リウシュエイー(劉学義)が愛すべき悪役から愛に揺れる主人公に「桃花、江山に燃ゆ」
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2026.04.27
昨今の中国ドラマ界で、悪役や冷徹なキャラクターを演じて確固たる地位を築いたリウ・シュエイー(劉学義)。誰もが醸し出せるものではないカリスマ性を身にまとい、時に主人公以上に視聴者の心を揺さぶる存在感を放っている。
華のある愛すべき悪役で名をはせたリウ・シュエイー
1990年生まれのリウ・シュエイーは、中国を代表する演劇大学である中央戯劇学院出身。端正なルックスと確かな演技力を武器にキャリアを重ねてきたが、主演俳優として広く注目を集めるまでにはやや時間を要した。そんな彼の演技力が大きく花開いたのが、"悪役"というフィールドだ。「琉璃~めぐり逢う2人、封じられた愛~」では、チョン・イー(成毅)演じる主人公とヒロインの恋に立ちはだかる存在を熱演。ヒロインへの執着にも似た深い愛情を抱えながらも、信念に基づいて行動する姿は単なる敵役にとどまらず、「愛すべき悪役」として話題となった。

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さらに、シュー・カイ(許凱)主演の「千古の愛、天上の詩」では、愛ゆえに道を踏み外していくキャラクターを体現。狂気と切なさが同居する繊細な演技で、視聴者に強烈な印象を残した。そして、彼の"悪役俳優"としての評価を決定づけたのが「長風渡 ~あなたと綴る、運命の縁~」だ。リウ・シュエイーは、バイ・ジンティン(白敬亭)演じる主人公の大富豪一家に強い恨みを抱く人物を演じ、その背景にある悲劇と、避けがたい結末までを丁寧に表現。視聴者の共感と涙を誘った。
物語において悪役は不可欠な存在でありながら、時に憎まれるだけで終わってしまうことも少なくない。しかし、彼はキャラクターの内面に深く踏み込み、その感情の機微まですくい上げることで、悪役に人間的な奥行きを与えてきた。その結果、リウ・シュエイーの演じる悪役は単なる敵ではなく、「愛すべき悪役」として魅力的なものとなり、SNS時代に大きな反響を呼んだ。

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クールな顔立ちが「鬼」と呼ばれる野心家を際立たせる
そんな彼が再び"悪"の魅力を発揮する時代劇「桃花、江山(こうざん)に燃ゆ~命がけの政略結婚~」で演じるのは、国王の懐刀であり左丞相を務める沈在野(しんざいや)。目的のためには手段を選ばない冷酷な野心家で、その非情さから人々に「鬼」と恐れられる存在だ。リウ・シュエイーの端正でクールなたたずまいが、その冷徹さと底知れなさを一層引き立てている。一方、沈在野が策略によって政略結婚を強いられることになるのが、敵国から和親のために送り込まれた公主である、モン・ズーイー(孟子義)演じる姜桃花(きょうとうか)だ。

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悪名高き宰相と聡明な公主という対照的な二人は、互いに思惑を抱えたまま夫婦となる。物語はいわゆる"先婚後愛"という王道の枠組みを踏まえつつも、単純なロマンスにはとどまらない。互いの腹の内を探り合い、時に対立しながらも、共通の敵や困難に立ち向かう中で関係性が変化していく。駆け引きと共闘が交錯する、一筋縄ではいかない人間ドラマが繰り広げられる。そんな中で光るリウ・シュエイーの持ち味は、確かな演技力に加えて端正な顔立ちにもある。彫りの深い整ったルックスは、登場した瞬間に視線を引き寄せる華やかさを放つ。一見すると正統派の美男子だが、どことなく宿る冷ややかな空気が、役柄に独特の緊張感をもたらす。それが悪の印象を際立たせ、沈在野というキャラクターにも見事に重なっている。
特に、感情を押し殺した"無"の表情は印象的だ。心の内を一切悟らせない静かなたたずまいは、刺客に襲われる極限の状況でも揺らぐことがない。一瞬で「鬼」と称される冷酷さと揺るぎない強さが伝わり、さらに細部に宿る繊細な演技が人物像に奥行きを与える。鋭く差し込むような視線、わずかに動く眉、ほんの一瞬の手の動き――。セリフに頼らずとも、内に秘めた感情や思惑がにじみ出る。沈在野が何を考え、何を成し遂げようとしているのか。その核心を"語らずに語る"ことで、視聴者を物語の深部へと引き込んでいく。

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冷たさの中に芽生える愛情がドラマに深みを与える
元は敵国の人間であり、どこか不審な行動も見せる姜桃花に対し、当初は強い警戒心を抱く沈在野。しかし、仕組まれた罠(わな)を命がけの機転で切り抜ける彼女の強さと聡明さに触れるうち、その評価は次第に変化し、やがてその感情は抗いがたい愛へと姿を変えていく。リウ・シュエイーの繊細な演技は、そんな心の変化を見せる場面で一段と輝きを放つのだ。
例えば、追手から逃れて身を潜める中、疲れ切った姜桃花がそっと肩に寄りかかり眠りに落ちる場面。戸惑いを隠しきれないわずかな表情の揺れが、沈在野の内面を雄弁に物語る。また、彼女の隠し事に気づいた瞬間にあらわになる怒り、「もう信じない」と言葉にせずとも伝わる拒絶、寒さに震える姜桃花に何気なく上着をかけるさりげない優しさ――その一つひとつが、彼の感情の変化を鮮やかに映し出す。
とりわけ印象的なのは、その目の演技だ。長いまつげに縁取られた視線には、言葉にならない思いが宿る。すれ違いの末にこぼれる一筋の涙は、胸を締めつけるような切なさを伴い、強い共感を呼び起こす。もちろん、お姫様抱っこや濃厚なキスといった王道のロマンチックなシーンも、大きな見どころの一つだ。本作で彼が演じるのは純粋な悪役ではなく、ダークな側面を持ちながらも愛に揺れる主人公。冷酷さの奥に秘めた熱い想いを表現することで、新たな魅力を引き出している。リウ・シュエイーの奥深い表現力に触れれば、その魅力に引き込まれてしまうはずだ。
文/神野栄子




