月城かなとが宝塚ファンとなったきっかけの先輩を告白

月城かなとが宝塚ファンとなったきっかけの先輩を告白

J:COM STREAMでは、「宝塚歌劇」作品が見放題(月額料金内で視聴可能)で配信中。その中で、『ブラック・ジャック 危険な賭け』('22年月組・全国)が5月9日(土)まで、いつでも何度でも視聴することができる。

今回、同作品にトップスターとして出演していた月城かなとにインタビューを行い、当時の思い出や宝塚ファンになったきっかけ、最近のオフの楽しみ方などについて語ってもらった。

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――作品出演が決まった時の思いは?

「この作品は何度か上演されていた作品で、とても好きな作品でしたので、自分が演じられることがすごくうれしかったです。また、宝塚大劇場のすぐ近くに手塚治虫記念館がありまして、街にも至るところに手塚治虫作品のキャラクターがいます。原作を子供の頃から読んでいたこともあって、ブラック・ジャックもどこか身近に感じる部分もあったので、他の漫画原作の作品のように『漫画原作だから、原作を読み込まなきゃ!』とプレッシャーを感じることもなく、すんなりと楽しんで飛び込めたことが印象深いです」

――役作りや演じる上で意識されたことは?

「ブラック・ジャックって常に世の中に対して怒りを持っているので、それを一番に考えました。顔に傷があるけれど、それをあまり他人のせいにしていなくて、そんな自分の姿を超えて、世の中の在り方に対して『こうあるべきなんじゃないか』というポリシーをちゃんと持っている人だったので、『何に怒りがあって、それを誰に訴えたいと思っているのだろう』というのを探求していったという感じでした」

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――公演中の思い出は?

「自分で傷のメイクをするのですが、顔を作る時に、まず眉毛を書くペンシルで線を引いて下書きするんです。『ここからが傷です』みたいな感じで。傷を境にドーランの色を変えるんですけど、普段絶対に使わないような灰色みたいな色を塗って、その顔で人に会うのも面白くて。会った人の反応を見て、『そうだよね。そうなるよね』なんて思いながら。

でも、あのメイクが役に入れる一つの材料になっていました。お稽古場でも、一度『本番は、どんな感じになるのだろう』と思って傷だけ書いてお稽古をしたら、演出の先生に『それ付けるとやっぱり(役への入り込み方が)違うね』って言われて、自分としても助けになってくれた要素の一つでした」

――「宝塚歌劇」作品見放題という企画は「宝塚歌劇に触れたことのない方にも宝塚歌劇の魅力に触れていただいて、新しい宝塚ファンになってもらいたい」という思いから始まっているのですが、ご自身が宝塚歌劇を好きになったきっかけについて教えてください。

「中学3年生の終わりに、友達から宝塚歌劇のビデオを借りて見たのがきっかけです。それまでは、存在は知っていたものの一度も見たことはなくて、宝塚が大好きな友達が『1回見てみて!』って貸してくれて。朝海ひかるさんの『Romance de Paris』だったのですが、朝海さんの仕草に、『あ...、すてき!』って一瞬で虜になったんです。それから『実際に劇場で生で見たい』となって、聞くと『なかなかチケットが取れなくて、前売りの日に朝から並ばないと取れない』というので、その子と一緒に朝から並びました。でも何回も行けたりはしないから、公演ごとに1回チケットを取って行って、その他はお正月とかに地上波で放送されたものを録画して何回も見る、という感じでした。高校一年生の終わりに(宝塚音楽学校を)受験したので、ファン歴は本当に短いですけれど。

子供の頃から『人と違うことをしたい』という思いはずっと抱いていて、『この自分の中にある思いをどう表現したらいいのだろう』『そうするには自分はどんな職業に就けばいいのだろう』みたいなことを結構考えていました。そんな中で借りたビデオを見た時に『あ、これだ!』って思ったんですよね。だから、ファンでもあるけれど、『これを仕事にするんだ』みたいな感覚の方が強かったかもしれないです」

――ハマってから約1年で宝塚音楽学校に合格するのは本当にすごいです...。

「いえいえ。だからこそ、入ってからが本当に大変でした。できる子は本当にできるので、上のクラスにいて。私は下のクラスで、放課後も居残り授業を受けたりと、できる方ではなかったです。ただ、"憧れて、憧れて、子供の頃からそれしか目指していなくて入った"というわけではなかったからこそ、逆に自分のできないところや足りないところを、客観的に冷静に見られていたというのはあったと思います。子供の頃から憧れていたら、『自分ってこんなこともできないのか。向いていないのでは』と受け止め切れずに心が折れちゃっていたかもしれないですから。できないことは自分が一番分かっていましたので」

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――退団されてから宝塚歌劇を観賞されたりしますか?

「タイミングが合えば劇場にも見に行きます。でも、観劇って特別なイベントだから、『予定が合わなくなって、穴を空けちゃいけない』と思うので、"ここは絶対休み"というのが分かっている時になってしまうんですけど。見に行くとやっぱり楽しいです。またファンに戻ったような気持ちで見られるので、純粋に楽しい!」

――裏側を知っているがゆえの見方になったりはしますか?

「『この"振り"大変そうだけど、カッコいい!さすがだな』など思いますが、それほど裏側目線にはならないですね。『この振り付けは、絶対あの先生だな』なども思いますけど、そこに気付けてうれしくなるというか。だから、OG目線というよりはコアなファンですね(笑)。

宝塚は毎年新しい子が入って、毎年知っている人が何人か退団するので、毎回顔ぶれが違い、ある意味新鮮さがあって、それが宝塚の魅力でもあると思うんです。変わらないようでいて、どんどん進化している。だから、知っている人がいたらうれしい気持ちになるし、『この子、誰だろう?』っていう新しい子を見つけたらまたうれしくなる。...本当にファン目線ですね(笑)」

――退団後も精力的に活動されてらっしゃいますが、オフの日はどのように過ごされていますか?

「家にいる時と出かける時の差が激しいんですよね。家にいるとなったらずっといても平気ですし、出るとなったら結構行動力もあって、"インドアなようで、めっちゃアウトドア"みたいな(笑)。

家にいる時は猫と遊んだり、映像作品やYouTubeを見たりして過ごしています。ずっといても心地良い環境になるようこだわっていて、観葉植物を置いて、シーリングライトを付けて、きれいな空気が循環するようにしているので、『外の空気を吸いたい...』と思わないような感じになっています。

逆に出かける時は、かなりフットワークは軽い方で、『どこどこに行こう』『じゃあ、私車出すよ』と言って遠出することもありますし、急に誘われても行けたら全然行きます。何でもやってみたいし、何でも楽しめる気質なので、突然『ゴルフの打ちっ放しに行こうよ』って言われたら『行く!』ってなるし、『ちょっと山登り行こうよ』って言われても『行く、行く』ってなるので。趣味と呼ぶには浅いかもしれないけど、どれもちゃんと楽しめるし、1回で止めることはないので、幅広い意味で多趣味だと思います」

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――最近、はじめた趣味は?

「ボルダリングです。1度やってみたらすごく楽しくて!やってみるとたくさん発見があって、『腕の力だけで登ると保たないな』とか、『"体全体を使って、最小限の力で最大限の成果を出す"という気付きがあって、これまでやってきたトレーニングだったり、ピラティスに通ずるところがあるな』とか。そうなると、より深みにハマっていきました」

――映像作品はどんなものを見られるのですか?

「趣味ともリンクしますけど、ヒューマンドラマも、アクションも、ミステリーも、サスペンスも好きですね。何でも見ます。あ、ホラーはちょっと苦手ですけど...(笑)。"食わず嫌い"とかはなくて、ティザーが気に入ったり、挿入曲が『いい!』と思ったりしたら、とりあえず1話を見て、面白そうだったら続けるというタイプなんです。

だから、あまりジャンルにとらわれていないんですけど、その中でも"職業もの"はよく見ているかもしれません。"職業もの"って仕事をしている様子はもちろんですけど、その人物のオフの部分も描いていて、"そのバックボーンがどう職業に影響をもたらしているか"というのが勉強になるので。例えば、アナウンサーだと、(演じる時に)『アナウンスしている部分をどうしよう』と考えがちなんですけど、『こういう背景があって、こういう仕事をしようと思う人がいるんだ』と思うと、自分にはなかった引き出しが増えるような気がして」

――年女ということで、今年の目標を教えてください。

「先程、多趣味の話をしましたが、以前はそんなことはなくて、『何か趣味を見つけきゃ』と焦るような人だったんです。でも、退団してからいろんなジャンルのいろんな方に出会ってお話していると、『オフが充実されているんだろうな』と感じる人がすごく魅力的に見えたんですよね。もちろんお仕事はお仕事で楽しんでらっしゃるんだけど、オフも充実していることで、自分の人生を謳歌してらっしゃる。だから、仕事も楽しんでできるんだろうなって。

それまでは『仕事が幸せじゃなかったら、自分も幸せじゃない』みたいな感覚があったから、もちろんそれも一理あるとは思うんですけど、それだけじゃないことに気が付いて。"私生活が充実しているから、それがお芝居にも反映されていて、結局その人がめちゃくちゃすてきに見える"という方にお会いする機会がとても多かったので、それから多趣味になっていったんです。

だから、今年も引き続き、いろんなことに目を向けて、いろんなことを楽しんで、そこでまた新しい出会いとかがあったらうれしいし、それによって一層お仕事も楽しんでできたらと思っています。

宝塚時代の"一つのことを突き詰めていく"という時間は、私にとってすごく必要な時間でしたし、それができる人生ってなかなかないと思うので、とてもありがたい経験だったなと思っています。そして、それを経験したからこそ、今それを横に広げたくなったみたいな感覚ですね」

文/原田健 撮影/中川容邦

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