ランドマン
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2025.01.28
■イントロダクション
ヒットメーカー、テイラー・シェリダンが描く、石油採掘業界をめぐる骨太の社会派ドラマ
俳優、脚本、監督、そしてプロデューサーとしてヒットタイトルを生み出し続けているマルチクリエイター、テイラー・シェリダン。彼の代表作でもあるドラマ「タルサ・キング」、「メイヤー・オブ・キングスタウン」、「イエロー・ストーン」などでも舞台となったアメリカ西部を背景に、石油採掘業界で生きるさまざまな人々の葛藤を描く社会派ドラマ！
■見どころ
石油産業を影で支える"ランドマン"とその家族を軸に社会的・環境的問題を映し出す
一日当たり30億ドルもの純利益を稼ぎ出す石油採掘業界。"ランドマン"は、その巨額の富の源をめぐって発生するさまざまな問題の解決役として、主にアメリカやカナダの石油会社で活躍している人物を指す。本作は、石油の採掘ブームが訪れたテキサス州西部を舞台に、石油採掘に携わる労働者と、大胆な投資で億万長者となった人物たちをそれぞれの側面から追う物語。過酷な労働環境の中で働く、メキシコからの移民を中心とする労働者と、莫大（ばくだい）な富と権力のために利益追求を至上命題とする富裕層。彼らの格差は広がり続け、やがて誰にも止められないほどに事態は悪化していく。そんな中、"ランドマン"として石油業界の問題解決に従事する主人公トミーが、両者の思惑と葛藤に巻き込まれながら奮闘する。
本作のクリエイターは、2016年公開の映画『ボーダーライン』で注目を集め、自身も出演した『最後の追跡』ではアカデミー賞脚本賞にノミネートされたテイラー・シェリダン。骨太なサスペンスドラマの名手として、ハリウッドで大注目の彼は、脚本を手がけるだけでなく、第1話と第2話の監督も務めるなど、マルチクリエイターぶりを余すところなく発揮している。
金をむしり取ろうとする反社会的組織や、気性の荒い現場作業員たちが持ち込むさまざまな問題を解決するため、仕事に全精力を注ぐトミー。別れた妻アンジェラとの間の息子クーパーが同じ石油会社の現場で働く中、彼の元に高校生の娘エインズリーが学生アメリカンフットボール界のスターでもある彼氏を連れてやって来たことから物語は始まる。トミーの仕事と家族の両面から、犯罪組織や移民との対立、採掘による環境問題など、現代アメリカ社会につきまとう悩みを鋭い視点で映し出していく。骨太なストーリーはもちろん、目の肥えた海外ドラマファンをもうならせる美しい映像が魅力的な本作。水に浮かぶ石油をモチーフとした、ドラマチックなオープニング映像にも注目してほしい。
主演のビリー・ボブ・ソーントンをはじめ、ハリウッドスターが共演！
主人公のトミーを演じているのは『アルマゲドン』、『バーバー』や『バッドサンタ』シリーズなどのハリウッド映画や、「弁護士ビリー・マクブライド」といったTVシリーズで主演を務めてきた名優ビリー・ボブ・ソーントン。口が悪く、常にケンカ腰ながら、どんな脅しにも屈しないタフな精神の持ち主でもあるトミーに、気だるげな口調と無精ヒゲといった役作りと自然体の演技で、圧倒的なリアリティーを与えている。本作での好演が高く評価されたソーントンは、第82回ゴールデングローブ賞テレビ部門（ドラマシリーズ）で、見事栄冠に輝いた真田広之と主演男優賞を競った。
トミーの元妻アンジェラ役には、「HEROES」で生活に困窮する多重人格者の主婦と、その双子の姉妹でもある政治アドバイザーという2役を見事に演じきったアリ・ラーター。他の男性と結婚生活を送っているにも関わらず、別れた夫にまで愛情を求める自由奔放な女性を魅力的に演じている。そして、荒々しくも平穏だったトミーの日々に新たな風を吹き込む娘エインズリーには、テイラー・シェリダンがショーランナーを務めた「イエローストーン」のスピンオフ「1923」にも出演しているミシェル・ランドルフを起用。また、『ジョーカー：フォリ・ア・ドゥ』でアーサーを慕う青年リッキーを印象的に演じたジェイコブ・ロフランドが、彼女の兄で大学を中退してまでも父が働く会社の採掘現場で働くことを選んだクーパーを好演している。
また、トミーのボスでエムテックスオイル社の社長役には、「MAD MEN マッドメン」の主人公ドン・ドレイパー役や映画「トップガン マーヴェリック」のシンプソン中将役で知られるジョン・ハムが、その妻キャミーを『The Substance（原題）』で第82回ゴールデングローブ賞映画部門のコメディー／ミュージカル部門主演女優賞に輝いたデミ・ムーアが演じ、作品にさらなる深みを与えている。
■ストーリー
"ランドマン"として生きてきたトミーの人生に岐路が訪れる...
石油採掘に関わるさまざまな問題解決に従事する"ランドマン"として、テキサスにある石油会社エムテックスオイル社で長年働く男性トミー（ビリー・ボブ・ソーントン）。彼は、土地の鉱業権を主張し、会社から金を巻き上げようとするメキシコ系反社会組織に誘拐、脅されるなどのトラブルにもタフに対応。一方、大学を中退した息子のクーパー（ジェイコブ・ロフランド）は、エムテックスオイル社の石油掘削スタッフとして現場デビューを果たしていた。
そんなある日、元妻のアンジェラ（アリ・ラーター）から連絡があり、離れて暮らす娘エインズリー（ミシェル・ランドルフ）が、学校の長期休暇を利用してトミーの家に滞在することになる。空港に娘を迎えに行ったトミーは、そこで娘の彼氏で学生アメリカンフットボール界のスターでもあるダコタを紹介され、必要以上に娘とスキンシップを取る彼にヤキモキする、父親らしい顔をのぞかせる。しかし、「父の家で初めて過ごす夜は、抱きしめて眠るだけにしてほしい」とエインズリーに言われたダコタは気分を害し、黙って姿を消す。その翌朝、採掘現場で爆発事故が発生し、クーパーが巻き込まれてしまう。
文／中村実香
