高橋一生が岸辺露伴を語る「5年目だからこそ実写化できたシリーズの原点。"動かない"本来の姿を楽しんでほしい」

高橋一生が岸辺露伴を語る「5年目だからこそ実写化できたシリーズの原点。"動かない"本来の姿を楽しんでほしい」

荒木飛呂彦の人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのスピンオフ「岸辺露伴は動かない」を高橋一生主演で実写化したTVドラマの映画シリーズ第2作が今年5月23日(金)に公開される。本作は、原作漫画「岸辺露伴は動かない」シリーズ最初の作品「懺悔室」をもとに、映画オリジナルエピソードを加えながら、邦画初となる全編イタリア・ヴェネツィアでのロケで映画化したもの。今回は主演を務める高橋一生に、岸辺露伴を演じることに対する思いや本作の見どころについて聞いた。

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――原作「岸辺露伴は動かない 懺悔室」は初めて岸辺露伴をメインとして発表された作品であり、岸辺露伴作品の原点とも言われています。その原点を映画化すると聞いたときの感想は?

「ドラマシリーズと映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を経た今のタイミングだからこそ実現できると思いました。原作の『懺悔室』は短編ですが、今回の映画化では原作のテイストや露伴らしさを織り込みながらふくらませた内容になっています。これまでの積み重ねがあったからこそ、原点となる作品に新たなエピソードを加えた実写映画化ができたんだと思います」

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――岸辺露伴を演じて5年目ですが、本作で演じ方に変化はありましたか?

「これまでは台本を読んで、ある程度『こういう風にやってみよう』と決めていましたが、今回は事前にそうすることが一切なかったですね。実際にヴェネツィアに行って、原作の中に登場する懺悔室や教会が目の前にあらわれたときに自分はどんな気持ちになるのか分からなかったので、その場で演じながら流れに身を任せていました。結果、台本に書かれていない感情の出し方をした部分があったりして、むしろそれが"露伴っぽい"と言っていただけたんです。これまで構築し、蓄積してきた"岸辺露伴"というものが僕のなかに浸透し始めていて、何も考えなくても自然に出せるようになりつつあると感じました」

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――高橋さんにとって、岸辺露伴とはどのような存在ですか?

「原作の露伴と出合ったとき、僕も芝居を志している少年だったので、漫画家として作品を作ることに対する姿勢やその立場にシンクロするものがあって、自分と重ねて見ていたと思います。キャラクターとしても、自分の矜持(きょうじ)を持っているところが魅力的です。絶対に譲れない部分を持っていて、たとえ相手が誰であっても自分との線引きをするところに毎回勇気づけられていました。今回の『懺悔室』のように、他者が『これが幸せでしょ?』と持ってきた幸せに対して『何が幸せかどうかは僕が決めるんだ』と線引きをするところなんかは、僕にも似ている部分があると思います」

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――ヴェネツィアでの思い出の場所は?

「水上バスや船の行き来が見える海に面したベンチです。よく夜にそのベンチに座って行き交う船を眺めていました。海との間には柵が一切なくて夜はほとんど霧で見えないので、リードなしで散歩している犬は、海に落ちちゃうんじゃないか?と心配したり。そんな雰囲気もヴェネツィアらしくて好きでした。ベンチに座っていると、地元の方から『日本人だよね?』って好意的に話しかけてくれることもあって、その時間が心地よかったです」

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――いよいよ公開となりますが、本作の見どころを教えてください。

「前作の露伴が自ら動く『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』とは違い、今作はドラマシリーズと同様に傍観者でありながら、自分の好奇心がゆえに火の粉をかぶるという部分は同じで、本来の"動かない"シリーズのフォーマットを踏襲した内容となっています。原作では、露伴は傍観者であり傍観者のまま終わりますが、今作では他人の物語を露伴が自分なりに見て、自分なりの落とし前をつけて去っていくという部分が、実に露伴らしくて面白い部分になっていると思います」

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――本作を心待ちにするファンにメッセージをお願いします。

「原作ファンの方々にとって岸辺露伴の始まりの話でもあるので、それをどう実写に落とし込んでいるのかを純粋に楽しんでもらいたいです。原作をふくらませた背景が非常にドラマチックだと思っているので、その部分を面白いと思ってもらえるのが一番うれしいですね。ストーリーテラーとしての露伴がその他の登場人物たちに腕をぐっとつかんで引き込まれたときに、どういう反応をするのか――本来の"岸辺露伴は動かない"の雰囲気を楽しんでいただけたらと思います」

取材・文/水本晶子 写真/中川容邦
ヘアメイク/⽥中真維(MARVEE) スタイリスト/秋⼭貴紀[A Inc.] 

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