JO1が「TOP」を目指しJAMとともに歩んだ軌跡...「JO1 THE MOVIE 『未完成』-Go to the TOP-」

JO1が「TOP」を目指しJAMとともに歩んだ軌跡...「JO1 THE MOVIE 『未完成』-Go to the TOP-」

デビューから5年を迎え、ドーム公演やワールドツアーを成功させるなど大きな成長を遂げた11人組ボーイズグループ・JO1。しかし、その道のりは決して平坦なものではなかった。ここではJO1のデビューから2年間の軌跡を収めたドキュメンタリー映画「JO1 THE MOVIE 『未完成』-Go to the TOP-」から、彼らの歩みを振り返ってみたい。

JO1はオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」を勝ち抜いた11人のメンバーで結成されたグループだ。2019年12月に放送された最終回でデビューメンバーが決定し、グループ名を「JO1」と命名されたメンバーたちは2020年1月~2月に初のファンミーティングを開催。デビューに向けて着々と準備を進めていた矢先、新型コロナウイルスの流行により世界が一変してしまう。

2020年3月4日にデビューシングル「PROTOSTAR」をリリースしてデビューするものの、予定していたイベントなどはすべてがキャンセルに。しかしファンと会えない中でも、JO1は精力的にシングルやアルバムをリリースし、配信の形でライブを行うなど着実に活動を重ねてきた。その過程を収めながらデビュー後初の有観客ライブを実現するまでの軌跡を追ったドキュメンタリー映画には、ままならない状況に対するメンバーたちの率直な思いが収められている。

まず印象に残るのは、デビューに対する不安な気持ちを素直に吐露するメンバーたちの姿だ。オーディション番組ではあまり関わりのなかったメンバーとの関係性や各人のスキルの差など、「正直、やっていけるのか」という彼らの思いが率直に語られる。

そしてメンバーたちは、世界中を混乱に陥れたコロナ禍へのやるせない思いも正直に打ち明ける。オーディションでの激しい戦いを勝ち抜いてようやくデビューをつかみ取ったのに、目の前に立ちはだかったのは思うようにステージに立てず、ファンの顔を見ることもできないという現実。その行き場のない思いには、誰もが胸を痛めるに違いない。

映画の後半では、2021年にようやく開催することになった初の有観客ライブの裏側にスポットを当てる。最大の見どころは、メンバー間のチームワークが増して一つになっていくさまが肌で感じられることだろう。映画の序盤ではまだ互いにどこかぎこちなく、グループとしてやっていくことへの不安を漏らしていたメンバーたちが、「JO1」として一つのライブを作り上げていく――彼らのデビュー当時からの歩みを丹念に追ったこの映画でこそ、グループとしての成長を如実に感じられるはずだ。

そして迎えた念願のライブでは、アイドルとして立派に成長を遂げたJO1がパワフルなステージを披露し、ようやく彼らを生で見ることのできるJAM(JO1の公式ファンネーム)たちが目に涙を浮かべながら熱い声援を送る。会えなかった2年という歳月を乗り越えてついに同じ空間を共にするJO1とJAMの姿、そしてMCで赤裸々な思いを語るメンバーたちの言葉の一つひとつに、ライブを愛する者ならばきっと心を動かされるだろう。

生涯忘れられない記憶として残った幕張メッセでのライブの翌年である2022年末、JO1は紅白歌合戦に初出場。そして2023年には初のアジアツアーとドーム公演を成功させ、今や世界で活躍するグループに成長した。常にトップを目指す彼らが次はどんな景色を見せてくれるのか、これからも目が離せない。

文/元永真

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