林部智史がデビュー10周年を迎え見せた素顔と、アルバム『Myself』レコーディング秘話「バンドメンバーと『せーの!』で一発録り」

林部智史がデビュー10周年を迎え見せた素顔と、アルバム『Myself』レコーディング秘話「バンドメンバーと『せーの!』で一発録り」

2026年、デビュー10周年を迎えた歌手・林部智史。2016年にシングル「あいたい」でデビューし、類まれなる歌声で多くの人たちを魅了してきた。コンサート活動を中心としており、人に歌を届けることを大切にしている林部の特別番組「林部智史 音と言の葉の響き ~10年目の歌声~」が歌謡ポップスチャンネルで9月27日(日)にテレビ初独占放送される。

10周年の節目の年に取り組む、今年2枚目のアルバム『Myself』は、ライブで歌いながらも音源化されていなかった楽曲、そして林部による書き下ろしの新曲、多彩な作家陣による新曲といった全12曲を収録。同番組では本作のレコーディングに密着し、歌と向き合い続ける林部が楽曲にどのような思いを込め、どんなことに挑戦しているのかを知ることができる。

今回、林部にインタビューを行い、デビューからの10年の振り返り、そして10周年を迎えた2026年の活動、アルバムレコーディングのこと、秋ツアーのことなどを語ってもらった。

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■デビューから10年。コロナ禍を越えて見つめ直したコンサートのあり方

――デビュー10周年を迎えられましたが、振り返ってみていかがでしたか?

「デビュー期、コロナ禍、そしてコロナ禍が明けてからの活動。自分の中では、この3部構成かなと思っています。もちろん、コロナ禍は想定外のことで、この時期には、例えば客席数が半分ぐらいになるコンサートもありました。皆さんにとっても、コンサートのあり方が結構変わってきたんじゃないかと思っています。普通に娯楽として楽しむことに加えて、本当に誰のコンサートに行きたいかを、より考えるようになったんじゃないかと」

――いろいろなことに挑戦されていますが、デビュー当時に思い描いていた活動は実現できていますか?

「そうですね。デビュー当時は、小椋佳さんや加藤登紀子さんに曲を書いてもらいたいということまでは考えていませんでしたが、いろいろなご縁があって、思い描いていたこと以上のこともやれている感じはあります。やりたいことといえば、コンサートを中心に活動していくという大まかな考えしかなかったんです。それに関しては、実際に10周年を迎えて振り返ってみると、できていると思いますし、ありがたいと感じています」

――この10年の活動の中で、大きなターニングポイントを挙げるとしたら?

「やっぱり、コロナ禍が明けてからのコンサートですね。もしコロナ禍がなかったら、コンサートのスタイルも少し違っていたかもしれません。コロナ禍が明けて、お客様が本当に求めているもの、自分に求められているものはなんだろうと見つめ直す時間にもなりました」

――"コンサートを中心に"という考えで活動を始められたということなので、確かにその時期が大きな転機かもしれないですね。

「はい。本格的にコンサートが再開した時、演出面をどうしていこうかと考えました。例えば、小椋佳さんがプロデュースしてくださった作品を中心に歌うこと。これはそれまでのコンサートにはなかったことです。楽曲を書いてくださった南こうせつさんをはじめ、大先輩方の曲を集めたアルバムを出して、それを中心としたコンサートをやってみようという発想もコロナ禍の前にはありませんでした。皆さんから『そういうこともしているんだね』と言ってもらえるようなコンサート活動ができるかを考えるようになったことが、ターニングポイントだったと思います」

――様々な出会いと縁が、活動の幅を広げてきたということですね。

「そうですね。全部を自分自身で考えているわけではないんですけど、結果として、そういったご縁だったり、何かと何かがつながったりすることは、これからも大いにあるんだろうなと思います」

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■大先輩たちとの出会いと、ニューアルバム『Myself』での新たな挑戦

――小椋佳さんと加藤登紀子さんのプロデュースの違いは?

「お二人のプロデュースの仕方は全然違いました。加藤さんは全てのレコーディングに来てくださって、1曲1曲、もしかしたら一言一言というくらいに『ここの歌い方は』という感じで見てくださいました。いい意味で、自由ではなかったですね。全てをプロデュースしてくださったので、それに応えるための頭の使い方をしました。今回のアルバム『Myself』は自分自身で好きなように、というわけではないですけど、加藤さんから受けた影響も生かしながらレコーディングできたと感じています。逆に、小椋佳さんは曲を書いたら『もう好きにしてください』という感じでした。お二人に限らず、これまでに関わってくださった方は皆さんそれぞれ自分のやり方がありますので、学ぶことも多かったです」

――今、話にも出ましたが、ニューアルバム『Myself』は自由度の高い作り方をされたと思いますが、アイデアが広がりすぎるということもありましたか?

「そうですね。結構広がりすぎて、いろいろな方に迷惑をかけたりもしました(笑)。でも、そのアイデアを広げてくれたのは、やっぱり先輩方でした。今回のアルバムは、これまでコンサートで歌ってきて、まだ形になっていなかったものがCDになります。一番古いものだとデビュー年に作った曲もあって、10周年の中で、少し時代を超えていくという点では割と大変でした」

――今作で注目してほしいところは?

「通常のレコーディング方法で録った曲が何曲かあります。その一方で、過去に歌ってきた曲のうち、コンサートで披露してすでに完成しているものは全部『一発録りで録ろう』ということになりました。歌だけの一発録りなら結構あるんですけど、今回は楽器の演奏も含めて、今一緒にやらせてもらっているバンドメンバーの方々と『せーの!』で録る、スタジオライブのような、普段はあまりやらない手法を取りました。それは、今まで固めてきたものがあるからこそできたことだと感じています。そのあたりがポイントですね」

■変化し続ける楽曲たち。一発録りで挑んだレコーディングの裏側

――コンサートを一緒にやっているバンドメンバーと一緒だからこそ、できたことですね。

「そうですね。演奏する人が違うと、全然違っていたと思います。ライブ本番のような、いい緊張感の中で一緒にやれているからこそ録れたものだったかなと思います」

――コンサートで披露してきた曲は、どの段階で"完成"するのでしょうか?

「正直、一度披露すれば形になる曲もありますし、逆に、CDになるまでは完全に形にならない曲もあると思っています。CDにする機会があるからこそ形になる。僕の場合、すでに披露した曲でも、毎回ほとんど歌詞が変わっているんです。メロディーが変わっているところもあります。だから、変わり続ける曲たちに一度終止符を打つことも、CDを出す時には必要だと感じています」

――歌詞が変わるというのは、コンサートで歌っていく中で変化していくのでしょうか。

「その都度ですね。それがいいのか悪いのか、というところでもあります。その年に完成したものをそのまま残すことも必要だと思うんです。時間がたつと、どうしても今の自分の考えが入ってしまうので、その時にCDにすることも必要だと思います」

――10周年記念の特別番組では、レコーディング風景も紹介されますが、どんなところを見てほしいですか?

「人としては、そんなに裏も表もないと思うので、あまりギャップはないかもしれないですけど(笑)。でも、密着していただかないと、レコーディングの風景はなかなか見られるものではないと思うので、『こんなふうに作っているんだ』というところを見ていただけるいい機会になるんじゃないかなと思います」

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■コンサートの集大成を見せる秋ツアー。そして自然体で楽しむ"10年目の歌声"

――10月からの秋ツアーは、春夏のツアーとはどう違っていますか?

「春のツアーでは、これまでCDにしてきた曲の集大成、濃い部分の集大成という形でやらせていただきました。秋のツアーでは、これまでコンサートでしか披露していない楽曲やカバー曲がたくさんあるので、それらを含めた『コンサートの集大成』としてのツアーを考えています。なので、コンセプト自体が違うので、春ツアーを見ていただいた方も、また違う一面を見て、聴いて、楽しんでいただけると思います」

――カバー曲を歌うことは、歌い手としての幅にもつながっていますか?

「広がっていてほしいなと思っています(笑)。なかなか自分では言語化できないんですけど、例えば、小椋佳さんや加藤登紀子さん、南こうせつさんとの関わりで、歌声にどんな変化があるのかは、自分の口ではなかなか言えません。でも、歌や芸術は絶対に変化していくものだと思っていて、僕も含めて、お客様も『あ、こんなところが変わったよね』というところを見つけられたり、見つけられなかったりする、というところも楽しめるポイントかなと思います」

――レコーディングやツアーに向けて、普段から心がけていることはありますか?

「前日はお酒を飲まないとか、それくらいしか逆にやらないようにしています。喉のケアとかのために、いろいろなことを試した時期もあったんですけど、その時の声を楽しもうと考えています」

――過敏になりすぎず、自然体で。

「はい。コンサートでは、めちゃくちゃ絶好調な時もあるんですよ。でも、その時にいい歌が歌えるかというと、そうでもないことに気づきました。そう考えると、自分の声をどう楽しめるかというのが大切で、ベストの状態に持っていくことが全てではないんだと感じています。むしろ、絶好調じゃない時のほうが集中していたりもするので、結果的に良かったりもしますから」

――秋ツアーでは、パフォーマンスの面でも、10周年の集大成を見せていただけるのでしょうか。

「はい。これまでいろいろな楽器を弾いたり、吹いたり、ダンスをしたり、様々なことをやってきました。今回の秋ツアーでは、そういうことも全部出せるようなコンサートにしようと考えています」

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PROFILE
1988年5月7日生まれ、山形県出身。デビュー前、テレビ東京系「THE カラオケ★バトル」にて2年連続年間王者に輝き、歌手デビューのきっかけをつかむ。2016年2月24日、シングル「あいたい」でデビュー。発売後4か月で有線全国ランキング1位を獲得。その後もロングセールスを続け15万枚を突破。2016年末には、「第58回輝く!日本レコード大賞新人賞」「第49回日本有線大賞新人賞」を受賞。

取材・文/田中隆信 撮影/番正しおり

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