イ・ジェフンの変幻自在な演技力!「シグナル」ほか代表作4選でたどる軌跡

イ・ジェフンの変幻自在な演技力!「シグナル」ほか代表作4選でたどる軌跡

実力派俳優イ・ジェフンの出演作を振り返ると、作品ごとに異なるジャンルやキャラクター像に取り組んできたことが見えてくる。サスペンス、ロマンス、アクション、オフィスドラマと活躍の場を広げながら、人物の立場や置かれた環境に応じて演技のアプローチも変化させてきた。今回は、「シグナル」「輝く星のターミナル」「復讐代行人〜模範タクシー〜」「交渉の技術」の4作品を通して、イ・ジェフンが見せてきた表現の幅に注目する。

■葛藤するプロファイラーを熱演!サスペンスの名作「シグナル」

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2016年放送のサスペンスドラマ「シグナル」は、現代と過去をつなぐ"無線機"で交信しながら未解決事件の真相に迫る作品だ。イ・ジェフンが演じるのは、警察の長期未解決事件専門チームに所属するプロファイラー、パク・ヘヨン。幼少期のある出来事をきっかけに警察組織に不信感を抱きながらも、"過去の刑事"と協力しながら事件を追う人物として描かれる。

本作でのイ・ジェフンは、パク・ヘヨンという人物の内面の変化を段階的に表現している。冷静な分析力を持ちながらも、目の前の被害者や事件に対して感情を切り離せない一面を持ち、捜査を進める中で葛藤や信念が浮かび上がっていく。時に感情をあらわにしながらも、刑事の本分を忘れることなく執念深く突き進む姿が印象的だ。

「シグナル」は時間を超えた捜査という設定に注目が集まりやすい作品だが、その軸を支えているのは登場人物たちの選択と葛藤である。イ・ジェフンは感情を強くぶつける場面だけでなく、抑制した表現も織り交ぜながら人物像を組み立て、物語全体に現実味を与えていた。

■ツンデレエリートの不器用な恋「輝く星のターミナル」

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そんな「シグナル」で注目を集めた後に出演した「輝く星のターミナル」(2018年)では、ヒューマンラブロマンスという空気感の中で、また異なる魅力を見せた。ドラマの舞台は、日本人にもおなじみの韓国の玄関口・仁川空港。イ・ジェフンが演じたのは、ある事故をきっかけにパイロットの夢をあきらめ、空港で働くことになった新人社員・スヨンだ。

無愛想で口数の少ないスヨンは、人との距離を保ちながら働こうとする一方で、同僚たちとの関わりを通じて少しずつ変化していく。大きな感情表現よりも、日常のやり取りや繊細な間の置き方によって"ツンデレエリート"のスヨンを浮かび上がらせている点が特徴的だ。

さらに、スヨンは身体に関する秘密を抱えており、指導員を務めるヨルム(チェ・スビン)がそこに疑問を抱いたことから、その背景が徐々に明らかになっていく。スヨンがヨルムとの関係を通じて、どのように変化していくのか――。切ない事情と、2人の距離感に注目したい。

■七変化で悪を討つ痛快アクション「復讐代行人〜模範タクシー〜」

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一方、「復讐代行人〜模範タクシー〜」シリーズでは、よりエンターテインメント性の高い役柄に挑戦している。演じるキム・ドギは、表向きはタクシー運転手だが、裏では被害者に代わって犯罪者への復讐を遂行する人物。元陸軍兵士で特殊部隊出身という設定を背景に、潜入や追跡、変装など、多様な局面を担うキャラクターとして描かれている。

シリーズを通して特徴的なのは、案件ごとに見せる人物像の切り替えだ。普段は冷静でクールな印象のドギだが、潜入先に応じて外見や振る舞いを変えながら任務を進める。くせの強い中国人から、ひ弱な教師、ハイテンションな会社員など、複数のキャラクター性を器用に見せていく演技も本作の大きな見どころ。スリリングで華麗なアクションやスピード感のある展開に加え、秘密組織で働くドギ自身の過去や動機も継続的に描かれており、そのバランスがシリーズの支持につながっている。

■白髪のカリスマ交渉人で魅せる「交渉の技術」

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そして近年の出演作として加わったのが、ドラマ「交渉の技術」(2025年)である。本作は、M&Aをテーマに企業再建や交渉の現場を描くオフィスドラマで、イ・ジェフンは経営危機に陥った企業へ呼び戻される"伝説の交渉人"ユン・ジュノを演じている。派手なアクションではなく、情報分析や駆け引きを軸に、物語が重厚感ある雰囲気で進行していく。

目を引く白髪スタイルで役作りに挑んだユン・ジュノは、感情を大きく表に出すタイプではなく、状況判断や交渉力によって局面を動かしていく人物として描かれる。これまでの代表作と比べても、身体表現だけでなく、会話や空気の変化を通じて緊張感を作る役柄といえる。一見すると冷徹でカリスマ性のある人物だが、内側には温かな人間味もにじませ、その緻密な役作りには舌を巻く。ジャンルが変われば演技の見せ方も変わるという、イ・ジェフンのキャリアの流れを改めて感じさせる一作となった。

「シグナル」のサスペンス、「輝く星のターミナル」のロマンス、「復讐代行人〜模範タクシー〜」のアクション、そして「交渉の技術」のオフィスドラマ。4作品を並べてみると、共通しているのは役柄の大小ではなく、作品ごとに求められる人物像へ丁寧に向き合っている点であることが分かる。ジャンルを限定せず、その都度異なる人物として作品に参加してきたことが、イ・ジェフンという俳優の歩みにつながっている。

文/川倉由起子

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