カラー×サンライズ 夢が交わる。往年のファンも楽しめるガンダムシリーズ最新作「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」
2025.05.17
1979年に放送されたSFアニメの金字塔である『機動戦士ガンダム』。"ファースト・ガンダム"と呼ばれる同作以降も、「Zガンダム」「Vガンダム」「ガンダムUC」「ガンダムSEED」など、さまざまなシリーズが誕生し、多くのファンを魅了してきた。中でも、現在放送中の最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』は、シリーズ初となる試みによって誕生した作品として大きな話題を呼んでいる。
これまでのシリーズを長年手掛けてきたサンライズと「エヴァンゲリオンシリーズ」などで知られるスタジオカラーが初めてタッグを組むという、日本を代表するアニメーションスタジオのコラボレーションが実現した本作。鶴巻和哉が監督、榎戸洋司がシリーズ構成、山下いくとがメカニカルデザイン、脚本を榎戸洋司と庵野秀明という、日本のアニメ史に大きな足跡を残し続けているクリエイター陣が顔を揃え、モビルスーツと呼ばれる巨大人型ロボットでの非合法な決闘競技《クランバトル》に巻き込まれる女子高生アマテ・ユズリハの運命を描く。
©創通・サンライズ
本作の大きな特徴は、「一年戦争で、ジオンが勝った世界」という『機動戦士ガンダム』で描かれた物語の"もしも"を前提に物語が展開することだ。第1話「赤いガンダム」の冒頭で、ファースト・ガンダムの第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」に登場し、宇宙に散ったジオン軍のシャリア・ブルが中佐として登場。彼とコモリ・ハーコートとの会話から、シャア・アズナブルの現在の階級が大佐であることや、連邦軍のモビルスーツであるはずの"ガンダム"がジオン側にあり、かつシャアの識別カラー・赤に塗られている機体が登場したりといった描写から、シャアが地球連邦軍の《V作戦》の要である最新鋭モビルスーツ《ガンダム》をサイド7で鹵獲(ろかく)したことで、ジオン軍を勝利に導いた後の世界が舞台であることが読み取れる。
このような大胆な「もしも」を前提に描かれるGQuuuuuuXの世界では、モビルスーツを使っての非合法な決闘競技《クランバトル》が、人々の間で行われている。主人公の女子高生アマテはニャアンという少女と知り合ったことを機に、謎の最新鋭モビルスーツ・GQuuuuuuXのパイロットとなり、クランバトルに参加することに。そして、正体不明の赤いガンダムと、そのパイロットの少年シュウジと出会う。
©創通・サンライズ
本作の最大の魅力となるのが、モビルスーツ同士のバトルだ。作中では上下のない宇宙空間という環境でのバトルを、縦横無尽なカメラワークで表現。正面から背後に回り込んだりと、最新3DCGだからこそ可能となったダイナミックな演出に、誰もが心躍るはずだ。
そして第2話で、『機動戦士ガンダム』の第1話前半をなぞりながら、地球連邦軍が開発したガンダムの試作バリエーション機・01ガンダムとのバトルといった新展開が、当時と変わらぬBGMと共に描かれていくのも大きなサプライズだ。シャアの名ゼリフとして名高い「見せてもらおうか 連邦軍のモビルスーツの性能とやらを」が、「では見せてもらおうか。このモビルスーツの性能とやらを。」と形を変えて登場するシーンには、思わずニヤリとしてしまったファンも少なくないだろう。
©創通・サンライズ
戯言シリーズや「刀語」など、小説家・西尾維新作品の挿絵などで知られるイラストレーター・竹が手掛けたキャラクターデザインや、日本のオルタナティヴ・ロックバンドsiraphのメンバーでもある照井順政と蓮尾理之が手掛けたアンビエント・テクノのBGMなど新時代を感じさせる本編と、温故知新的な物語が交錯し、今までにない輝きを放つ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』。事前情報なしでも存分に楽しめるが、J:COM STREAMにて見放題配信中の『機動戦士ガンダム』を視聴すると、よりストーリーの奥深さを感じられるはず。45年以上も多くのファンを夢中にさせつづけるSFアニメシリーズの魅力を、新旧タイトル合わせて是非この機会に再確認してほしい。
文/中村実香