SixTONES・京本大我が挑む『言えない秘密』――ピアノが鍵を握る究極のラブストーリー
2026.01.17
アジア圏で大ヒットを記録した2007年の台湾映画を日本でリメークし、2024年に公開された作品が「言えない秘密」だ。主演は、SixTONESの京本大我。ヒロインは古川琴音が務めた。京本と言えば、SixTONESの一員として活動しつつ、2024年からクリエイティブ・プロジェクト「ART-PUT」というアート活動を開始。一眼レフやフィルムカメラで撮影した作品を発信し、アーティストとしても活躍している。その一環として、2025年5月からスタートしたライブツアー「BLUE OF LIBERTY」公演を収録したライブ映像を発表するなど、ソロ活動にも精力的だ。9月にはミュージカル「Once」に主演し、劇中でギターの生演奏を披露するなど、パフォーマンスが評判を呼んだ。ますます演技に磨きがかかっている京本の魅力をご紹介したい。
■ミステリアスな設定に魅了される幻想的な物語
海外へのピアノ留学から帰国し、伝統ある音楽大学に編入した樋口湊人(京本大我)は、過去のトラウマのせいで思うようにピアノが弾けなくなっていた。そんなある日、湊人は、取り壊しが迫った旧講義棟の演奏室で、神秘的なピアノを奏でる内藤雪乃(古川琴音)に出会う。美しい旋律に惹かれた湊人は曲名を尋ねるが、雪乃は秘密だと言う。謎めいた言動の多い彼女に魅せられた湊人に対し、雪乃も次第に心を開いていく。雪乃が奏でる明るく純粋な演奏に触れるうち、湊人は再び音楽への熱意を取り戻していった。かけがえのない日々を過ごす2人だったが、雪乃には"秘密"があった。そして突然、雪乃は湊人の前から姿を消してしまう...。

(C)2024「言えない秘密」製作委員会
本作は、ただのラブストーリーではなく、音楽を核として、登場人物の感情や過去、そして秘密と深く結びつき、「音」が物語の鍵を握る。さらにタイトルにもある通り、雪乃には普通ではない"秘密"があることが、本作のストーリーを奥行きと深みのある物語にしている。「時間」と「存在」に関わる哲学的なテーマを内包し、ラブストーリーでありながら幻想的でミステリアスな設定に強く引き付けられ、画面にくぎ付けになってしまう。雪乃の"秘密"については、次第に「こういうことかな」と思い始め、後半でそれが明らかになると、湊人と雪乃が過ごしてきたかけがえのない時間の意味を知り、何とも言えない切ない感情を呼び起こされることになるだろう。雪乃の運命と、湊人の選択が交錯するクライマックスは、観る者の心を揺さぶり、強く胸に残るはず。希望、悔恨、愛情、悲哀...多くの要素を突き詰めた複雑な余韻を残してエンディングを迎える。観終わった後には、「あのシーンはこんな意味があったのか」など、深く考察してしまう人も多いだろう。切ないラブストーリーではあるが、ただの恋愛映画にはない深い感動を与えてくれる。
■京本大我の繊細な演技に引き込まれる
本作での京本大我は、湊人の感情の揺れや葛藤を巧みに体現している。もともと繊細な演技を得意とするタイプだが、本作では見事にはまっており、説得力のある演技を披露している。特に純粋で不器用な湊人のナイーブさを自然に表現し、音楽にも恋愛にも「迷い」を感じさせるもどかしさに、観る者は感情移入がしやすい。これは、まさに京本の持ち味と言っていいだろう。また、作中で特に重要であるピアノの演奏シーンについては、ピアニストそのものの佇まいだ。ピアノの場面にリアリティーがないと、この映画は台無しになってしまうが、アーティストである京本自身が醸す"本物感"が本作には不可欠だったのだろう。ただし、湊人には"過去の挫折と再生"というテーマがあるため、演奏シーンでもそこを表現しなくてはならない。雪乃との恋愛においても、"恋と喪失の葛藤"が描かれている。そんな複雑な心情を自然に演じた京本大我の丁寧な芝居だからこそ、多くの観客が「切なさ」や「儚さ」に共感できたのだろう。

(C)2024「言えない秘密」製作委員会
京本が醸す雰囲気とピアノ演奏場面のリアリティーが、物語の根幹である「恋・秘密・音楽」の掛け合わせというテーマに絶妙にマッチして、作品に深みを与えてくれた。もちろん、相手役の古川琴音の有する儚い雰囲気との相乗効果も見逃せない。公開時には、「何度も観たくなる」、「観終わった後に余韻が残る」という声が多数あり、京本と古川の2人が作品の核をしっかり担っていた、という評価もあった。普段、ファンタジー作品になじみのない人にもぜひ見てほしい作品だ。
文/渡辺敏樹




