渡辺美里が40周年ツアー、そして聖地・西武ドームライブへの思いを語る

渡辺美里が40周年ツアー、そして聖地・西武ドームライブへの思いを語る

1985年にデビューしてから、ガールズポップの先駆者的存在として活躍し続ける渡辺美里。7月15日(水)には7年ぶりとなる21枚目のオリジナルアルバム『Birthday』の発売、11月8日(日)には21年ぶりに聖地・西武ドーム(ベルーナドーム)でのライブ「明治 チョコレート効果 プレゼンツ 渡辺美里 スタジアム伝説~復活~ Sweet 60」を控えるなど、2026年はひと際、音楽シーンの話題をさらっている。

そんな渡辺が"デビュー40周年の集大成"と謳って開催したライブツアー「渡辺美里 ULTRA POP スペシャル 〜じゃじゃ馬40th〜」の東京ガーデンシアターで行われたファイナル公演の模様が、7月19日(日)にMTVで放送される。

今回、渡辺にインタビューを行い、同ライブの感想や思い出、7月の新アルバムについて、11月のライブへの意気込みなどを語ってもらった。

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――ライブツアーを完走した感想は?

「2024年の39周年で、"サンキュー・イヤー"ということで『全国にありがとうを伝える』というライブツアーから始まって、昨年の40周年のツアーでは、みんなから『おめでとう』を言ってもらうツアーになって、そして今年という、自分たちのチームの中では3年間続いていた印象でしたので、この3年間はすごく緊張感が続いていました。私もそうですけど、バンドメンバーもスタッフも、みんなそれぞれがすごい使命感と責任感を持って走り切ってくれたので、本当にありがたいなと思いました。

それぞれの会場では、初めてコンサートを見てくれた方もいて、やっとコロナ禍が明けて、対面で互いに思いを届け合えた『BITTER☆SWEET ROCK 'N' ROLL TOUR シーズン 1』(2024年)、『40周年 BITTER☆SWEET ULTRA POP TOUR 2025』(2025年)、『ULTRA POP スペシャル 〜じゃじゃ馬40th~』(2026年)でしたね」

――番組では全曲ノーカットで放送されるということですが、注目ポイントや見どころを教えてください。

「やはり、生で、ライブで、会うことが一番なんですよね。今は通信技術が発達して、世界中どこにいても見ることができますけど、それでもライブ会場というのは世界で1カ所しかないわけで、その場所の、その瞬間は"本当に贅沢な空間"だと思うので。でも、その日に足を運べなかったという人たちのために、『うわっ!なんで俺はここにいなかったんだ!』って思うくらいの臨場感で編集してくれていると思います(笑)。

会場にいた方は自分の席から私を見たり、バンドメンバーを見たり、会場の様子を見たりと自由に楽しんでいただいていると思うのですが、その目線を代表したカメラワークで、より没入感のある印象的なものに仕上げてくれていると思うので、『この拍手の中の1つは私のだわ』と思いながら参加している感じで見ていただけたらと思います」

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――ライブでの思い出は?

「3月に同じ東京ガーデンシアターでライブをやった時は、他のアーティストもいて、その方々のファンもいたので、『(盛り上がらなくても)メンバー同士で責任を分け合えばいいわ』くらいに考えていて(笑)、みんなで緊張感も分け合えていたんです。でも、5月2日は自分のデビュー記念日ということもあって『新しい一歩を踏み出すのを、一緒に見届けてほしい』みたいなことを言っていたので、『(盛り上がらなかったら)全部私の責任だ...』って思いながらライブに臨みました。

かなりプレッシャーを感じていたんですけど、いざ始まってみたらとってもホームで! 千秋楽だし、デビュー記念日というところで、うれしいことが重なっていたこともあるのでしょうが、みんな『この日を楽しみにしていたよ!』という感じで迎えてくれたので、すぐに緊張が解けて一緒に楽しむことができました。

実は、39周年のライブツアーからライブ中に、『コンサートに来るのは10年以上ぶりの人』『初めての人』という感じで、客席とコミュニケーションを取りながらアンケートを取っていたのですが、30年ぶりの人もいらっしゃって。『私、(今まで続けて)やっていたからいいけど、もう見られなかった可能性もあるんだよ?』なんて言いながら(笑)。そんな交流を通して、私たちのようにコンサートやライブが身近にある人たちもいれば、ものすごく特別な時間として足を運んでくれる人もたくさんいるんだなと、改めて感じることのできたツアーでした」

――40年間走り続けてこられた原動力は何ですか?

「一番はやはり『音楽が好き、歌うことが大好き』ということがあって、音楽をやること、歌を歌うことによって、自分の中のエネルギーが巡り出します。でも、ただ単に『自分が歌いたい』という思いだけじゃなくて、それを聴きたいと思ってくれるファンがいて、(40年の間に)その人たちのストーリーもどんどん重なっていくというか。

みんな、恋に悩み、就職活動に悩み、将来に悩み、友人関係に...というところから、子育てがあり、自分の健康を考え始め、親兄弟の日々のことに思いを巡らせ始めるという、そんなそれぞれの人生のストーリーを持ってコンサートに来てくれるんです。

だから、"音楽が好き"という気持ちと、伴走してくれたファンの皆さんの存在が原動力なのかなって。歌い始めた頃は、『続けられたらいいな』とは思っていたけれど、まさか40年も自分の好きなことを仕事として続けられるとは、想像もしていなかったですね」

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――ライブをするにあたって意識していることは?

「ずっとそうなのですが、『いつも来てくれる"コンサートになじみのある人たち"だけが盛り上がるんじゃなくて、"初めての人"もちゃんと楽しめるように』ということを心掛けています。

MCなどで、楽屋でのメンバーのずっこけ話を聞きたいと思われる気持ちも分かるので、そういった話をすることももちろんあるんですけど、それだけじゃなくて、初めて来た人もそうじゃない人も、どんな人が来てもエンターテインメントとして楽しいなと思うような空間と選曲と時間にしたいな、というのは常に意識していますね。その時、その時の"ライブ感"というものを大事しながら、常にオープンな状況にしておきたいという思いがあるんです」

――ニューアルバム『Birthday』についてもお聞かせください。1stアルバムを意識したジャケットがすでに話題となっていますが、ジャケット制作の経緯は?

「今回のアルバムをリリースするに当たって、『私、60歳になるんだ』なんて思いながら作っていて、デザイナーの石川絢士さんに『私、再来年還暦なんだけど、シミもシワも傷も何もかも全部、今まで走ってきた私の勲章だから、(1枚目のアルバムの)『eyes』と同じ画角で撮りたい』とお願いしたんです。

全く同じ構図にして、今まで歩んできた道のりを皆さんに見ていただきたいなと思って。(ベテランになると)みんなアップを避けるんですって。やっぱり容姿のことをいろいろと言われることもあるから。でも私は、『60年も生きてきたんだから、そりゃいろんなものが見えるわよ。でも、それが生きてきた証じゃん』って思うから。

そうしたら、石川さんが『分かった!じゃあカメラマンは(『eyes』と同じ)大川(直人)くんだよね』ということで決まりました。ただ、大川さんは『あれを再現しなきゃ!』と思ったのか、スタジオまで当時と同じところを押さえてくださって。そこまで同じじゃなくてよかったんですけどね(笑)」

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――タイトルに込めた思いは?

「"生まれる"という意味を込めて付けたんですけど、ここ数年で『デビューしてこれだけの時間を重ねると、会いたくても会えなくなる人もたくさんいるんだな』っていうことを思い知らされることがたくさんありまして。"人と出会うこと"とか"生まれること"、そして"会えなくなること"、"生まれ変わること"というのを意識せざるを得なかったアルバムなので、『Birthday』という言葉が今の自分にしっくりくるなと思って、このタイトルになりました」

――11月に開催されるライブ「明治 チョコレート効果 プレゼンツ 渡辺美里 スタジアム伝説~復活~ Sweet 60」の意気込みをお願いします。

「もう屋根が付いているので『雨のバカー!』とは言わなくて済むと思います(笑)。ずっと真夏にやってきたので、今回は11月なんですけど、きっと皆さんは『本当の夏が来た』という思いで来てくれると思うので、それまでは健康で元気に会えますように。21年前までスタジアムで参加してくれていた人たちは同じだけ年を重ねていると思うので、多少"どこかが痛い"とかあるかもしれないけど、『西武ドームに行きたいから健康に気を付けよう』と思ってくれると思うので、ぜひ会場でまた新しいページを一緒に開ければと思っています!」

――40年間の活動の中で一番の思い出は?

「一番は難しいんですけど、以前、神宮球場の花火大会にたくさんのゲストと共に出演させていただいた時に、出番がトリで、運営の方から『どんなに曲の途中でも、MCの途中でも、必ず19時30分に花火が上がります』って言われていたんです。それで出番まで待っていたら、雨が降ったり、前のアーティストがしゃべり過ぎたりとかもあって、時間が押して、急きょ『曲を短くしてくれませんか』と言われて...。バンマスと『ここのラララ~♪のところを短くしよう』『ここはフルでやるところをツーコーラスにしよう』といった感じでバタバタしながら決めて、バンドメンバーたちも対応してくれて。

いざ本番では、足元にデジタルのミリ秒時計が置いてあって、少しでもしゃべり過ぎたら花火が上がってしまうというプレッシャーを感じながら、『夏が来た!』という楽曲で"WOW WOW~"って歌った後に、お客さんにも"WOW WOW~"って歌ってもらって、(音が)"ザンッ"て終わった瞬間に、花火がバーンって上がったんですよ。あれは気持ち良かったですね!人生最高のジャストタイミングで、今後やろうと思ってもできないでしょうねぇ。

あと、去年の横浜文化体育館のコンサートで、あそこは音出しが21時までで、私としては順調にコンサートを進めていたら、ギターの藤井謙二くんとベースの安達貴史くんのバトルコーナーで2人がノっちゃって、バトルが長い!『ちょっと...』って思いながら、後半なんとかお客さんを楽しませながらも急ぎ足で進めて、ステージから降りて制作スタッフに『今、何時?』って聞いたら、『(21時)15秒前です!』って。あの時も気持ち良かったですねぇ。人生最高の"ドヤ顔"をした思い出があります」

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――最後に番組をご覧になる皆さん、ファンの方々にメッセージをお願いします。

「この3年間、『楽しいことをやりたい』と思って過ごしてきて、それが叶った瞬間を皆さんにお届けできることがうれしいです。ライブって、特別な時間で、すごく心に特別な力をくれるものだということを画面を通して感じていただけると思います。

いろいろなチャンネルがあって、自分の中の世界がどんどん広がるプラットフォームの中の1つとしてライブ(を放送する番組)があって、そんな中で『こんな曲あったんだ』とか『この曲懐かしい!』とか、いろいろと可能性が広がる心の栄養がいっぱい取れるライブになっていたらなと思うので、ぜひご覧になってみてください」

PROFILE
1966年7月12日生まれ。東京都出身。1985年デビュー。翌年「My Revolution」がチャート1位となり、同年8月、女性ソロシンガーとして日本初となるスタジアム公演を西武スタジアム(現・西武ドーム)にて成功させる。以降、20年連続公演という前人未到の記録を達成。今年11月には「伝説復活」と銘打ち21年ぶりに同所でのライブを開催予定。

文/原田健 撮影/中川容邦

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