韓国ドラマの名脚本家キム・ウンスクが仕掛ける言葉の魔法――「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」「相続者たち」など人生が変わる傑作ドラマの名セリフ!

韓国ドラマの名脚本家キム・ウンスクが仕掛ける言葉の魔法――「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」「相続者たち」など人生が変わる傑作ドラマの名セリフ!

数々の大ヒットドラマを生んできた脚本家キム・ウンスクは「名セリフの大家」とも呼ばれ、言葉の魔法で視聴者を一瞬でロマンスの世界へ引き込む。一時の流行にとどまらず、長く語り継がれてきた名セリフを通し、キム・ウンスクの代表作「シークレット・ガーデン」(2010〜2011年)、「相続者たち」(2013年)、「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」(2016〜2017年)の3作品の魅力に迫ってみたい。

■「シークレット・ガーデン」──伝説の"クリームキス"と胸キュンセリフ

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ヒョンビンとハ・ジウォンが主演した「シークレット・ガーデン」は、傲慢(ごうまん)で完璧主義の財閥御曹司キム・ジュウォン(ヒョンビン)と、貧しいスタントウーマンのキル・ライム(ハ・ジウォン)の格差恋愛を描いたラブコメディーで、35.2%の高視聴率を記録した。

積極的にアタックするジュウォンと、必死で拒もうとするライム。まずはこのシーンから紹介しよう。腹筋運動をするジュウォンの足をライムが押さえ、ジュウォンが上半身を起こすたびに2人の顔が急接近する。ときめく気持ちを隠しきれず困惑するライムに、ジュウォンが畳みかけるようにこう言う。

「キル・ライムさんはいつからそんなにきれいなの?昨年から?」

視聴者のハートを撃ち抜いたこのセリフだが、肝心のライムは怒ってジュウォンを蹴り、その場を去る。つれないライムがますます気になるジュウォン。そして、多くのパロディーやオマージュを生み出したのが「クリームキス」のシーンだった。カプチーノを飲んだライムの唇に泡(クリーム)がついたのを見て、ジュウォンはあきれたように言う。

「女ってわざとらしいよな。男といるときに限って唇に何かつける」

ライムが自分の袖で拭き取ろうとすると、ジュウォンはその腕をつかんで、なんと自分の口で吸い取ってしまう。なんでもないかのようにクールなジュウォンと、びっくりして目を真ん丸にするライム。伝説の胸キュンシーンとなった。

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このドラマはただのラブコメディーではなく、ジュウォンとライムの魂が入れ替わるファンタジーでもある。主演の2人はある意味一人二役、しかも男女両方を演じる難易度の高い演技が求められた。俺様なヒョンビンが女性っぽいしぐさやしゃべり方に豹変(ひょうへん)し、そのギャップもドラマの見どころの一つだった。

■「相続者たち」──ツンデレ御曹司たちの不器用で真っすぐな告白

ツンデレっぷりでは、「相続者たち」のイ・ミンホが演じたキム・タン、キム・ウビンが演じたチェ・ヨンドも負けていない。パク・シネが演じた主人公のチャ・ウンサンは家政婦の娘だが、タンやヨンドは財閥御曹司である。同じ格差恋愛でも、こちらは「シークレット・ガーデン」のような笑いあふれるラブコメディーではなく、一見何不自由ないように見えて、それぞれの家庭の事情や後継者争いに苦悩する富裕層の高校生たちの愛と友情が描かれた。

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では、ヨンドのツンデレなセリフから振り返ってみたい。コンビニの外のテーブルに突っ伏しているウンサンを見つけたヨンドが、ウンサンの前にどかっと座り、カップ麺をすすりながら「おい、おい」とテーブルを2度蹴って起こそうとする。起きないウンサンに、「そうやって寝てると、守りたくなる」。横柄極まりない態度なのに愛を感じるこのセリフを、ウンサンは寝ているふりをしながら実は聞いていた。

ちょっといい雰囲気と思ったその瞬間、ヨンドの携帯にタンから電話がかかってくる。「ラーメンはうまいか?」と聞くタン。ヨンドがあたりを見回すと、道路を隔てた向こう側にタンの姿がある。二人はバチバチと火花を散らす。ウンサンをめぐってのタンとヨンドの対立、三角関係が際立つシーンだった。

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同じツンデレでも、ヨンドと違ってタンはもう少しソフトだ。夜空の下、ウンサンは自分からタンの肩にもたれかかっておきながら、「意外と心地よくないわ」と頭を起こそうとする。タンはとっさにウンサンの頭を自分の肩に押し戻し、「頭を乗せているだけだからだ。心を預けろよ」と言う。ちょっと強引ながら、ときめかずにはいられない。ウンサンはそのまま心も頭もタンに預けて熟睡したようだ。

そして「相続者たち」の名セリフを一つ選ぶなら、間違いなくこれだろう。タンがウンサンを真っすぐに見つめながら、「俺、お前のこと好きなのか?」。ただ単に「好き」と言われるよりもドキドキする疑問形の告白。これぞキム・ウンスクといえる表現だった。

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■「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」──詩的な言葉でつむがれる不滅の愛

一方、日本でも圧倒的な人気を誇る「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」は、コン・ユが演じるトッケビのキム・シンと、キム・ゴウンが演じる天真らんまんな女子高生チ・ウンタクのファンタジーロマンスで、味わい深い名セリフの宝庫のようなドラマだった。トッケビは「鬼」と訳されることもあるが、角の生えた鬼とは違って精霊のような存在。不滅の命を終わらせるために人間の花嫁を必要とするトッケビのキム・シンと、本来は死ぬ運命だった「トッケビの花嫁」ウンタクの切なくも神秘的な愛の物語である。

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キム・シンが不滅の命を終えるには、胸に刺さった剣をウンタクが抜かねばならない。初雪が舞う中、剣を抜く前にウンタクから最後に言い残す言葉を問われたキム・シンは、ゆっくり穏やかにこう言う。

「君と過ごした時間はまぶしかった。天気がいい日も、天気が悪い日も、すべての日々がすばらしかった」

これ以上の別れのあいさつはないと思える名セリフだったが、このシーンでは結局剣は抜けず、二人のロマンスがまだまだ続くことに視聴者としてはホッとした。

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そして、詩人キム・インユクの「愛の物理学」という詩の一節でもあるが、道路の向こうから「おじさん!」と無邪気に手を振るウンタクをほほ笑ましい表情で眺めるキム・シンが、心の中でこう言う。

「質量は体積に比例しない。スミレのような少女が、花びらのように舞い、地球より強く私を引き寄せる」

逆らうことのできない愛の引力を、詩の言葉を借りて語る、キム・シンの美しいモノローグだった。

文/成川彩

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