横浜流星、佐野勇斗、白石麻衣らが作り上げた個性あふれるキャラクターがエンタメ性あふれる王道リベンジストーリーで躍動

横浜流星、佐野勇斗、白石麻衣らが作り上げた個性あふれるキャラクターがエンタメ性あふれる王道リベンジストーリーで躍動

映画『嘘喰い』が4月12日(土)にムービープラスで放送される。同作品は、迫稔雄の人気ギャンブル漫画を横浜流星主演で実写化したサスペンスで、"嘘喰い"と呼ばれる天才ギャンブラーが、闇クラブで命懸けのだまし合いゲームに挑む姿を描く。

安土桃山時代から賭け事の立ち合い人を派遣する闇ギャンブル倶楽部"賭郎"。そのトップである「お屋形様」切間創一(櫻井海音)との1対1の勝負に負けた天才ギャンブラーの"嘘喰い"こと班目貘(横浜)は、"賭郎"の会員権をはく奪され地方に逃げていた。だが、新たな会員の佐田国一輝(三浦翔平)が倶楽部を荒らしており、「お屋形様」にギャンブルで勝つ"屋形越え"を目指しているといううわさを聞きつけ、再び姿を現わす。そして、闇金から貘に救われた人生負け組の青年・梶隆臣(佐野勇斗)、闇カジノのオーナーでやくざの組長・鞍馬蘭子(白石麻衣)と協力し、欲望にまみれた超一流のイカサマ師たちとギャンブル対決を繰り広げていく。

王道のリベンジストーリーにさまざまな魅力が詰め込まれたエンタメ作品

この作品の魅力といえば、さまざまな要素が詰め込まれたエンタメ性だろう。個性豊かなキャラクター、ギャンブル勝負のドキドキハラハラ感、対戦相手との心理戦、ピンチからの大逆転劇、人間臭い欲望、貘と隆臣の友情、貘の漢気と目的に真っ直ぐ進む男らしさ、蘭子のほのかな思いなど、多くの要素が多元的に盛り込まれており、見る者の心に必ず"刺さる"ものになっている。つまり、見る者それぞれの楽しみ方ができ、何度見ても新鮮に楽しむことができるのだ。しかも、一度負けた者の再チャレンジやリベンジを描いたストーリーは、「忠臣蔵」や「さるかに合戦」「桃太郎」などに通ずる日本人好みの王道の展開で、嫌いな者はいないはずだ。

漫画のキャラクターを人間として作り上げた役者たちの演技力

そんな魅力あふれる作品を、大いに盛り立てているのが役者陣の熱演だ。現在公開中の映画『劇場版 トリリオンゲーム』のガク役にも通ずる、佐野勇斗が表現する主人公とのバディ感、世間が持つ清楚なイメージをいい意味で裏切る、白石麻衣の姐御肌な演技となかなか思いが遂げられない"残念"感、ギャンブルにおいて圧倒的な強さを誇り不沈艦を想起させるほどの三浦翔平が醸し出す絶対王者のオーラなど、キャラクターの個性を増幅しながら、"血の通った"役作りで人間味のあるキャラクターとして作中を生きている。

中でも、地毛を銀髪にして役に挑んだ横浜の、原作へのリスペクトがあふれる演技は必見。ギャンブラーらしい"無頼"感に加え、天才らしさを表現する勝負に臨む時の眼光の鋭さ、「あんた、うそつきだね」や「あんたのうそを喰ってやるよ」など漫画らしいキャッチーな決めぜりふを人物の発言として説得力を持たせる言い回しなど、役者としての技術力の高さも散見できる高次元の演技を披露している。

多元的な要素からなるエンタメ性と、個性豊かな漫画のキャラクターを人間らしく作り上げる実力派俳優たちの熱演を堪能していただきたい。

文/原田健

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