退団から約3年、珠城りょうが後輩たちに贈りたい言葉を告白

退団から約3年、珠城りょうが後輩たちに贈りたい言葉を告白

珠城りょうが、1月20日(月)に時代劇専門チャンネルで放送される「華麗なる宝塚歌劇の世界~Season6~」に出演する。

同番組は、数ある宝塚歌劇の作品の中から「日本物」を厳選して放送するシリーズの第6弾。20日は2020年の月組・宝塚大劇場公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』を取り上げる。ナビゲート番組では、中井美穂の進行の下、番組ゲストの珠城が公演当時の思い出や裏話を語る。

今回、収録後の珠城にインタビューを行い、収録の感想や宝塚歌劇団時代のこと、退団前と後の生活の変化、2025年にチャレンジしたいことなどについて語ってもらった。

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――収録はいかがでしたか?

「今回が3回目の出演となるのですが、中井さんとのトークが本当に楽しくて!中井さんはいつも宝塚に対して愛情を持って、作品に関して深いところまで聞いてくださいます。一つの作品についてここまでたくさん話せる機会はなかなかないので、『当時を振り返りながら楽しくトークできる時間は、すごく貴重だな』と感じながら、今日も楽しい時間を過ごさせていただきました」

――確かに、宝塚歌劇団時代を振り返ることはあっても、作品をピンポイントで振り返る機会というのは少ないですよね。

「そうなんです。やっぱり今は(宝塚を)離れて普通に日常を過ごしていますし。特に今回は2020年の作品なので、映像を見ながら『あの時こうだったな』とか『こういう思いで舞台に立っていたな』と思い起こすことができたのは本当に貴重ないい機会でした」

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――退団されてから約3年。今振り返って"宝塚歌劇団時代"はご自身にとってどのようなものですか?

「原点はそこなので、"自分の根底にあるもの"です。プロとして人前に立って仕事をしていくということの心構えを学んできた場だな、と思います。『芸の道は終わりがない』という言葉があるように、役者という仕事には終わりがなく、続けていく以上は完結しないで、常に成長、変化し続けていくものだと思っているのですが、それらを支える自分の地盤になっている時間です」

――退団後も休むことなく走り続けていらっしゃる印象なのですが、そのバイタリティーはどこから生み出されているのでしょうか?

「いえいえ。宝塚歌劇団時代に比べたらめちゃくちゃ休んでいますよ(笑)。でも、退団していろいろなお仕事をさせていただいた時に、『表現する仕事が好きだ』と改めて感じたんです。それが一番のバイタリティーですね。あと、『自分の仕事を通して誰かに喜んでもらいたい』『誰かがわくわくしたり幸せな気持ちになってもらうことが、私はうれしいんだな』と思って、それも大きな力になっています」

――長期休暇を取るというような考えはなかったのですか?

「仕事していたいですもん(笑)。この仕事が好きだし、実際に仕事をしている時の方が生き生きしているんです。自分でそう感じるから、やはり仕事をしていた方がいいんだろうなと思います。そんな中でも、ちゃんとプライベートな時間は大切にできているので、すごく充実しています」

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――収録で「朝食前に運動している」と明かされていて、そのストイックな姿勢に驚きました。

「最近ですよ(笑)。舞台に立っている期間や稽古に入っている期間は常に動いているのでそこまではしないですが、映像や朗読劇のような仕事の期間はオフの時間が長いので、その間に『いつ呼ばれても、すぐに人前に立てるような体を作っておきたい』というだけのことですから。ずっとスポーツをやっていたこともあって、"他人と比べて"というより、自分に負けるのが嫌なんです(笑)。体型維持や見た目をキープするというのは仕事の一環なので、特に頑張ってやっているということではないんですよ」

――心休まる時間や癒やしの時間についてお聞かせください。

「最近は朝の時間を大事にしていて、朝起きて南部鉄器でお湯を沸かして、それで温かい飲み物を作って飲んでいます。ここ3年くらい冬になるといつもやっているのですが、テレビもつけずにのんびりコーヒーやお茶を入れて、ぼーっとして過ごしています(笑)。南部鉄器で沸かしたお湯を使うと鉄分が取れるので女性の体には特にいいですし、お水がまろやかになるのでお薦めです。あとは、ウィンドウショッピングも大好きなので、一人でお買い物に出かけてカフェで休憩したり、友達とおいしいご飯を食べに行ったりする時間もかけがえのない癒やしの時間です。だから、ちゃんと休んでいます(笑)」

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――退団前と後で時間の流れの感じ方は変わりましたか?

「宝塚歌劇団時代は、次の作品の稽古が始まるまで1週間休みがあればいい方でした。だから、退団直後は『こんなに休んでいいのかな』『私、仕事してないじゃん。仕事しなきゃ!』と焦りを感じたことも正直ありましたね。でもそれは宝塚という特別な環境に慣れていたからで、今では"オフの過ごし方をどう充実させるか"が上手くなったと思っています。 一方で、『ファンの方の期待に応えたい』という思いは絶えず自分の中にあって。自分が好きでやっている仕事ではありますが、誰かが必要として喜んでくれて初めて成立する仕事なので、いただくお仕事を、今後につながっていくよう一つひとつ丁寧に向き合って真摯にやっていきたいという思いと共に、応援してくださる方や私に興味を持ってくれた方にわくわくしてもらえるよう頑張っていけたらなと思っています」

――退団してから宝塚歌劇の見方に変化はありましたか?

「宝塚に限らず他の舞台を見る時も、演じる側の気持ちを知っているので、多分もうファン目線に戻ることはないと思います。特に宝塚は知り合いが出ているということもあり、親戚の発表会を見ているような気持ちです。『このシーン大変そうだな』とか。もちろん、『このシーンすてきだな』と見るところもあるんですけど、ショーなどは『これ絶対、めっちゃキツいわ...』とよぎってしまうので、『本当によく頑張ってる!』という半分身内みたいな目線です」

――今、宝塚歌劇団で頑張っている後輩の皆さんに言葉を贈るとしたら、どんな言葉を贈りますか?

「みんな本当に頑張っているので、限られた時間をとにかく楽しんでほしいなと思います。『そこにいる時間を思う存分楽しんで』と言いたいですね。 みんな目標が高く、頑張ることが当たり前になっているので、『頑張ったね』という言葉をかけられることは少ないんです。退団後に、(宝塚歌劇団外の)共演した方たちからかけてもらった言葉で、『ああ、私ってすごいことをやっていたんだな』と再認識したことがあり、その時に私は(後輩たちに)『よく頑張ってる』『すごいことをやっているんだよ』と言ってあげようと思いました。それからは、縁のある人たちには折に触れて、そういった言葉をかけるようになりました」

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――2025年は大河ドラマ出演など、2024年に引き続きお忙しいと思いますが、そんな中でチャレンジしてみたいことはありますか?

「昨年、ミュージカル『20世紀号に乗って』という作品でリリー・ガーランドという役を演じさせていただきました。ああいった(ヒロインの)役を演じることが初めてで、自分にとって挑戦でしたが、とても有意義な時間で『ミュージカルもこれからやり続けたい』と思えた作品だったので、2025年に限らず、今後はミュージカルもオファーをいただけるように頑張っていきたいなと思っています。そのためにずっとボイトレも続けています。 また、プライベートでは、北海道の富良野と鹿児島県の屋久島にいつか行きたいと思い続けているので、どちらかに行けたらいいですね」

――最後に番組をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

「今回この番組を通して、私も久しぶりに当時の自分を振り返り、思い起こすことができて、とてもいい時間を過ごさせていただきました。この『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』という作品は、宝塚の和物のレビューの良さや魅力が全て詰め込まれているような作品だと思うので、今まで宝塚の和物のレビューというものをご覧になったことのない方でも『宝塚ってこんなこともやるんだ』と新たな発見をしてもらえるものだと思います。ぜひいろんな方にご覧いただいて、"宝塚の魅力"と"日本ならではの魅力"をたくさん発信していただけたらうれしいです」

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文/原田健 撮影/中川容邦 ヘアメイク/河上智美 衣装/久保コウヘイ