INFINITEがレジェンドたるゆえんを証明...「限定版」な日本公演に約1万人が熱狂【INFINITE特集・前編】
音楽・K-POP TV初
2025.03.13
今年デビュー15周年を迎える、K-POP第2世代を代表するボーイズグループINFINITE。彼らが2月16日に神奈川・ぴあアリーナMMで開催した「INFINITE 2024 - 2025 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」が、3月30日(日)にWOWOWプラスにて全曲ノーカットで独占放送される。
INFINITEは、2010年6月にアルバム『First Invasion』で韓国デビューし、翌年の2011年9月に「Be Mine」で初の音楽番組1位を獲得した。SM Entertainment、YG Entertainment、JYP Entertainmentの三大事務所隆盛の中、中小事務所のWoollim Entertainmentの新人グループが1位になったことは「中小企業の奇跡」と言われたが、INFINITEは高い音楽性とシンクロ率99.9%とも言われた"カル群舞"、さらにはバラエティ番組で見せる庶民的なキャラクターを武器に、ファンダムを拡大していった。
「Be Mine」でのブレイク真っ最中という絶妙なタイミング、2011年11月に"サソリダンス"で知られる「BTD」で日本デビューを果たすと、少女時代、KARAから始まった日本のK-POPブームに乗り絶大な人気を獲得し、アリーナツアー常連に。K-POP人気の世界的な高まりを受け、欧米を含む大規模なワールドツアー『2013 INFINITE 1ST WORLD TOUR [ONE GREAT STEP]』を敢行するほどの人気を得たが、三大事務所以外のK-POPアーティストが大規模なワールドツアーを行うのは、エポックな出来事だった。
2017年に事務所との契約満了に伴いメンバーのホヤが脱退し、ソンギュ、ドンウ、ウヒョン、ソンヨル、エル、ソンジョンの6人組となり、2018年からメンバーの入隊が続き軍白期に突入。除隊後に全員がWoollim Entertainmentを離れ、マネージメントは別々になったが、2023年にリーダーのソンギュがINFINITEでの活動のための会社「INFINITE Company」を設立。完全体での復活を果たし、日本でも単独コンサートとしては約8年ぶりに一夜限りの公演『2023 INFINITE CONCERT <COMEBACK AGAIN> IN YOKOHAMA』を開催した。
今回放送される「2024 - 2025 INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION'」は、INFINITEのデビュー15周年を記念したワールドツアーで、除隊後の「COMEBACK AGAIN」よりも大規模になっている。日本でもぴあアリーナMMで2日間開催されたが、1万人規模の会場が4階席まで埋まった光景は、圧巻だった。INFINITEが現在進行形のアーティストであることを、ファンが証明してくれた。
ライブは、音楽性にこだわるINFINITEらしく、生バンドを従えた構成。オープニングから「Last Romeo」、「Paradise」、「Back」と大ヒット曲を続けたが、それらが日本語バージョンだったのには驚かされた。その喜びで、会場はイッキに彼らが日本活動を活発に行っていた10年前にタイムスリップしたかのような大きなファンコールと熱気に包まれた。
中盤の見どころとなったのが、ソロステージだ。ソンジョンはCD化されていないレアな韓国のTVアニメ「Telemonster」の主題歌「Monster Time」の激しいステージでフェミニンなイメージを覆すと、ソンヨルはドンウのソロ曲「TGIF」で鍛え上げた上半身を披露してファンを沸かせた。エルは懐かしの「Shot」をバンドを活かしたロックアレンジで熱唱。ソンギュとウヒョンのメインボーカル組は、お互いのソロ曲を交換。そしてラッパーのドンウは、ピアノの弾き語りで「True Love」を披露した。
後半の冒頭を「AIR」、「Be Mine」と再び日本語バージョンの楽曲が彩ったが、彼らの代表曲「Be Mine」では、ウヒョンがジャケットをはだけると各人が自分のパートでマネをしだすというINFINITEらしいおふざけもあった。今回の公演では5曲を日本語バージョンでパフォーマンスし、MCもほぼ日本語で行った。日本での2公演のためだけに、時間をかけて準備してきてくれたのがうれしい。後半パートでは、ライブテッパン曲のポップチューンでメンバーたちがステージを降りて、アリーナ席を練り歩きながらファンとセルカを撮るという、韓国公演そのままの演出も見られた。
「TO-RA-WA」コールで始まるアンコールも懐かしい。なんと、放送される16日の公演ではダブルアンコールに応えると、ウヒョンが「何が聞きたい?」と客席に問いかけ、「24時間」や「Dilemma」などセットリストに入っていない日本オリジナル曲をアカペラで歌ってくれるという予想外のリクエスト大会もあった。ダブルアンコールの後半は各人がソロ曲を歌いまくり、INFINITEの曲以外も楽しむ趣向となった。
ライブを見て改めて実感したのは、INFINITEのヒット曲の多さだ。名曲揃いのヒット曲は、今聞いても古さを感じない。何よりも、ステージの上でわちゃわちゃしている彼らは、10年前と何も変わっていない。当時を知っている人は、見ると10年前の青春時代に引き戻され、当時を知らない人は、K-POPの生きるレジェンドのライブを堪能できるはずだ。
取材・文/坂本ゆかり