アーティスト・さのみきひとインタビュー!「47都道府県ツアーは自作の車で回った」
音楽・K-POP TV初インタビュー
2026.05.01
GAORA SPORTSにて2026年5月、6月の2カ月にわたって「さのみきひと Smile/Mile/Lie」がオンエアされる。5月4日(月)の放送では、さのの素顔に迫ったドキュメンタリーとインタビューを、6月の放送ではインタビューとライブ本編の映像をたっぷりとお届けする。今回は、番組内のインタビュー収録直後に取材を敢行。独特の"さのみきひとワールド"に誘われるようなインタビューの模様をお届けする。
■番組オファーへの驚きとドキュメンタリーで明かされる「隠し続けてきた」素顔
──この番組のオファーが来たときの心境はいかがでしたか。
「心境で言うと『は?』でしたね(笑)。『本気か?』と思って。あれをフルで流したいなんて、『は?』という(笑)。おもしろいものを作っているという自負はあるので、そのダイジェストを流していただけるとかは確かにワンチャンあるかもな、と思いながら作っていました。そういうのが来たらいいな、と。でも、『フルで流したいです』と言われて。『は?』という感じでした(笑)」
──それに加えてさのさんにも密着するという。そちらについてはどうでしょう?
「『は?』でした(笑)。私のことを知ってどうするんだと思って。でも今考えると、プライベートなことや、内面を外に向けて発信する機会がほとんどなかったんです。私は隠し続けて生きているので、ありがたい機会だったな、と思いました。音楽以外の面もそうですし、音楽のこともそうですし、全部正直に話せたのでありがたいな、という気持ちです」
──インタビュー収録もありました。収録を振り返ってみていかがですか。
「いやあ、楽しかったですね。こんなすてきな場所まで用意していただいて。でもその、ちょっと画角からは外れているんですけれど、鳩がすごく多いじゃないですか、この地域(笑)。ベランダに鳩がどんどんどんどん入ってくるのが気になって。白い鳩がいたじゃないですか。あれなんやねん、と思って。ちょっと気になって目線がブレたりしているのだけ恥ずかしいかな(笑)。ちょっとでかいのもいましたよね。ニワトリよりちょっとでかいくらいの鳩がいましたよね。もうおらへんか。今も5、6羽ぐらいいるな(笑)」
──お話しされている中で、新たにご自身で発見されたことはありますか。
「自分で『自分はどういう人間なんだろう』ということをメモなどで起こすことはないですが、言葉に出して発するだけでかなり解像度が上がるので、すごく貴重な機会をいただけてうれしいです。ほかのバンドだったり、別の打楽器自体の事柄を説明してくださいとか、そういうことはあったけれど、自分自身についてここまで一緒に掘り下げていただけるのはすごくありがたい機会だったなと思います」

■100円ショップの材料で車を自作!?47都道府県ツアーで迎えた「アーティスト」への転換点
──ツアーは回ってみていかがでしたか。
「もう大変でしたね。車で47都道府県全部回ったんですよ。車を持っていなかったので、自作したんですね(笑)。『100円均一ショップで車を作ってみよう』というブログがあって、ちょっと試してみるかと思って。もちろんシートベルトもつけて、車検も通りました。運転できるところまでは行きましたが、やはりちょっとガタが多いんですよ、素人仕事なので。発泡スチロールをメインに使ったので、パンクしそうになったりもしました(笑)。メンテナンスも各地の100均とかに行って......」
──ライブでの表現自体はいかがですか。
「毎回そうですが、今回は特にターニングポイントだったかなと思ったりしています。これまでは"パーカッショニスト"や"ミュージシャン"という肩書きでやっていたけれど、今回初めて"アーティスト"に肩書きを変えてやってみました。ライブパフォーマンスの内容も、演奏の割合がかなり減って、コントをやったり、漫談をやったりだとか、あとパントマイムをやったり、ダンスをやったりだとか、そういうものがかなり増えて、『本当はこういうのをやりたかったんだ』と自分でも思ったので、かなりターニングポイントになるツアーでした」

■名前のつけられないジャンルを信じるファンへの感謝と、刻一刻と変わり続ける未来
──さのさんにとってファンはどういう存在ですか?
「本当にいつもありがとうございます。感謝してもしきれないですね。これは私の課題ですが、今やっているジャンルに名前がつけられなくて。ということは、宣伝もかなりしづらい。ここがこうおもしろくて、こうやって楽しんで、こうやって盛り上がってくださいね、という宣伝ができないパフォーマンスをやっているんですよね。そんな中、フライヤーやSNSなどの情報を通じて、その情報だけを信じて見に行くのは、ちょっと覚悟がいると思います。でもそんな中、チケット代を払っていただいて、足を運んでいただいている皆さんには、本当に感謝しかないですね。ありがとうございます」
──これからどんなさのみきひとを見せていきたいですか。
「本当にないんです、それが。大変申し訳ないんですが、やりたいことがもう刻一刻、津々浦々、四面楚歌、一朝一夕、二重債務、確定申告でもうどんどん変わっていくので(笑)、なりたいものもないし、見せたいものもないというのが正直なところです。どんどんやりたいことが変わっていくので、今回のツアーでやったことも、もう今私は飽きている。変な言い方をすると『すごくおもしろいものを作れたな』と思ったけれど、全く同じことをやろうとは思わないので。本当に応援してくださる皆様がかわいそうですよね(笑)。このパフォーマンスおもしろいじゃん、と思ってついてきてくれているのに、来年になったらまた全然違うことをやっている。本当に信じてくれてありがとうございます。私は本当にしあわせです。でもその都度都度全力で物を作るようにはしているので、それを信じてとりあえず見に来てくれたらうれしいです」

PROFILE
1996年生まれ、兵庫県出身。東京藝術大学音楽学部器楽科打楽器専攻卒業。打楽器、声、ノイズボックス、シンセサイザー、ルーパー、自動演奏装置、おもちゃ、そして荒唐無稽な言葉までも操るソロアーティスト。音と語りが渾然一体となったカオスかつナンセンスなパフォーマンスは各地で高い評価を得る。
取材・文/ふくだりょうこ 撮影/皆藤健治




