月城かなとが宝塚歌劇団時代を回顧「一瞬で、全てが竜宮城のようでした」
エンタメ インタビュー
2024.11.14
月城かなとが、11月18日(月)、25日(月)よる10時に時代劇専門チャンネルで放送される「華麗なる宝塚歌劇の世界~Season6~」にゲスト出演する。
同番組は、数ある宝塚歌劇の作品の中から「日本物」を厳選して放送するシリーズの第6弾。18日は2015年の雪組・宝塚バウホール千秋楽公演『銀二貫』―梅が枝の花かんざし―(千秋楽)、25日は2021年の月組・博多座公演『川霧の橋』-山本周五郎作「柳橋物語」「ひとでなし」より-を取り上げる。ナビゲート番組では、中井美穂の進行の下、ゲストの月城が公演当時の思い出やエピソードを披露する。
今回、収録後の月城にインタビューを行い、収録の感想や公演当時の心境、退団後の生活の変化、今後の活動などについて語ってもらった。
――収録はいかがでしたか?
「久しぶりに中井さんとお会いして、楽しくお話させていただき、いい意味でお仕事という感覚ではなく楽しませていただきました。退団してからも撮影したり収録したりしているのですが、どの現場も毎回新しい方とお仕事できるのが刺激的で楽しいです」
――ご自身が出演された舞台を振り返っていらっしゃいましたが?
「番組の台本を読んだ段階では、当時どんな気持ちだったかは覚えていないと思っていたのですが、中井さんのアシストが本当に心強くて!『あの時どうだったんですか?』ではなく、『今、改めて見てどうですか?』という切り口で来てくださったので、宝塚の一ファンになった気持ちで自分の出演作を振り返れたのが楽しかったです」
――お芝居ではなく、自分のことについて語るトーク番組ということについては?
「難しいです(笑)。終わった後に『あの時、こう言えば良かった』と思いますし。元々、自分の気持ちを言葉にするのが苦手なタイプだったのですが、宝塚での16年間で考えていることを言葉にできるように鍛えられました。まだつたないですが、機会があれば挑戦したいです。面白くないかもしれないですが(笑)」
――18日放送の『銀二貫』―梅が枝の花かんざし―は月城さんにとって初主演作品ですが、主演が決まった当時の心境は?
「音楽学校の時からお世話になっていた谷正純先生(脚本・演出)の作品で初主演できるというのは、すごく安心したという思いと、慣れているとはいえ、原作のある日本物か...というプレッシャーを感じました。『(主演だから全体を引っ張る)特別な存在でいなければ』と意気込み過ぎて『何でもちゃんとできなくちゃ!』と思っていたのですが、専科や上級生の方もたくさん出てくださったので、結果的に安心して身を委ねることができた思い出があります」
――25日放送の『川霧の橋』は海乃美月さんとの月組新トップコンビのプレお披露目公演でしたが、当時の心境は?
「この作品は31年ぶりの再演で、初演では当時の月組トップのお二人(剣幸・こだま愛)にぴったりの作品ということで話題になっていたので、ずっと再演されていなかった作品を演じられることがうれしかったです。『川霧の橋』にぴったりの、歴史のあるとてもきれいな博多座という劇場でできるのもありがたいと感じていました」
――7月7日に宝塚歌劇団をご卒業されましたが、卒業当日で一番印象深かったことは?
「どれがというよりも、退団当日も含めて初舞台から最後の日まで、宝塚での出来事を振り返ってみると一瞬で、全てが"竜宮城"のようでした。『あんなにキラキラした美しい世界と思い出ってないな』と。だから、あの千秋楽の1日は、いつまでもあそこに思い出としてあるんです」
――退団を実感されたのはいつでしたか?
「千秋楽の翌日の朝ですね。退団したというよりも、『ちゃんとやり遂げられた』という思いが強かったです。トップスターになった時も『初めてで何も分からない...』と不安でしたが、退団の時も『どういう心理状態で千秋楽までいくのか』とか『特別な日となる千秋楽をどういう気持ちで迎えるんだろう』とずっと不安だったので、『私、ちゃんとやり遂げて卒業できたんだ』という思いが大きかったです」
――退団後はどのように過ごされていたのですか?
「最初の1カ月は『予定がないと怖い』と思ってスケジュールを詰め込んでいたのですが、1カ月が過ぎたあたりから『中身は変わらないし、別の人になろうとしなくていいんだ』と気付いて、好きなことに時間を使えるようになりました。あとは、コンサートに向けて歌のレッスンに通っていました。宝塚時代と生活も違いますし、挑戦する曲も違ってくるので、男役の時とは違った声が出せたらいいなと思って。もちろん、宝塚時代の曲を歌う機会もあると思いますが、同じように歌っても面白くないかなとも思いますし、同じ曲でも違って聴こえて『どっちもいいな』と思ってもらえるようになれたらなと」
――退団後は、宝塚歌劇団の舞台をご覧になりましたか?
「もちろん見ました。『どういう気持ちになるんだろう?』と思っていたのですが、『自分が立っている時はこうだったな』と全く思わず、本当に"推し"が舞台に立っている感覚でとても楽しかったです!『知っている人が舞台に立っているって、こんなに楽しいんだ』って(笑)。千秋楽の日に自分が竜宮城だと思った世界が、いつ行ってもそこにあるというのがうれしくて楽しいなと感じました」
――退団されて、生活で変わったことは?
「日中は劇場にいることが多かったので、太陽が出ている間に歩いてどこにでも行ける時間があることがすごく新鮮です。ただ、今年の夏は非常に暑くて...(笑)」
――今後の展望を教えてください。
「いろいろやってみたいんですよね。演じることも、歌うことも。今までしてこなかったことにもどんどんチャレンジしたいので、常に挑戦ができる人でいたいなと思っています」
文/原田健 撮影/中川容邦
スタイリスト/松島 茜(io)
ヘアメイク/灯(ROOSTER)