"きゅん"が止まらない!登場人物たちの口から次から次へとあふれ出す名言「アオのハコ」【松井玲奈】
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2025.01.31
冬は人肌恋しくなる季節。心あたたまるアニメはないものか......そう考えたりしませんか? 私は考えました!! そして、そんな私の気持ちにピッタリのアニメが「アオのハコ」。現在「週刊少年ジャンプ」にて絶賛連載中の漫画が原作の本作。中高一貫のスポーツ強豪校である栄明高校の男子バドミントン部に所属する猪股大喜は、朝練の体育館で毎朝一緒になる一学年上の女子バスケットボール部の先輩・鹿野千夏に淡い恋心をいだいています。まず、この設定がいい。朝の澄んだ空気の中でほわほわと浮かぶ恋心。声をかけたくてもかけられない距離感。見ているだけしかできない、そんな瞳の中のマドンナ。たまらない!
今回のポイントはこちら
・めくるめく"きゅん"
・衝撃の展開
・頑張る人ってかっこいい
ポイント1「めくるめく"きゅん"」
この作品、きゅんポイントが多いのなんの。春の寒い空気の中で、体育館が開くのを待っている千夏先輩。彼女が小さくくしゃみをしたので、大喜は大慌てで自分のマフラーを貸します。そして、矢継ぎ早にリュックサックからあったかいお茶やカイロを取り出して、「ありますよ」と声をかけてしまうのです。お近づきになるなら慎重にと考えていたのに、好きな先輩が風邪でも引いたら困るという気持ちを抑えきれず、突っ走ってしまう初々しさにきゅん。
マフラーを渡したはいいものの、今度は大喜がくしゃみをしてしまいます。すると、今度は千夏先輩がふわりとマフラーをかけ直してくれるのです。そして、名前を名乗ってもいないのに「風邪引かないようにね、『いのまたたいきくん』」と笑顔で言って去っていく。大喜が心を撃ち抜かれたのと同じように私も心をずばーんと撃ち抜かれました。
このように胸がきゅんっとなるシーンがいくつも出てくるのですが、そういった場面のキラーワードの瞬間の絵が非常にきれいなのです。まるで恋愛シミュレーションゲームのスチールのような、うっとりしてしまう絵に見ほれ、きゅーーーんっとするばかりでした。
ポイント2「衝撃の展開」
実はこの作品、視聴前は少女漫画原作だと思っていたので、週刊少年ジャンプ原作で男性主人公の恋愛作品は珍しいなあと感じていました。ですが、ジャンプではこれまでに「I"s」や「いちご100%」のような男性主人公の超王道恋愛漫画があったじゃないかと、懐かしい気持ちに浸る私。ちなみに私は、「いちご100%」は西野つかさが好きです。
さて、ここから大喜が高校生活を送りながら、千夏先輩と距離が縮まっていく甘酸っぱい青春恋物語が展開されると思いきや、なんとこの二人
一つ屋根の下で暮らします!
予想外の展開に思わず「ウソでしょ!?」と声が出てしまうほど驚きました。学園恋愛アニメだと思っていたものが、突如として一つ屋根の下系アニメに変わりました。
ポイント3「頑張る人ってかっこいい」
ここまで読んで、ふーん恋愛系作品ならいいかと思ったあなた! 違います! 「アオのハコ」はそれだけじゃないんです。インターハイ出場を目指す千夏先輩に感化され、大喜自身も一年生でインターハイ出場を目指し、バドミントンの練習に励みます。どんなつらい練習にも果敢に取り組み、弱音を吐かない大喜の姿はthe少年漫画の主人公。練習を頑張る大喜に千夏先輩はミサンガを巻き「ほら、おそろい。大切にしちゃダメだよ」と言って去っていくのです。きゅんきゅんきゅんきゅん!! きゅんアラート鳴りまくり。
大人になるともはや懐かしアイテムのミサンガ。それを好きな先輩からおそろいでプレゼントされてしまうなんて、きゅんが鳴りやみません。願掛けをして切れるくらい練習をしようね、という意味は分かりつつも大切にしたい思いもある。ああ、もどかしい!
大会に出場する権利を得るための部内戦。相手は千夏先輩と同じクラスで、なんだか仲が良さそうな針生先輩。先輩に負けそうになったピンチの時、大喜は千夏先輩にもらったこのミサンガを見て気合いを入れ直し、追い上げをかけます。結果は振るわなかったけれど、試合の後、「確かに千夏先輩のおかげでもっとがんばろうって思ったけど、千夏先輩を負けた時の言い訳には絶対にしたくないって思うし、千夏先輩のためだけにバドやってるわけじゃないし、そもそも俺バド好きだし」と言ってのけるのです。彼は恋だけじゃなく、バドミントンにも真摯(しんし)に向き合い、楽しんでいることが分かる、とてもすてきな場面でした。どうしてバドミントが好きなのか千夏先輩に聞かれた時の「好きなんですよね。バドのコートに一人で立って、全責任が自分にのしかかってくる感じ。勝っても負けても俺のおかげで俺のせいですし」と言い切れる強さ、私も見習って行きたいなと思います。
そして、恋愛模様が描かれるのは二人だけではありません。大喜の親友である雛ちゃん。最初は千夏先輩と仲良くなれるようにアシストをしていた彼女ですが、次第に自分の大喜への恋心に気づいてしまうのです。あるー! あるよねー! 友達としての好意だと思っていたものが、恋愛的な好意に変わってしまうことー! なんて膝を打つ私。
新体操の練習をストイックに頑張る雛に「そういう普通の基準の差が、俺より強い人たちとどれくらいあるんだろうって考えると、少し不安になって、それと同時にその中で戦ってる雛は、やっぱりめちゃくちゃかっこいいなって」と、肯定し褒めてあげる大喜の言葉にまたもきゅん。こんなふうに真っすぐ自分を肯定してくれる人に出会ったら、そりゃあ心が揺らいでしまう。だけど、自分が思いを寄せる人には好きな人がいる。しかも、一緒に暮らしていることを知ってしまった時の彼女の心の中を、アニメーションで丁寧に描いている部分も素晴らしかったです。
このように、きゅんと胸動かされる場面が多い作品ですが、何より登場人物たちの口から次から次へと名言があふれ出してくるのです。恋をしている人だから言える気持ち、何かに一生懸命頑張っている人だから言える言葉、自分の人生の中でお守りになるような言葉たちに出会える作品だと思います。
寒い冬を乗り越えるのにぴったりな、部活に打ち込む高校生たちの熱い思いと、誰かを好きになった時の心の機微を丁寧に描いた本作。温かい飲み物と共にクッションを抱えて、「くぅー!」と声に出しながら楽しんでみるのはいかがでしょうか。