いな、球場って楽しいなって思うようなりました。その後、始球式に招いて頂いたり、イベントで歌わせてもらったり、また三浦大輔監督や、山﨑康晃選手らとも交流を持つようになって、ベイスターズはすごく身近な存在になりました」

――相川さんは大阪出身なので、てっきり在阪球団のファンなのかと。

「父は阪神タイガースのファンで、私が小さいときは岡田彰布さんや掛布雅之さん、バースさんがいた黄金時代でした。だけど、甲子園には1回観に行ったぐらいで、以来、野球とは縁のない生活だったんです。でも子どもの影響で観に行くようになって、野球をあまり知らなくてもスタジアムにいる3時間がすごく楽しくて、本当イニング間の演出とか観ている人を飽きさせないというか、すごい工夫をしているなって思いますね」

――お気に入りのグラウンドイベントはありますか?

「4回が終わった後にやる『Hisense ハマスタバトル』ですね。ベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチームdiana(ディアーナ)がファンの方々とリレー対決するんですけど、本当楽しみにしているんです。dianaがめちゃくちゃ足が速くて、すごいなって。お客さんも参加して、みんなであの空間のムードを作っているように感じて、すごくいいなって思うんです」

――相川さんが応援するようになった時期からクライマックスシリーズ(CS)に出場するなどチーム力が上がっていきましたが、ベイスターズの野球の魅力とは?

「やっぱり選手たちの仲の良さですかね。コロナ禍のとき印象深い出来事があったんです。観戦に行っても声を出して応援できない時期で、その代わりベンチから声がすごくたくさん聞こえたんです。選手たちがポジティブな声掛けをしていて、様子を知ることができて良かったなって。笑顔が絶えないというか、以前、筒香嘉智(よしとも)選手と対談させて頂いたときに、いい意味で世代の垣根がなくて全員が同じ目線で切磋琢磨していると聞いたんです。チームワークこそがベイスターズの野球の魅力だと思いますね」

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――チーム一丸となった結果、昨年の26年ぶりの日本一がありました。あのときはどのような気持ちでチームを見守っていましたか。

「私としてはCSや日本シリーズで勝つたびに『あ、また次もベイスターズの試合が見られる!』ってうれしい気持ちになっていたんです。その喜びをつないでいったら、最後は日本一になっていた。日本シリーズでソフトバンクに連敗したときはもうダメかとよぎりましたが、チームはそこから奮起して横浜スタジアムに帰って来てくれた。そのときは『まだ推しの野球が見られるぞ!』って。だから本当、私としては勝っても負けても11月まで野球を見させてくれてありがとうといった感じでしたね」

――なるほど。相川さんは年間どの程度、球場で観戦なされるんですか?

「横浜スタジアムだけじゃなく、東京ドームや神宮球場にも行くので、多い年で30試合ぐらいですかね。少なくとも20試合は行きますよ」

――こだわりの観戦スタイルはありますか?

「以前は内野のSS席とかで見ていたんですけど、そこだとあまり叫べないじゃないですか。大きな声を出すとすごく目立つし、以前に選手たちから『相川さんの声、すっごい響いていますよ』と言われて、これはダメだと思い、もっと遠くに行こうって(笑)。実は最近は、外野で観戦するのに凝っているんです。外野が一番面白いし、楽しいんです。外野では気を使うことなく大声を出して応援できますし、ファンの方々と一緒になって盛り上がれるので好きですね」

――ベイスターズファンの方々の気質というのはどのように感じていますか?

「温かい人が多いし、優しいんですよね。一昨年のCSのとき、マツダスタジアムで広島戦を観戦していたんですけど、大田泰示(たいし)選手がバントをしようしたんですが、上手くいかなかったんです。でも次の瞬間『バントがダメならホームラン!』ってすぐに切り替えて、すごい応援が始まったんです。文句を言う人も野次る人もいない。ベイスターズのファンはどれだけピンチを迎えても、選手がミスをしようと、いいところを見ようと応援するんだってすごく印象深かったです。私も応援される仕事をしている者として、その場面はすごく感動したのを覚えています。本当に温かいんですよ」

――今、推している選手はいらっしゃいますか?

「もうハコ推しって感じです。どの選手にも頑張ってもらいたいです。ただ山﨑康晃選手とは仲良くさせてもらっているので、特に応援しています」

――期待の若手選手を挙げるとすれば?

「2年前に入団したときから、松尾汐恩(しおん)選手には期待していました。今年はバウアー選手とバッテリーを組む機会も多くてうれしいですね。ただ、キャッチャーは競争が本当に熾烈(しれつ)だと思います。山本祐大選手も頼もしくなりましたし、ベテランの戸柱恭孝(やすたか)選手や伊藤光選手もいる。とくに戸柱選手がいなかったら昨年の日本一は難しかった。キャリアを重ねたベテランの重要さに気づかされました。そういった中で松尾選手がどこまでやれるのか楽しみですね」

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――三浦監督とも交流がおありだそうですが、どのような方でしょうか?

「監督になってすぐのとき負けが続いて、夜も眠れなかったみたいなことをポロッとおっしゃっていたんですけど、葛藤もあるでしょうし、本当に大変な仕事だと思います。でも決してベンチでは感情を顔に出さないし、周囲に気づかせない。やっぱりピッチャーとしてマウンドに立っていたから感情をコントロールできる。だから日本一になって男泣きをした姿はグッとくるものがありましたね。三浦さんは誰に対してもソフトですし、若い選手たちからも信頼されている。そういう意味では、今の選手たちの価値観を受け入れながら指導できる、今の時代に合った監督なんだなって思います」

――シーズンも中盤戦を迎えていますが、今後どのような戦いを期待したいですか。

「粘り強く、最後まで泥臭く戦うのがベイスターズだと思っているので、諦めることなくプレーしてくれると思います。あとはベテラン、中堅、若手の全員が入り混じって、互いの技を磨き合うようなプレーを見せてもらいたいですよね。勝つことはもちろんですけど、チーム内が活性化していくのを個人的には見たいと思っています」

――最後に相川さんにとってベイスターズとは?

「大好きなチームということと同時に、家族にとって欠かせないコミュニケーションの核になっています。子どもたちとはもちろん、阪神ファンの父とも球場に一緒に行って会話をしますし、親子三世代にとって試合観戦はすごく大事な時間になっています。そういう意味でもベイスターズは私たちにとってなくてはならないものになっています。だからこそ今年も最後の最後まで、目いっぱい野球を楽しませてもらいたいですね」


粘り強く、泥臭く戦う
ベイスターズだからこそ
昨年日本一になれたと思います


Profile 相川七瀬
' 75年2月16日生まれ、大阪府出身。'95年11月、「夢見る少女じゃいられない」でデビュー。その後もヒット曲を数多く世に送り出し、現在までのCDトータル売り上げは1,200万枚超。'24年4月からは國學院大學大学院へ進学し、音楽活動と学業を両立中。今年6月にミニアルバム「STARDUST」をリリース。


取材・文/石塚隆 撮影/佐野美樹

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