西島秀俊、舘ひろし......イケオジスターの若き日にキュン!不朽の名作4選

西島秀俊、舘ひろし......イケオジスターの若き日にキュン!不朽の名作4選

「イケてるおじさん」の略で、渋さと大人の色気を兼ね備えた中高年男性を意味する"イケオジ"。今回は、イケオジ俳優たちに着目し、若き日の名演技を堪能できる名作をご紹介したい。

■大ヒット刑事ドラマ「西部警察」を支えた舘ひろし&寺尾聰

1979年から1984年までテレビ朝日系で放送された「西部警察」は、渡哲也演じる大門圭介団長率いる刑事たちが凶悪犯罪に立ち向かう全3シリーズのロングラン作品。名物の爆破シーンとド派手な銃撃戦、カーチェイスの迫力は今も語り草だ。本作のレギュラーとして欠かせないのが、舘ひろし。初期は「タツ」こと巽総太郎刑事で出演。ハーレーダビッドソンをノーヘルメットで乗り回すワイルドさが魅力で、黒革のジャンパーに身を包み、リーゼントヘアとくわえタバコがよく似合った。今でこそ味のあるベテランとしてコミカルな役もこなす舘だが、当時はアウトロー気質のクールさが持ち味。犯人に容赦なく鉄槌を下す姿がカッコよかった。30話でタツが殉職した後に鳩村英次刑事として再登場。愛車のスズキ・カタナを颯爽と乗りこなし、バイクシーン以外では黒のスーツがキマっていた。アメリカ帰りという設定で、暴力的な捜査や英語交じりの荒っぽい言動。そんなワイルドさが若き日の舘にぴったりはまり、視聴者の人気も抜群だった。

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もう一人、忘れてならないのが、寺尾聰演じるリキこと松田猛刑事である。常に冷静沈着で淡々と任務を遂行する優秀な刑事で、レイバンのサングラスがトレードマーク。狙撃の名手で、S&W 44マグナムをぶっ放す姿がおなじみ。仲間に対する思いやりや、被疑者の子供の面倒を見るなど、心優しい一面がリキの魅力だった。コミカルな場面も多く、ハードな展開のドラマの中では、温かみと人間臭さを感じさせる寺尾の味わい深い演技に魅了された視聴者も多かったはずだ。

■沢田研二と真田広之の妖艶なキスシーンがレジェンドに!

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1981年公開の映画『魔界転生』は、深作欣二監督のアクション時代劇。山田風太郎の同名小説を原作とし、隻眼(せきがん)の剣客・柳生十兵衛が幕府への復讐のため悪魔の力で蘇った天草四郎と戦う壮大な物語だ。柳生十兵衛を演じた千葉真一の名演で知られるが、やはり天草四郎を演じた沢田研二を抜きにしては語れない。黒魔術の呪文を唱える天草四郎の姿は映画史に残る麗しさ。炎に包まれた江戸城で2人が一騎討ちをするシーンは圧巻で、セットに火を放ってスタッフもキャストも命がけで撮影に臨んだという。天草四郎は細川ガラシャ夫人(佳那晃子)や、宮本武蔵(緒形拳)らを転生させて仲間にするが、その一人が忍者である伊賀の霧丸(真田広之)だ。霧丸と四郎の妖艶で美しいキスシーンは、公開時に大きな話題を呼んだ。若き沢田の妖しげな美しさと色気は、現代のイケメン俳優たちを軽く凌駕(りょうが)する。真田の精悍さと美貌も見事だった。今や国際的なスターとなった真田だが、当時20歳の美青年ぶりに改めて魅了されてしまう。色気ムンムンの美男同士のキスシーンを見せられた当時の女性たちは失神寸前だったかもしれない。ちなみにキスシーンは脚本にはなく、深作監督が現場で思い付いて急遽挿入されたという。

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真田は、1984公開の映画『麻雀放浪記』で主演を務めた。阿佐田哲也の伝説的麻雀小説が原作で、真田扮する主人公は、終戦後にブラブラしていた青年・坊や哲。純真無垢な哲が、海千山千の玄人(バイニン)たちの洗礼を受けながらも、成長していく姿を鮮やかに描いている。学生服に身を包んで初々しい当時23歳の真田は、バイニンたちの刺激的な世界に目を輝かせ博打を教わる哲が、「とんでもなくヤバい世界」に怯(おび)えながらも、没頭していくさまをリアルに表現する演技が絶品だ。

■若き西島秀俊の演技力に驚かされる『ニンゲン合格』

1999年公開の映画『ニンゲン合格』は、西島秀俊が主演している。14歳で交通事故に遭い、昏睡状態に陥っていた青年・吉井豊(西島)が10年ぶりに覚醒し、家族再生に奮闘するさまを描いたヒューマンドラマだ。ポニー牧場を営んでいた実家に帰るが、そこに家族の姿はなく、父の知人だという藤森(役所広司)という男が釣り堀を営んでいた。豊は24歳になってはいるが、失った10年間のために心は中学生のまま。ぶっきらぼうな言葉遣いで、危なっかしい行動を見せる。まるで夢と現実の間をさまよっているかのように......。そんな複雑な役どころを当時28歳の西島が、丁寧で哀愁を醸す演技で巧みに表現している。中学の同窓会を企画し、旧友に再会すると昔を思い出して深夜の書店に忍び込んで本を盗む。ところが突然友人たちを置いて帰ってしまうなど、謎の行動を繰り返す。そんな豊の心の不安定さを西島は真に迫った演技で表現。当時からこんな芝居ができたのかと感心させられる。

寺尾聰、舘ひろし、沢田研二、真田広之、西島秀俊。今もなお芸能界の第一線で活躍するスターである彼ら。まさにイケオジの代表として円熟の男っぽさで我々を魅了してくれるが、若き日の彼らもなんと魅力的なことか!今回ご紹介した作品の劇中で躍動する彼らの勇姿を見て、その演技力と美しさ、色気、そして抜群の存在感を時代の空気と共に存分に感じ取ってほしい。

文/渡辺敏樹

放送日時:2025年6月 8日 19:00~

チャンネル:時代劇専門chHD

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放送日時:2025年6月26日 18:00~

チャンネル:日本映画専門チャンネルHD

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