ファン・ジョンミンが思う、人々が『ベテラン』に魅了される理由は「正義は生きていると感じさせてくれるから」【独占カットあり】

ファン・ジョンミンが思う、人々が『ベテラン』に魅了される理由は「正義は生きていると感じさせてくれるから」【独占カットあり】

『新しき世界』などで知られるファン・ジョンミンが主演、『密輸 1970』などのリュ・スンワンが監督を務めた『ベテラン』の続編、『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』が帰ってきた。毎回、若手俳優が「ヴィラン」を演じる本作。ファン・ジョンミン演じるソ・ドチョル刑事は苦悩し、しかし最後には「正義は生きている」と感じさせてくれる。9年ぶりに再びソ・ドチョルを演じたファン・ジョンミンは、何を感じながら演じていたのだろうか。

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――2015年の映画『ベテラン』でソ・ドチョルという刑事を演じてから、『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』まで、実に9年という年月が経ちました。時間をあけてふたたびソ・ドチョルを演じる上で、どのようなことを意識されましたか?

「ソ・ドチョルは、9年ぶりに観客の前に戻ってきましたが『ベテラン』と『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の2作品を見るときには、さほど時間が経っていないように見せようと努力しました。例えば『ベテラン』で着ていた衣装をそのまま着ることで、今作でも、時間がそこから自然と流れているようにつなげて演技するようにしました」

――ジョンミンさんは、ソ・ドチョルをどんな人物だと思っていますか?

「一見、炎のような性格を持つ妥協のない人物のように思えるかもしれませんが、同時に一家の大黒柱でもあり、温かい父親であり、優しい夫でもあります。言ってみれば、韓国社会を生きる平凡な父親なんです。ただ、職業が警察であることと、劇中の事件に対する態度があまりにも荒っぽいので強く見えますが、実は韓国のどこにでもいるような平凡な人なんです」


――そんな熱血漢という印象のソ・ドチョルと、実際のジョンミンさんに近しい部分はありますか?

「そうですね。似ている部分は多いです。ソ・ドチョルがある事件を引き受けた際、最後までその真相を暴き出して事件を解決しようとする情熱と執拗さというものは、僕の中にもあるような気がします」

――同僚刑事を演じたチョン・ヘインさんの魅力はどんなところだと思いますか?

「スポンジのような、白い画用紙のような俳優だと思います。その白紙にどんな絵を描いても無限に描くことができ、自分に与えられた役割をスポンジのように吸収し、まるで自分であるかのように演技する俳優だと思います」


――現場でヘインさんと演技について話したりしたことはありましたか?

「ヘインさんとは、撮影するたびに、いつも作品について話し合い、分析し、悩みながらお互いのキャラクターを作っていきました」


――この何年か、韓国では人気の若手俳優がヴィランを演じることが多くなっているように思います。それは、日本の映画ではあまりみないことだと思うのですが、韓国で若手俳優がヴィランを演じる背景にはどのようなことがありますか?また、ヴィランを演じることによる良い効果はどんなところにあると考えていますか?

「悪役を演じるということは、俳優として作品と演技のスペクトラムを多様に広げるための挑戦ではないでしょうか?特に『ヴィランを演じることに何か意味がある』というよりは、『俳優としてキャラクターに挑戦する』ということであるだけではないかと思います」

――リュ・スンワン監督と一緒に「ストレスを受けずにできる作品を作ろう」と言ったのが『ベテラン』だったとのことですが、その"ストレス"とはどのようなものなのでしょうか?」

「僕たちの好きな仕事、つまり『映画を撮る』という仕事を楽しみながら、楽しく作れる作品にしよう、ということを意味しています」


――日本では、少し前にチョン・ウソンさんとファン・ジョンミンさんが主演の『ソウルの春』も公開されました。チョン・ドゥグァンとソ・ドチョルとは、同じ人が演じているとは思えないほどの違いで、特にチョン・ドゥグァンはいつものジョンミンさんよりも体が一回り小さく見えたほどです。ジョンミンさんは、演じるときの体の使い方などで意識していることはありますか?

「台本をもらって初めて読むときには、いつも自分が演じるキャラクターについて、悩みながら分析します。そのとき、身体的な部分においてのディテールをどうするかを考えます。呼吸から手の動き、歩き方まで、徹底的に計算された動きで表現するように設計し、演技をすることを意識しています」

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――コロナ禍を経て『ソウルの春』では、観客動員数において1300万人を超える動員数を記録し、映画界にとっては明るいニュースとなりました。ジョンミンさんは、今の韓国映画をどのように見ていますか?

「パンデミック以後、映画館で見るだけでなく、配信を家で見ることが増えたりと、全世界的に映画の楽しみ方が変わりつつあるように思います。しかし、映画を作る時から音も映像も劇場で見ることを前提に設計されています。計算されつくした無限のサウンドと圧倒的な映像は、家で見る環境とは異なっていて、劇場でしか感じられない長所があります。映画はぜひ劇場で見てほしいと思っています」


――日本でもたくさん愛されている『ベテラン』シリーズの魅力はどんなところだと考えていますか?

「悪党を捕まえる過程を見せることで、『正義は生きている』ということが感じられます。また、そこに痛快さを感じられるので、魅力になっているのではないかと思います」

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――最後に、日本のファンの皆さんにメッセージをお願いいたします。

「もし日本に僕のファンがいるのだったら(笑)『僕を好きになってくれて本当にありがとうございます』と言いたいです。そして、これからも素敵な作品でお会いできるように頑張ります!」


文/西森路代

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