ゴスペラーズ・黒沢薫&乃木坂46・中西アルノが豪華ゲストと生バンドで作り上げた大興奮の一夜
音楽・K-POP インタビュー
2025.11.26
ゴスペラーズ・黒沢薫と乃木坂46・中西アルノがMCを務め、ゲストの音楽的ルーツを深掘りするトークをしながら、ゆかりのある曲を生バンドとともにその場でセッションする"ちょっと刺激的"な音楽番組「Spicy Sessions」が、10月24日に神奈川で番組初となるライブイベント「Spicy Sessions -THE LIVE-」を開催した。
同イベントは、番組初回ゲストの平原綾香のほか、スターダスト☆レビュー・根本要、Penthouse・浪岡真太郎、大島真帆、矢野慎太郎、Little Glee Monster・かれん、miyouという4組のゲストとMCの2人が、同番組ならではの"ワクワク"と"ヒリヒリ"が混ざり合った一夜限りのステージを披露した。
このライブの模様は11月29日(土)と12月27日(土)に、2回に分けてTBSチャンネル1にて放送される。
選りすぐりのゲストとMCがあの楽曲をリバイバル・セッション
ライブは、サックス&シンセサイザーの本間将人が加わったスぺシャルな「Spicy Sessionsバンド」によるOVER TUREでスタート。バンドの生音が会場に響き渡ると、満員の客席からは大きな拍手が巻き起こり、来場客たちの期待度の高さを感じさせる。そして、MCの2人が登場し、椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」を歌唱して、これから始まる刺激的なステージの幕開けを彩った。
原曲とはまた違った色を引き出し、1曲目から観客を魅了した2人。黒沢は「本日は番組初のライブとなります!」と会場を盛り上げ、中西は「この番組を作り上げてくださるスタッフさん方やMC、バンドメンバーたちも、みんなの夢でもあったので、今日はより多くの人に『音楽っていいな』と思っていただけるように、いっぱい伝えられたらと思います」と意気込んだ。
さらに、黒沢が「僕はとりあえず『獣ゆく細道』をこの場で歌い切ろうと思っていたので、まずは1曲歌い切れて感無量です」と述懐すると、中西も「アレンジも含めて、私たちらしい『獣ゆく細道』をできたんじゃないかなと思っています」とにっこり。

その後、1組目のゲストとなるPenthouse・浪岡真太郎、大島真帆が登場。番組の第3回のゲストだった2人は、Penthouseの「我愛你(ウォーアイニー)」をパフォーマンスして会場の温度を上昇させた後、リバイバル・セッションとしてMCの2人と共に第3回の放送で披露した楽曲に、アレンジを加えて歌唱。
波岡と黒沢にPenthouseのギター・矢野が加わり、エリック・クラプトンの「Layla」を、大島と中西は中西のコーラスパートを増やしたDREAMS COME TRUEの「やさしいキスをして」を熱唱した。
2組目のゲストは、番組の第7回に登場した根本。根本は「こんばんは~。ほんじ~つ、は~。おまねき、ありがとう~~♪」と持ち前のハイトーンボイスで歌いながらあいさつし、一瞬で観客の心を掌握。さらに、「もう本当に我が家に帰ってきているような気がしますね」としみじみ語ると、黒沢は「そこまでですか?(笑) ありがとうございます」とサービス精神あふれる先輩にしっかりツッコミを入れる。
根本はスターダスト☆レビューの「今夜だけきっと」を披露した後、MCの2人と共に「Bring it On Home to Me」と「ハナミズキ」をリバイバル・セッション。歌唱後、根本は「(セッションというものは)決まっていることをただやるだけじゃなくて、わりと好きなことをやっていいじゃないですか。完成形が見えない分、気が楽というか(笑)。みんなが想像している以上のものを作ろうとしているから、これがライブの醍醐味ですよね」とにやり。

その後、Penthouseの3人が再登場し、黒沢が選んだ小田和正の「ラブストーリーは突然に」を6人でセッション。レギュラー放送同様に、ステージ上で歌割りを決め、少しの練習をして、ほとんどぶっつけ本番で披露。レギュラー回では見られない厚みのあるハーモニーと想像を超えたパフォーマンスに、会場の熱量はMAXに。
ゲスト2組とMCによるスペシャルセッションに会場大興奮
休憩をはさみ、ライブは後半へ。生バンドの本格的なライブは初めてだという中西は「お客さんとバンドメンバーに板挟みになっている感じ。"板挟み"っていうとあれですけど、両方からのエネルギーをもらって、『自分自身ももうちょっとできる』って自信をつけてもらえるような感じがあって特別だなって思います」と感想を。
3組目のゲストは、第11回に出演したLittle Glee Monster・かれん、miyou。2人は、Little Glee Monsterの「Pop Like A Star」で圧巻のパフォーマンスを披露して会場を魅了。ステージの端で見ていた黒沢と中西も、2人の歌唱に心打たれていた。
また、2人が番組出演時を振り返る一幕も。かれんが「グループを飛び出してセッションするっていうのはなかなかない機会なので、ファンの方からもすごく反響をいただきましたし、ゴスペラーズのファンの方、アルノちゃんのファンの方からもたくさんお声をいただいて、すごくうれしかったです」と打ち明け、miyouは「以前一緒に歌わせていただいた時に、冗談で『もう1回やりたい』って言ったんですけど、まさかもう1回歌えるとは...!」とリバイバル・セッションに大興奮。

リバイバル・セッションでは、かれんと中西が三浦大知の「ふれあうだけで ~Always with you~」、miyouと黒沢が「Best Part」を歌った。歌唱後、かれんが「また歌えてすごく楽しかったです」と告白すると、中西は「私も光栄で...。何より、こんな隣で(かれんの歌声を)ワンコーラス丸々聴けるという至福の時間でした」と夢心地に。一方、黒沢は「お互いにロングトーン行っちゃうと戻れないよねぇ」とmiyouと笑い合い、心からセッションを楽しんだ様子だった。

最後のゲストは番組の初回ゲストだった平原綾香。黒沢が「あーや(平原)がこの番組(の色)を作ってくれたと言っても過言ではありませんから」と漏らすと、平原は恐縮しながら「お二人とも大変でしょう。今日ずっと座ってないと思う」とスタートから袖に引っ込むことなく、ほぼ全てに出演している2人を気遣う。
そして、サックスと歌を披露する昨年リリースの「虹の向こうへ」をパフォーマンス。存在感あふれるステージングに、一同は平原の世界観に引き込まれていた。その後、平原と黒沢で「Georgia On My Mind」、3人で玉置浩二の「ロマン」を熱唱。3人の声のマリアージュに、観客も思わず聴き入っていた。
最後は、かれんとmiyouも加わって、中西が選んだ「This Is Me」(映画「グレイテスト・ショーマン」より)を歌うことに。中西のたっての願いで選ばれた楽曲だが、黒沢は「さすがにこれ、セッションでやるにはハードルが高過ぎなので、今回に関して事前に歌割りもしました。それから、みんなで練習もしてここに来ています」とぶっちゃけて会場を沸かせた。
中西が先導して歌割りを確認しながら、コーラスの細かい部分を決めていき、いざ本番。5人によるすばらしいハーモニーに、観客は大きな拍手で感動を表した。
終演後、鳴り止まない拍手に応えてMCとバンドメンバーが再登場。黒沢による紹介でバンドメンバー5人がソロプレイを披露し、客席を温め直すと、ラストは番組の最新回でセッションした「APT.」を。記念すべき番組初イベントを、会場全体での大きな盛り上がりで締めくくった。

来年開催&オリジナル楽曲誕生の可能性も「締めの曲が必要」
ライブ後、MCの2人と平原が囲み取材に登場。
黒沢は「ライブと収録の中間のようなかたちだったので、最初はお客さんも含めて『どういうふうに盛り上がるか』みたいなところでちょっと戸惑いがあったと思うんですけど、最後はすごい一体感で、みんなでドカンと盛り上がれたので、良いライブになったかなと思います。われわれがMCを務めていますけど、本当にゲストの皆さんが毎回すばらしいセッションをしてくれて、いいパフォーマンスをしてくれるので、今日は改めて『ゲストの皆さんやバンドのみんなのグルーヴに助けられて、この番組は20回続けられたんだな。今日のライブができたんだな』と噛み締めながら、感謝しながらパフォーマンスしておりました」と振り返った。
また、中西は「普段と違う規模感でもありましたし、『やっぱり見てくださる皆さんのパワーって計り知れないな』と思いました。セッションもありましたし、『This Is Me』はセッションとはちょっと違うかたちかもしれないのですが、その場で構築していくものがあったりして、"このメンバーだけの音楽"が出来上がる瞬間はこの番組の唯一無二のもので、それをいつもよりたくさんの方に生で届けられたというのは特別だったなと、今噛み締めています」とにっこり。
一方、平原は「ぜひ来年も!(笑) ちょっと涼しくなって、秋は『音楽っていいな』って特に感じると思うんですよね。まさに『Spicy Sessions』にぴったりの開催時期だったなと思ったりして」と明かし、「私は初回に出演させていただいて、番組初めてのライブにも呼んでいただいて、次は『Spicy Sessions -THE ALBUM-』じゃない?(笑) 『Spicy Sessions』という曲を黒沢さんが作って、アルノちゃんが歌詞を書いて」といたずらっぽく笑うと、黒沢は「そうだよね。そうなるよね。俺も『締めの曲が必要だな』って、今日思った」とまんざらでもない反応を見せた。
そんな中、中西の成長について聞かれた黒沢は「今日の感じを見るともう"成長"とかそういう話ではないんですよね。初回から考えると、『そこまでできるようになるか!』と。意味が分からないくらいです(笑)。僕が(MCの相方として)声をかけた時は、『すごく歌に対して情熱があるし、歌も上手だし、おそらく伸びるだろう』とは感じていましたが、声の感じとかアプローチの仕方から『おそらくハーモニーできるだろう』という"可能性を感じる"というくらいだったんです。でも今は、普通に『こうやって』って話している時の(理解する)スピード感が、あーやと変わらないので。こちらとしては(MCを受けてくれて)ありがとうございますという感じです。1回、2回でグッと集中して、学んだことを吸収して、ちゃんと自分のものにして次に出してくる、というのをずっと繰り返してくれているので、感謝しているし、こちらも『もっと頑張らないといかんな』と刺激になります」と回答。
中西は黒沢の言葉に恐縮しながら、「この番組では毎回、まだまだ遠い黒沢さんの背中を追いかけることの幸せを味わわせていただいています。また、来てくださったゲストの皆さんのことが大好きになって、皆さんのライブ映像やアルバムなどを聴いて、摂取するものがたくさん増えて、それによって学ぶこともすごく増えたなと思います。そんな中で、『この2年で臆せず飛び込めるようになったな』と思いますね。最初の頃は、フェイク一つ、ハモリ一ついくのも怖くて、恐る恐るいっていたところが、今ではこの番組で培ったものが自信になって飛び込める勇気みたいなものがもらえたなって思っていますし、グループ活動でも『この番組での経験が活きているな』と感じることが多々あります」と述懐した。
そんな中、「最近、刺激を受けたことは?」という質問が寄せられると、黒沢は「この前、米米CLUBのイベントにゴスペラーズがシークレットゲストとして出たんですけど、石井竜也(カールスモーキー石井)さんに刺激を受けました。大胆不敵というか、毒もたくさん言うのに、最後の最後にファン思いのすごく良い言葉を残して去っていくんですよ。最終的にすごくカッコよく主人公になって、みんなのハートを持っていく...。すごく刺激的で衝撃的で、『最後はカッコつけないといけないんだな』と学びました」と告白。
中西は「今まで歌のある音楽を聴くことが多かったのですが、インストバンドにめちゃめちゃハマりまして!この番組をやってから、楽器一つ一つの音が粒立って聴こえるようになっていて、インストバンドが自分の中で響くようになって。中でも、toeというバンドに刺激を受けていて、衝撃的な出会いだったなと思います」と語った。
平原は「私は万博です。パソナのパビリオンのテーマソングを歌わせていただいたのですが、そこで見たiPS心臓には『これで助かる命が増える』と思ってとても刺激を受けて、忘れられない万博になりました」とコメント。
そして、11月と12月に視聴する視聴者に向けて、黒沢が「今までは『セッションして、初めて歌ってこんな感じでできた。ここまでできた』という喜びがあったと思うのですが、(リバイバル・セッションにより)セッションした曲が育っていって、『こんなに変わるんだ』というところも見てほしいですね。セッションの荒削りなところも魅力だったりするけど、ちゃんと構築したものの良さみたいなところと両方楽しめると思うので、ぜひそういったところにも注目していただければ。そしてもちろん、中西アルノさんの成長ぶりも見届けていただければと思います!」とアピールした。
文/原田健














