映画『侍タイムスリッパー』安田淳一監督×沙倉ゆうの J:magazine!特別対談【後編】

映画『侍タイムスリッパー』安田淳一監督×沙倉ゆうの J:magazine!特別対談【後編】

異例の大ヒットを記録した時代劇コメディ映画『侍タイムスリッパー』が、3月21日よりJ:COM STREAMにて見放題で最速配信中。今回、それを記念して、安田淳一監督と山本優子役を務めた沙倉ゆうのの対談が実現。旧知の仲である二人ならではの和気あいあいとした対談の様子を、前後編2本に分けて、お届けする。


安田「この映画は沙倉さん、山口馬木也さん、冨家ノリマサさん、たくさんの俳優さんに支えてもらいましたけど、実は撮影初日に参加してくれた、山形彦九郎役の庄野崎謙(「崎」は立つさき)さんにもすごく感謝しているんですよ。クランクイン初日で、立ち回りの撮影が初めての僕が同じカットを何テイクも撮っても、庄野崎さんは弱音も愚痴もなくつきあってくれた。その一連のシーンが作中すごく重要で、仕上がりも素晴らしいんです。あの日、庄野崎さんがフラフラになりながら文句も言わず最後までやり切ってくれたからこの作品は弾みがついて撮影を進められたと思うんです」

沙倉「わかります!クランクインは夏でものすごく暑い中、庄野崎さん、足とかすりむいて、私は絆創膏貼りに行ったんですけど、汗ですぐにはがれてしまう。それでも頑張ってくれたんですよね。彦九郎がお弁当食べてるシーンも何テイクも撮ったから、そのたびにごはんを追加して、ものすごい量を食べていただいたんですよ」

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安田「庄野崎さんは出るたびに大変な目に遭うんですよ。あるロケ現場では、夜10時までに撮影終了するといって借りていたのに、撮ってるうちに立ち回りの撮影が楽しくて誰も時計を見てなくて...」

沙倉「楽しくなってきてじゃないですよ!前の現場の撮影が押して、立ち回りの開始がすでに8時過ぎていたんですよ。結局、11時近くなって、ロケ先からすごく怒られて...」

安田「それにあの時は池からポンプでくみあげた水を浴びてもらったし...。すごい異臭のする池の水...」

沙倉「庄野崎さん、きれい好きやのに気の毒でした。配信では庄野崎さんの熱演もぜひチェックしていただきたいです」

安田「僕は本気で庄野崎さんに恩返ししたいんですよ。スピンアウトで山形彦九郎の話を撮りたい。また時代劇なのでお金かかるんですけど」

沙倉「映画はとにかくお金がかかります。私は今回、お金の管理もしていたので、ロケ場所代、交通費などなど、日々、湯水のごとくお金が出ていく...と思いながら、仕事をしてました」

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安田「食事とか、移動とか、俳優さんたちにひもじい思いをさせたり、移動で不便をかけたらあかんというのがあったので。ただ、映画を見てくれた方は、優子と沙倉さんが似てると感じると思うんですけど、実は性格的にはそうでもないところが面白い」

沙倉「優子の魅力ってひたむきなところだと思うんです。監督になりたいという夢をもって、大変な撮影所で頑張っている。あきらめないところは似てるかなと思います。その上で、私はポジティブ思考ですね。時間がかかっても、自分にとってベストタイミングでチャンスはくると思ってます」

安田「沙倉さんはメンタル鋼ですよ(笑)」

沙倉「優子役ではメガネをかけるというのも新鮮でした。韓国映画などでは、メガネをかけた女性がメガネをはずして、キラキラとするシーンがありますけど、優子にはなかったですね」

安田「あえて打ち上げのシーンもメガネのままにしました。眼鏡のままで魅力的に見えるからいいんですよ。眼鏡外すのは結局眼鏡女子の否定やし」

沙倉「監督は登場人物すべてにイメージをしっかり持って、ぴったりの人にしか依頼しないという信念がありますよね。それはずっと変わらない」

安田「それが実現できたのは、本当に幸せです。配信では、僕だけでなく、俳優さんたち、スタッフさんたちのこだわりのシーンを何度でも楽しんだくださいね」

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文/ペリー荻野 撮影/中川容邦

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