Wanna Oneパク・ジフンが「弱いヒーロー」から『王と生きる男』で1000万人俳優になるまで

Wanna Oneパク・ジフンが「弱いヒーロー」から『王と生きる男』で1000万人俳優になるまで

2026年、まだ上半期だが、最も株を上げた俳優は間違いなくパク・ジフンだろう。観客動員数1600万人を超える大ヒットとなった映画『王と生きる男』の立役者だ。若くして失脚した王、端宗(タンジョン)を熱演し、国民的俳優の仲間入りを果たしたパク・ジフンだが、その勢いはとどまることを知らない。5月11日(月)からは、最新主演ドラマ「炊事兵、伝説になる」の放送も控えており、今まさにキャリアの絶頂期を迎えている。「弱いヒーロー Class1」(以下、「弱いヒーロー」)を視聴していた人なら、今の彼の八面六臂(ろっぴ)の活躍は、誰もが納得する名演の積み重ねによるものだと確信しているはずだ。

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■「弱いヒーロー Class1」で見せた、静かな怒りと圧倒的なまなざしの力

「弱いヒーロー」でパク・ジフンが演じたのは、主人公の高校生ヨン・シウンだ。勉強以外に関心のない優等生で、一見すると弱そうだが、賢い頭脳を駆使して悪党に立ち向かっていく。ほぼ無表情で口数の少ない特異な主人公だが、そこではパク・ジフンの最大の武器である「目」が光る。今にも泣き出しそうな潤んだ瞳でありながら、不思議なことに何かを強く訴えかける深いまなざしに、観る者は引き込まれてしまう。

不良グループは、そのシウンの眼差しが気に食わない。嫌がらせに動じない、反抗的な目だからだ。不良グループのリーダーは、シウンが最も嫌がるのは試験での失敗だと思い、転校してきたばかりのオ・ボムソク(ホン・ギョン)を利用して試験を妨害する。案の定、我慢を重ねていたシウンは怒りを爆発させる。不良グループに立ち向かう彼だが、まるでゲームのように次から次へと強敵が現れる。

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だが、シウンにも仲間が現れる。シウンに借りを作ってしまったボムソクと、勉強はできないが喧嘩(けんか)はすこぶる強いアン・スホ(チェ・ヒョンウク)だ。ボムソクは実は国会議員の息子だが、いじめが原因で転校してきた過去を持つ。三者三様、ちぐはぐな組み合わせのように見えて、変わり者同士で意気投合する3人。物語は、一匹狼の孤独な闘いから、友情で結ばれた3人の共闘へと変化していく。

ただ、本作は決して爽快なアクションだけで終わる作品ではない。不良グループの背後に広がる闇の世界や、3人が抱えるそれぞれの家庭事情など、現代の若者の苦悩がリアルに描かれる。「平和主義者」だったはずの3人が、どうしようもなく暴力の渦に巻き込まれていく姿は痛ましい。静かに「目」で感情を表現するパク・ジフンの名演が光り、深い余韻を残すドラマとなった。

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■15キロ減量の執念。映画『王と生きる男』で開花した王の風格とギャップの衝撃

一方、2026年の大ヒット作『王と生きる男』は実話が基になっている。パク・ジフンが演じた朝鮮王朝第6代王・端宗は、クーデターによって廃位となり、若くして亡くなった悲劇の王として知られる。映画では端宗が流刑となり、その地で村長(ユ・ヘジン)をはじめとする村人たちとの心温まる交流が描かれた。

パク・ジフンはこの役作りのため、15キロの減量をして撮影に臨んだ。クーデターで側近を失い、悲しみをたたえたうつろな目をして村にやって来た端宗。村人たちがごちそうでもてなそうとしても一口も食べず、日に日に弱っていく。そんなある日、村人たちに襲いかかろうとする虎を端宗が退治する。これが語り草となる名場面だ。弱々しくかわいそうな王にしか見えなかった端宗が、突然カッと目を見開き、太い声で叫ぶ。その迫力に村人も観客も仰天した。優しそうな甘いマスクに油断していると、強力な目力と重厚な声のギャップにどきりとさせられる。

■子役出身から「ウインク王子」、そして名優へ。パク・ジフンが歩んだ唯一無二の軌跡

アイドル出身で俳優として活躍する「演技ドル」は少なくないが、パク・ジフンの場合は実は俳優としてのキャリアが先だ。1999年生まれの彼は2006年に子役デビューし、ドラマや映画、ミュージカル、CMなど幅広く活動してきた。しかし、世間で爆発的な注目を集めたのは、2017年のオーディション番組「PRODUCE101 シーズン2」だった。

このオーディションを通じてWanna Oneのメンバーとしてアイドルデビューを果たすが、番組内で手でカメラのフレームを作る動作とともに「僕の心の中に保存」という愛嬌(あいきょう)たっぷりのフレーズを放ち、たちまち流行語となった。「ウインク王子」とも呼ばれ、子犬のようなかわいらしさで人気を博したが、もはや「アイドル出身」という修飾語は不要となった。

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その勢いのまま、5月11日(月)からは新ドラマ「炊事兵、伝説になる」が放送される。本作でパク・ジフンは、過酷な軍隊生活の中で「炊事兵」として頭角を現していく主人公を演じるという。「弱いヒーロー」での頭脳戦、『王と生きる男』での孤独な王、そして最新作での新たなキャラクター。作品ごとに全く異なる顔を見せるパク・ジフンは、今や韓国映画界・ドラマ界の未来を担う巨大な存在へと進化を遂げた。かつて「心の中に保存」されたかわいらしい少年は、今や韓国映画界の未来を担う巨大な存在へと進化を遂げたのである。

文/成川彩

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