SVリーグ開幕!「黒後愛選手が楽しそうにバレーボールをしていることが何よりもうれしい」【ぺえ連載第2回】

ぺえ

ぺえ (タレント)

タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。

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タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。

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SVリーグ開幕!「黒後愛選手が楽しそうにバレーボールをしていることが何よりもうれしい」【ぺえ連載第2回】

バレーボールをこよなく愛するタレント・ぺえによるバレーボール連載企画。今回は2024年10月に1stシーズンが開幕したバレーボールの新1部リーグ「大同生命SV.LEAGUE」の開幕戦から各チームをウォッチしたぺえが、独自の視点で注目チーム&選手をピックアップしてくれた。

■NECレッドロケッツ川崎


3連覇が懸かっているということで、初戦はプレッシャーの中でのプレーに硬さが見られました。そんな中で、ルーキーの佐藤淑乃選手がのびのびとプレーすることで良い起爆剤となり、2戦目からチームを活性化させていましたね。佐藤選手は攻守ともにハイレベルですが、特にサーブに注目したいです。高い打点からの重い打球なので非常に取りづらく、サーブミスも少なく安定しているので、チームには欠かせない武器となっています。個人的には、速いバックアタックをもっとラリー中に見たい!

また、若手選手の勢いに呼応するように、ベテランの島村春世選手が好調をキープしているのも見逃せません。コート内を躍動する姿にはたくましさを感じますし、チームメイトはとても心強いだろうなと思いました。プレーに関しては、ブロックに跳んでからの攻撃参加が速い上、幅のある攻撃は相手チームにとって脅威だと思います。

そして、セッターの中川つかさ選手の成長には驚きを禁じ得ないですね。アタッカーとのコンビネーションも息が合っていますし、勝負どころで的確なトスが上がるようになっていて、チームの柱としての存在感が大きくなったと思います。個人的に、セッターは塚田しおり選手をメインで起用してくると思っていたので驚いたのですが、今後はおそらく塚田選手の出番も増えていく中で、まずは堅実なトスを上げて硬いバレーを構築できる中川選手を使って手堅く勝ち星を取りにいっているのでしょう。

一方で、古賀紗理那選手が引退し、小島満菜美選手が海外に移籍してしまったので、プレー中やタイムアウト時に声を掛けてくれる選手の必要性を感じました。

■埼玉上尾メディックス


個人的に優勝候補として推しているのですが、やはり良いですよね。メリハリのあるチームに仕上がっていて、"盛り上げるところは盛り上げつつ、締めるところはしっかり締める"というチーム内のオンオフの効いた空気感が、いいリズムを生んでいるように感じます。そして "チームの顔"といっても過言ではない、今年で引退を発表している山岸あかね選手のラストイヤーを優勝で飾るべく、チームが一体となっていますよね。

また、今年SAGA久光スプリングスから移籍してきた浜松明日香選手がすでにチームに馴染んでいて、いい意味で埼玉上尾のバレーに欠かせない存在になっているなと。新天地で輝こうとする意気込みが見て取れますし、浜松選手の気合がチームに活力を与えています。鎌田咲希選手とのコンビも息ぴったりで、誠英高校で培ったチームワークは顕在ですね。

佐藤優花選手はコース打ちとブロックアウトの精度が高く、安定感は盤石ですし、目黒安希選手は攻撃のパターンが多く、目黒選手が相手ブロックを上手く揺さぶっていることで、チームに多くのチャンスを呼び込んでいます。

あと、岩澤実育選手のレシーブのコース読みとボールコントロールは圧巻。加えて、流れのあるテンポの良いレシーブが絶品!岩澤選手が1本目をレシーブすると攻撃のテンポが良くなっていくので刮目して見ていただきたいです。

そんな中で、黒後愛選手が楽しそうにプレーしていることが、何よりも私の喜びです!もちろん選手として結果も残さないといけないというのもあると思いますが、黒後選手にはとにかくバレーボールを楽しんでほしい。去年から幅のある攻撃を見せてくれていて、楽しみながらもバレーの真髄を追求しているのが伝わってきて、こちらも見ていて楽しいですし、やはり黒後選手が決めるとチームが活気づきます。

■SAGA久光スプリングス


苦しい時に踏ん張って打ってくれている中島咲愛選手の活躍に引っ張られるように、若手の北窓絢音選手や深澤めぐみ選手、吉武美佳選手が活躍をしてくれているので、今後が楽しみなチームです。加えて、ここぞという時にチームを勢いづけてくれるベテランの長岡望悠選手が貴重な役割を果たしてくれています。

リベロの西村弥菜美選手が積極的に声を出してチームをまとめている印象なので、チームワークは及第点。今後は外国人選手2人に頼り過ぎないバレーボールを展開できるかが勝負の鍵を握るのではないかと思います。

■東レアローズ滋賀


若いチームなのですが"誰がいつ化けるか分からない"という可能性を感じました。とにかく田代佳奈美選手のトスが安定しているので、田代選手の経験に基づく貫禄と精度の高いプレーに周りの若手選手もいい影響を受けているなと。例えば、古川愛梨選手は実業団に入って悩んでいた部分が多かったと思うのですが、田代選手のトスに引っ張られて、思い切り打てるようになっていて、気持ち的にひと皮むけたような印象がありますね。

また、クインシーズ刈谷から移籍してきた大川愛海選手が、フェイクセットに挑戦するなど器用なプレーを見せてくれています。これからもバレーボールを楽しみながらいろいろなことに挑戦しつづけてほしいです。

チームとしても試合をこなすごとに成長していくと思うので、中盤以降も注目したいですね。

■Astemoリヴァーレ茨城


Astemoの試合を見ると、日立リヴァーレ時代の"おじさん応援団"が恋しくなりますね......(泣)。そんな中で、上坂瑠子選手が卓越しています。調子の波もなく安定感があり、スパイクの決定率も高いですし、サーブレシーブも安定しているので、キャプテンとしてプレーでもチームをけん引していると思います。

また、KUROBEアクアフェアリーズから移籍してきた佐藤黎香選手もムラなく好調をキープしていますね。あと、ブリオンヌ バトラー選手がすごく気になっていて。テクニックではなくパワーで押すタイプの選手なのですが、最近そういう選手を求めていたのですごくお気に入りです。

個人的に、オクム大庭冬美ハウィ選手に期待しています。最高到達点314cmの高さとパワーに、安定感という磨きをかけて日本代表を目指して欲しい選手です。

■岡山シーガルズ


今後、勝ち星を重ねていくためのキーパーソンは、小松原凜香選手だと思います。左利きというところも大きいですよね。安定していたレフトの他に武器が必要だったチームを、小松原選手がうまく補完しているなと。上手さもパワフルさも持ち併せている上に、岡山にしては珍しくバックアタックも打てるところも魅力です。

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■ジェイテクトSTINGS愛知


第1節 GAME2でVC長野トライデンツに負けを喫しましたが、その敗北は今後のいい糧になるはず。チーム全体がもう一度気を引き締めるきっかけになるだろうし、何より敗戦後に関田誠大選手と高橋健太郎選が真剣に話し合っている姿を見て「STINGS愛知には敗北を今後の糧にできる選手がたくさんいるな」と改めて思いました。

選手起用に関してもいろいろ試している印象がありましたし、新加入の選手も多いのでコンビネーションの面ではまだ精彩を欠く部分もあるように感じたのですが、今後試合を重ねていく中で、どうブラッシュアップしていくのかというところに注目したいです。

そんな中で、宮浦健人選手は必見!宮浦選手のひたむきなプレーには心を奪われ、つい応援したくなること請け合いです。

■ウルフドッグス名古屋


試合を見ていてわくわくしました。特に、水町泰杜選手に大いなる可能性を感じていて!もちろん山崎彰都選手や高梨健太選手がいるので出場機会も限られてくるんですけど、出場時のプレーにスター性を感じるんですよね。奇想天外なプレーを見せたかと思えば、堅実なプレーでチームを支えるなど、見ていて引き込まれる選手。水町選手が決めた後の会場の余韻とか、会場を支配する不思議な力があって惹かれますね。

また、深谷高校の黄金期を支え、その後いろんなチームを渡り歩いてきたベテランの渡辺俊介選手の活躍にも期待したいです。

■大阪ブルテオン


下馬評通りの強さでしたね。普通のことを言うようでためらいがあるのですが(笑)、西田有志選手が凄すぎる!西田選手だけ違う次元にいるかのようで。また、プレーだけじゃなくメンタルコントロールも秀逸で、熱くなる時もあるけど、冷静さが必要なところではちゃんと自分を抑制する術を心得ていて、ブロックアウトやコースを狙うなどインテリジェンスなプレーも目を見張るものがあります。

そして、リベロの山本智大選手も素晴らしい!西田選手と山本選手は、次のステージに行ってしまっていますね。相手選手が打ったところに必ずいて、「1日、山本選手の目になってバレーをしてみたい」って思ってしまうくらい(笑)。

攻撃面においても、アメリカ代表のジェスキー トーマス選手はディフェンスもできて穴がないですし、キューバ代表のロペス ミゲル選手も安定しているので、大阪Bは盤石ですよね。

ただ、SVリーグは長期戦。西田選手やジェスキー選手頼りの試合をしているとリーグ後半戦は戦い切れないので、リザーブ選手の活躍が大きなポイントになると思います。

■サントリーサンバーズ大阪


攻撃力は十分なのですが、もう少し守備力を高めたいところ。あと、日本の男子バレーのレベルが上がっていて、218cmのドミトリー ムセルスキー選手でも簡単には決められなくなっているので、なかなか厳しい戦いを強いられていくのではないでしょうか。


■SVリーグ全体


男女共に、あまり上位と下位の差がないなと感じました。海外に挑戦している選手も少なくなく、主力選手が抜けたことで、チームごとの総力が拮抗してきています。1セットで30点を超える試合も増えて、すごく見応えがあるなと感じています。

一方、"気になった選手"にリベロの選手がいないことが懸念点ですね。今、全日本女子の第一線で活躍している小島満菜美選手と福留慧美選手が海外でプレーしているので、(リベロの選手は)いわばSVリーグで活躍する絶好機なのですが、心を震わせてくれるような印象に残る選手がまだ出てこないんですよね。

プレー外では、NECレッドロケッツ川崎の金子隆行監督や東レアローズ滋賀の越谷章監督など、スーツやジャケットを着用している監督が増えたところは好ポイントですね。素直に格好いいですし、それでファンになる方もいらっしゃると思います!


※浜松明日香の「浜」は正しくは「まゆ浜」、高橋健太郎の「高」は正しくは「はしご高」

取材・文/原田健  撮影/皆藤健治

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