エバースが大型特番での過酷なロケを回顧「あとこれが2本あるの...?」

エバースが大型特番での過酷なロケを回顧「あとこれが2本あるの...?」

2024年、「NHK新人お笑い大賞」で優勝し、「ABCお笑いグランプリ」「ツギクル芸人グランプリ」「M-1グランプリ」でも決勝に進出するなど、次世代のお笑い界を担う若手有望株の一角であるエバース。そんな彼らの90分大型冠特番「エバース漫才記」が、2月21日(金)に映画・チャンネルNECOで放送される。

同番組は、東京しゃべくり漫才の次期エースとも謳われるエバースが、未知の世界を体験取材し、その取材を通してインスピレーションを受けた3本の新作漫才を作るというもの。2人は「メイドカフェ」「茶道」「忍者」という3つの世界を体験し、それぞれの世界でお世話になった人たちに新作漫才を披露する。

今回、エバースにインタビューを行い、番組のオファーを受けた時の心境やロケの感想、自身が考えるコンビの強みなどについて語ってもらった。

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――最初にこの特番の話を聞いた時の心境は?

佐々木隆史「最初は何をするのかあまりよく分かってなくて、(内容を知らされた)打ち合わせの時に『(ネタ作り担当の)俺が漫才3本作らなきゃいけないんだ...』って、まず思いましたね(苦笑)。そして、『売れている人だったらロケに行くだけで面白いからいいけど、確かに俺らがただロケに行くだけじゃ誰も興味ないか...』というのもあるので、『もうやるしかない』という感じでした(笑)」

町田和樹「(打ち合わせの時は)ライブ終わりに結構な人数の大人が来て、『無理です』とか言える状況じゃなかったんですよ! ただ、僕としては『佐々木が作るから大変そうだな』って。あと、『(ネタを)覚えられるか、俺?』っていうのがありました(笑)。でも、テレビに出てもなかなか映ることができない中で、90分も僕らを映してくれるというのはめちゃめちゃうれしかったです」

――「メイドカフェ」「茶道」「忍者」という3つの世界を体験されましたが?

町田「『メイドカフェ』では、メイド体験もあってキツかったですね...。でも、この番組の構成上、佐々木がやるわけないから、僕がやるしかなかったです(泣)。だいぶ恥ずかしかったですね。ただ、メイドの方たちは本当にプロだなって感心しました」

佐々木「『メイドカフェ』は最初に行ったので結構早い時間で、朝一の町田のメイド姿とか、メイドさんにちょっとテンション上がっている町田とかにムカついちゃって...」

町田「なんなんだよ!」

佐々木「午前中の町田ってムカついちゃうんですよね。だから、『前半、めっちゃムカついた』というのだけすごく覚えています」

町田「午前中に暗いやつよりいいですよね? ちゃんとやってんだから!」

佐々木「僕はロケやりながら、『これって漫才のネタに使えるかな』とか考えながらだったので、いろいろやらせてもらったんですけど、心から楽しめたというのはなかったですね...」

町田「僕は全部楽しかったです! 何も考えてないんで。『メイドカフェ』はみんなかわいかったし、『茶道』もやったことなかったので新鮮でしたし、『忍者』もガチでされている方々に教えてもらったので。特に、メイドカフェはプライベートでも行ってみたいなって思いました」

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――ロケの一番の思い出は?

佐々木「ロケの後にすぐネタ作りをして、1時間で作って、それをロケでお世話になった方々の前で披露するという流れなんですけど、ネタ作りの時にカメラマンさんがめちゃくちゃ近いんですよ! しょうがないとは思うんですけど、めっちゃ作りづらかったです」

町田「スタッフさんが、みんな真顔で待ってるんですよ。飯とか食ってくれていたらいいのに、真顔で待ってたから特にやりづらかったんですよね(苦笑)。あと、『忍者』の時に先生が額当てみたいなのを付けていて、被り物を取ってもらおうかと思ったんですけど、『めっちゃハゲてたりしたら失礼かな』と思って言い出さなかったんです。で、ロケが終わって先生が被り物を取ったら、頭頂部を剃っていて横を残している落ち武者みたいな髪型で、『やっぱ言えばよかったなぁ』ってめっちゃ後悔しました」

佐々木「言っていたら、どうなんの?」

町田「なんかひと盛り上がりあるだろ」

佐々木「でも、終わった時に『いけばよかったすねぇ~』って一人で嘆いていたけど、他の人は全員『別にそんな盛り上がらないだろ...』っていう感じになってたよ。お前だけ『うわー、もったいねぇ』とか言ってて」

町田「え、そうなん? そう思っていたの俺だけ? 恥ず...」

――今回のようなコンセプトが決まったネタを作るというのは難しかったのでは?

佐々木「そうですね。でも、東京・神保町の劇場のライブで『お題ネタバトル』というのがあって、作家さんが決めたお題を基に漫才を作って競うんですけど、それに昔からずっと出ていたんです。だからお題に則して作るというのはわりと慣れているとは思うんですけど、ロケをして、ロケで体験したことも含めて作るというのは新鮮でしたね。ロケの時に盛り上がっていて、『これ入れたら絶対盛り上がるぞ』と思ってネタに入れても、そんなにウケなかったりとか...。難しかったですね」

町田「いやでも、(佐々木は)すごいなって思いました。劇場の『お題ネタバトル』よりも縛りはキツいですし、ロケの中でなかったことは入れられないし」

佐々木「1時間で作ったわりにはだいぶ頑張ったなと。視聴者の方はどうか分からないですけど、芸人は『すごいことしてるな』って思うと思います」

町田「いつもは(佐々木が)『どう思う?』とか聞いてくれるんですけど、今回は特に時間がないのでそういうこともなく、僕はコーヒーを飲んでいました」

佐々木「町田に割いている時間がなかったんですよ。そんな中で、『茶道』や『忍者』のネタは改良すれば寄席とかでやれるくらいの出来だったと思います」

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――漫才を披露した時のお客さんの反応は?

佐々木「全体的に温かかったです。60分くらいロケで一緒にいたので好意的に見てくれますし。友達の前で漫才やるみたいな感じでした」

町田「茶道とか、すごく礼儀に厳しそうで、やる前は緊張したんですけど、意外と先生も笑ってくれて、なんなら茶道が一番笑ってくれたんですよ。『先生、笑ってる!』ってうれしかったです」

――全て1日で撮ったと聞きましたが、なかなか過酷だったのでは?

佐々木「朝からロケして、ネタ作って披露して、移動してロケして...って。終わったのは23時くらいでした」

町田「1本目終わった時に震えましたもん。『あとこれが2本あるの...?』って」

佐々木「たまに『今日あの仕事かぁ。ちょっとカロリー高そうだな』って思う仕事があるんですよ。そういう仕事が終わった時って、『終わった~』っていう達成感があるんですけど、1本目のロケが終わった時点でその感覚でしたから! 『これを、あと2本!?』ってなったよな」

――昨年は賞レースなどで大きな躍進を遂げられたと思いますが、ご自身で周囲の変化を感じることはありますか?

佐々木「『M-1』以降は、普段のライブでステージに出ていった時に、お客さんの『ファイナリストだ』という空気は感じますね。ちょっと歓迎してもらえているというか。出ていく前に『エバース』って紹介されると、ちょっと歓声が上がったりする時もあったりするので」

町田「ルミネでも『おぉ!』って感じがあったり、『ルミネで見られた』みたいな顔をしている人も結構いらっしゃって、そういうのはすごくうれしいですね」

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――ご自身が考える"エバースの強み"はどんなところでしょうか?

町田「より普段に近い状態でネタをやれているところですかね。(ネタ中でも)そのままっちゃあ、そのままだし。ラジオとかトーク番組でも、(2人のキャラクターが)ネタとの違いがあまりなくて、ギャップを埋める必要がないところかな」

佐々木「僕らはstand.fmを何年か前からやっているんですけど、ラジオを聴いて好きになってくれる人も多くて、2人の会話とかがそのまま漫才にも活きているのかなと思うので、2人の会話が強みなのかなって思いますね」

――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

佐々木「エバースの真骨頂が見られるので、ぜひご覧ください!」

町田「ネタ作りの雰囲気とかはまったく公開したことがないので、こうやってネタができていくんだっていうところに注目していただければ!」

取材・文/原田健 撮影/永田正雄

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