映画『侍タイムスリッパー』安田淳一監督×沙倉ゆうの J:magazine!特別対談【前編】
映画 見放題インタビュー
2025.04.11
異例の大ヒットを記録した時代劇コメディ映画『侍タイムスリッパー』が、3月21日よりJ:COM STREAMにて見放題で最速配信中。今回、それを記念して、安田淳一監督と山本優子役を務めた沙倉ゆうのの対談が実現。旧知の仲である二人ならではの和気あいあいとした対談の様子を、前後編2本に分けて、お届けする。
沙倉「『侍タイムスリッパー』の企画を初めて私が聞いたのは、2017年でしたよね。『京都企画市』(時代劇の拠点としての京都の優位性を生かし、優れた映画・映像クリエイターを世に出すための企画コンテスト)に出すために、プロットができていて、その時点で私が助監督役、住職の福田善晴さん、住職の奥さんの紅萬子さん、殺陣師の福本清三さんというキャストも決まっていました」
安田「最初はどんな感想だった?」
沙倉「脚本はできていない段階でしたけど、タイムスリップって人気があるジャンルだし、面白そうな話だと思いました。でも、当時、印象に残ってるのは、監督は『これは時代劇だと言われるけど、半分は現代劇だから製作費は半分で済みます!』とプレゼンしてたことです。実際に撮影が始まったら、時代劇を撮る話なので現代の撮影スタッフも撮らなきゃいけない。結局人員が倍必要で『お金二倍要るやん』と思いました」
安田「想定外やったね...(笑)」
沙倉「でも、監督の前二作(『拳銃と目玉焼』『ごはん』)は、脚本がないまま見切り発車でクランクイン。当日朝、撮影するシーンのペラを一枚渡される感じで撮っていたので、今回はきっちり脚本が完成してクランクインできたのはよかったです。脚本は一回読んだだけで話が入ってくるというか、イメージしやすくて、特に最後の立ち回りは、主人公の武士としての思いが凝縮されていて、初めて読んだ時は涙してしまいした」
安田「脚本というのは、目に映るもの、マイクに録れるものしか書いちゃダメなんですけど、『侍タイムスリッパー』に関しては、かなり細かい情景描写、心理描写まで書いたんですよ。沙倉さんがわかるんやったら、みんなわかるわという気持ちでした。だから、最初に台本を読んでもらった時、すぐに電話して『どうやった?どうやった?』と聞いたら『悔しいけど泣いたわ』って言ってくれて、ホッとしたんですよ」
沙倉「そこでホッとしないでくださいよ(笑)」
安田「今回、沙倉さんが助監督役やりながら、助監督もやってくれたから、話題にもなったし、よかったですよ」
沙倉「私は助監督の仕事が何かわかってなかったんです。撮影中は、優子のメイクや衣装もしてから、助監督の仕事をするので、時間がなくて。小道具もやってたので、撮影後も次の日の準備が大変で、翌日使う履物や刀を揃えてました。刀は一回立ち回りで使うと刃が当たってダメになるんですよね。慣れてないから余計に時間がかかって、撮影後、毎日二時間くらい残ってましたね」
安田「みんなに連絡もせんといかんしね」
沙倉「そうです。みなさんに連絡したり、ホテルの手配もあったので、普段マメな方ではないので、大変でした」
安田「ありがたかったです」
沙倉「大変だっただけに、配信が始まるのは、すごくうれしいんです。私は年に一度、着付けのお仕事をしているんですけど、そこでは小さい子がいて、二時間映画館で見るのは難しくて...とおっしゃる方もいたんですよ。映画館で見ていただいた方にもまた楽しんでいただけるし、これまで子育てとか仕事とか、なかなか映画館に行けなかった方にもお好きな時間に見ていただけますよね」
安田「仲間や家族とお酒飲みながらワイワイ見ることもできます。僕は一滴もお酒は飲めないんですけど、沙倉さんは強いよね」
沙倉「はい。お酒大好きです(笑)」
安田「施設に入っている高齢の家族を映画館に連れていきたいというお声をいただいたこともありました。移動に不安がある年配の方も、配信なら安心。僕はそこが一番うれしいんです」
後編に続く
文/ペリー荻野 撮影/中川容邦