元バレーボール女子日本代表選手・大山加奈が語る、SVリーグの見どころ&"推し"選手

元バレーボール女子日本代表選手・大山加奈が語る、SVリーグの見どころ&"推し"選手

昨年、パリ・オリンピックでの代表チームの活躍後、国内では、2027年の完全プロリーグ化を目指して新たにSVリーグが発足し、バレーボールは今、新時代ともいえる盛り上がりを見せている。4月第3週からはチャンピオンシップも始まり、ますます目が離せないSVリーグの注目ポイントについて、日本のバレーボール界を代表するスター選手で、前身となるVリーグでも活躍した大山加奈さんに話を聞いた。

――今、バレーボール界には新たな盛り上がりの波がきていますよね?

「はい、それはすごく感じています。SVリーグの開幕戦が地上波のゴールデンタイムに放送されて、これは今のバレーボールの盛り上がりを感じる大きな出来事でした。中でも、男子は特に注目されていて、どこへ行っても男子バレーの話題が出ることが増えましたね」

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――バレーボールといえば、これまでは女子人気の方が高かったですよね?

「男子がこんなに強くなって人気が出る未来が来るとは、正直、思ってもみなかったですね(笑)。ただ私は、昔から『男子バレーは面白いんですよ!』って言い続けてきた一人なので、今の男子人気は素直に嬉しいです」

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――男子がここまで強くなったのは、なぜでしょう?

「いろいろな要因があると思うんですけど、やはり(フィリップ・)ブランさんが代表監督になって行った意識改革というのは大きいですね。選手たちが『日本人でもやれるんだ!』って自信を持てるようになったので。もちろんそこには、世界トップのリーグであるイタリア・セリエAで活躍している石川(祐希)選手の存在も欠かせなかったと思います」

――石川選手の活躍は、バレーボール選手に憧れる子どもたちへの影響も大きいですよね?

「それは絶対にあると思います。あと、子どもたちへの影響という意味では(漫画とアニメの)『ハイキュー!!』の存在も大きいです。世界のトレンドの戦術とかをちゃんと描いてくれる作品なので、子どもたちのバレー知識が昔とは比べものにならないぐらい高くなっていて。海外のファンにも、『日本はリアル「ハイキュー!!」だ』みたいに言ってもらえるし。もう、『ハイキュー!!』さまさまです(笑)」

――そうした中で新たにスタートしたSVリーグ。すでに初年度の戦いも終盤に差し掛かっていますが、大山さんの目から見て、新しいSVリーグはいかがかですか?

「とにかく演出が華やかなので、選手としては、ものすごくモチベーションが高まると思いますね。以前、(バスケットの)Bリーグの試合を見に行って、すごく楽しかったんですよ。あちこちにエンターテインメントの要素が詰まっていて、チームや選手をよく知らなくても楽しめる。『バレーボールもこれを目指すべきだな』と思っていたので、それがいよいよ実現しつつあるって感じています」

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――SVリーグの中で、大山さんが注目している選手はいますか?

「女子の注目選手は、デンソーエアリービーズの(モンチベレル・)ロザマリア選手です。彼女はブラジル代表の主力選手なんですけど、そういう世界のトップ選手が国内リーグでプレーしてくれるということは、他の競技と比較してもとてもすごいことなので」

――男子の注目選手はいますか?

「男子は、パリ・オリンピックでも活躍した西田有志選手(大阪ブルテオン)とか高橋藍選手(サントリーサンバーズ大阪)。わざわざ私が言わなくても注目されていると思いますけど(笑)。彼らの他にも、素敵な選手や上手な選手がたくさんいるので、その中から新たな推しを見つけてもらいたいですね」

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――大山さんの個人的な推しの選手はいますか?

「私の推しは東京グレートベアーズの後藤陸翔選手です。昨年、チームのイベントで、うちの双子の娘たちが後藤選手にバレーを教えてもらったのですが、その教え方がすごく優しくて。3歳児たちに対して目線を合わせて教えてくれて。そこからもう、ママ目線で完全に推し選手になりました(笑)。でも、ああやって地元のファンと交流することって、改めてすごく大事なんだなって感じました。実際に少し触れ合っただけでも、こんなにファンになっちゃいますから」

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――そういう触れあいの中から、未来のスター選手が生まれてくるかもしれませんからね。

「そうなんです。SVリーグになって、全チームにホームタウンの地名が入るようになったので、まずはその地元にチームが根付かないといけないんですが、他のスポーツもいろいろと盛り上がっている中では、いかに試合会場に来てもらえるかが大事。よく『ライバルは巨大スーパー』って言われます。休日に家族でお出かけしようってなったときに、巨大スーパーではなく、バレーボールの会場に来てもらえるようにと」

――それは面白いですね。他のスポーツとファンを取り合うのではなく、巨大スーパーに出かけるような家族を試合会場に連れてこようと。

「会場にキッチンカーを出して食事もできるようにしたり、子どもたちが遊べるような場所を作ったり、それぞれのチームが工夫してるんです。そうやって地元のお客さんをたくさん集めて、"おらが町のチーム"として愛されるようになっていけば、リーグ全体も盛り上がっていきますから。まずはSVリーグの試合をテレビで見ていただいて、面白いなって思ったら、ぜひ、お近くで開催される試合にも足を運んでいただきたいですね」

※高橋藍の「高」は正しくは「はしご高」

撮影/佐野美樹 文/八木賢太郎

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