豊島将之九段&錦鯉が子どもたちの悩みに本音で答える――将棋で学ぶ「緊張」と「ミス」を味方につける方法

豊島将之九段&錦鯉が子どもたちの悩みに本音で答える――将棋で学ぶ「緊張」と「ミス」を味方につける方法

「大事な大会になると緊張してしまう」「ミスをすると焦ってしまう」――。将棋に限らず、誰もが一度は抱える悩みだ。そんな子どもたちのリアルな不安に、プロ棋士・豊島将之九段と漫才コンビ・錦鯉が、自身の経験を交えながら本音で答えた。

6月1日、東京・将棋会館で開催された「J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会」の開催記念イベント。未来の棋士を目指す子どもたちから寄せられた悩みに、勝負の世界を知る豊島九段と、お笑いの第一線で活躍する錦鯉が真剣に向き合った。将棋だけでなく、勉強やスポーツ、日々の挑戦にも通じるアドバイスが次々と飛び出し、会場は笑いと温かな拍手に包まれた。

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15年が育んだ、説得力のある言葉

15回目を迎える「J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会」は、これまで全国大会出場者から数多くのプロ棋士・女流棋士を輩出してきた歴史ある大会だ。今年の開催記念イベントには、豊島将之九段に加え、結成15年目を迎えた漫才コンビ・錦鯉(長谷川雅紀、渡辺隆)が登場。大会15周年と錦鯉の結成15年という"同期"の組み合わせもイベントに彩りを添えた。

「王将」と「歩」の被りもの姿で現れた錦鯉に、会場の子どもたちは大歓声。それぞれの「15年前」を振り返るコーナーでは、第1回大会優勝者で現在はプロ棋士として活躍する獺ヶ口笑保人(おそがぐち・えほと)四段の写真も紹介された。渡辺は当時を「鳴かず飛ばずの時期だった」と振り返り、長谷川も「衣装を買うお金もなく、家にある派手な服を着ていた」と苦笑い。一方の豊島九段も、「タイトル獲得が目標でしたが、時間がかかりました」と若手時代を回顧した。

それぞれ歩んできた道は異なる。しかし、15年という時間の中で努力を積み重ねてきたからこそ、子どもたちへ伝えられる言葉には説得力があった。

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勝負に必要なのは「緊張しないこと」ではない

子どもたちから多く寄せられたのは、「大事な場面になると緊張してしまう」という悩みだった。数々のタイトル戦を経験してきた豊島九段は、緊張を否定しない。

豊島「緊張というものを前向きにとらえています。緊張していることによって、いつも以上の力を発揮できる場合もあります。準備も大切ですね」

緊張をなくそうとするのではなく、自分の力に変えていく。その言葉には、トップ棋士として勝負を重ねてきた実感がにじんでいた。一方、漫才頂上決戦「M-1グランプリ」を2021年に制した錦鯉の渡辺は、「決勝まで進めただけでもすごいこと。『あとは楽しもう』という気持ちで臨んだ」と振り返る。

渡辺「自分で自分を認めてあげることが大切だと思います。緊張は悪いことじゃないですから」

すると長谷川は、「僕は『どうでもいいや』と思うんです。もちろん、いい意味で!」と会場を笑わせた。

長谷川「豊島九段のように前向きに考えたり、僕みたいに開き直ったり、人それぞれ自分なりの対処法を見つけられるといいのかな」

三者三様の答えだったが、共通していたのは「緊張そのものを恐れる必要はない」というメッセージだった。

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ミスは誰にでもある、その後の一手が未来を変える

子どもたちからは、時間がなくなると焦ってミスをしてしまうという悩みも寄せられた。豊島九段は、勝負の世界でもミスは避けられないものだと語る。

豊島「一局の中でもミスはあります。そのミスをどうやってリカバリーするかが大事です。時間がなくなって焦ってしまう場面では、パッとひらめいた直観を信じるのもいいと思います」

重要なのは、ミスをしないことではなく、その後どう立て直すか。プロ棋士ならではの勝負哲学が感じられる回答だった。一方、渡辺は笑いを交えながら「誰でもミスはします」と切り出す。

渡辺「僕らの仕事だと、ミスしたエピソードが後々『おもしろい話』になるので、ミスしたほうがいいと思っています」

長谷川も「われわれの場合、ミスが笑いにつながりますからね」と応じ、失敗を前向きに受け止める姿勢を示した。豊島九段が「リカバリー」を大切にする一方で、錦鯉は「経験に変える」という視点を示した。アプローチは異なっても、失敗を引きずるのではなく、次につなげることが大切だというメッセージは共通していた。

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将棋を楽しむ仲間が、未来を広げていく

豊島九段が最後に子どもたちへ伝えたのは、「仲間」の大切さだった。

豊島「大会を通して、友だちや同世代との交流が増えるといいなと思っています。一緒に将棋を指す仲間を見つけてほしい。大会が終わった後も、将棋を楽しみ続けてください」

また、同世代の棋士と対局すると「楽しさや懐かしさを感じる」と語り、子どもの頃から切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間の存在が今も大きな支えになっていることを明かした。渡辺も「モグライダーやヤーレンズなど、同じ時期にブレークした芸人と一緒だとホッとする」と共感。長谷川は「僕は動物が好き! ゾウとかキリンとか」とマイペースな回答で会場を和ませた。

イベント終盤には、錦鯉の結成15年と大会15周年をモチーフにした将棋ケーキも登場。最後に渡辺は、「今回の大会から未来のプロ棋士・女流棋士が飛び立っていくと思うので、ぜひ『錦鯉のおかげだ』とアピールしてください(笑)」とユーモアたっぷりに締めくくり、長谷川も「自分の力を発揮して、思いっきり戦ってください!」とエールを送った。15年にわたり未来の棋士を送り出してきた「J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会」。今年もまた、子どもたちにとって忘れられない一日となった。

文/editaholic

放送日時:2026年7月16日 19:30~

チャンネル:囲碁・将棋チャンネル

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