アイナ・ジ・エンド待望の3rdアルバムに込めた"感謝"を語る「"周りの人"とか"あなた"って言っているのは、(応援してくれている)あなたのこと」
音楽・K-POP インタビュー
2024.11.28
アイナ・ジ・エンドが11月27日(水)にソロとして3年ぶりとなるニューアルバム「RUBY POP」をリリース。
同作品は、天性のハスキーボイス、エモーショナルな表現力、多くのメディアやファッション誌の表紙を飾るなど、今最も注目を浴びているアイナの3枚目となるアルバムで、一つ一つの楽曲がそれぞれの輝きを放ち、それぞれが違う表情をした音楽が詰まっている。
今回、アイナ・ジ・エンドにインタビューを行い、ニューアルバムの内容やタイトルに込めた思い、制作秘話、BiSH解散後から過ごした1年などについて語ってもらった。
――今回はどのようなアルバムになっていますか?
「ファーストアルバムは私小説みたいな初期衝動が封じ込められたアルバムで、セカンドアルバムは音楽に目覚めてバラエティーに富んだアルバムになっていて、今回のサードアルバムは『周りの人のおかげで、ちゃんと自分のパフォーマンスができているんだ』っていう感謝と、『全部こぼさないように守り抜いていこう』っていう、前作よりはちょっと強くなったメンタルが閉じ込められているアルバムになりました」
――テーマやコンセプト、タイトルに込めた思いは?
「振り返ると『Jewelry Kiss』『宝石の日々』『宝者』と、"宝"という言葉が入っている曲が3曲もあって、無意識のうちに自分が曲のことを宝石みたいに扱っていたことに気付きまして、それで今の私の宝石たちを1枚のアルバムにまとめて、『これが今の私の宝石箱です。これをあなたに伝えたいです』という思いで制作しました。赤が自分のカラーなので、赤い宝石の"RUBY"と、『宝石箱があなたの元で弾けますよ』ということで"POP"から、タイトルを『RUBY POP』にしました」
――気に入っている曲や思い入れの強い曲は?
「全部気に入っているのですが、2曲目に収録されている『Poppin' Run』という曲は、フォルクスワーゲンさんの『T-Cross』とコラボして作った曲で、アイナ・ジ・エンドにはドライブに似合う曲があまりなかったんですけど、今回ドライブにぴったりな曲ができたなと思うので、よかったら車に乗りながら聴いていただけたら、爽快なドライブができるかなと思います」
――今作では主題歌やタイアップの曲も多いと思いますが、タイアップでの曲作りで心がけていることは?
「まず先方からいただいた台本とか、映像を何度も読んだり見たりして自分の中に入れて、それを咀嚼する作業から始めて、"自分の中にある感性とどこが共鳴するか"という接点を探す作業が必ず必要です。軽く入れて曲を作るというのがあまりできないので、しっかり読み込むというのを大事にしています。ゼロから作る時とは全く違っていて、いい意味で縛りがあって、『こういう曲が欲しいんです』っていうヒントをたくさんもらえるので、タイアップで曲を書くことはものすごく楽しいです」
――本作の聴きどころは?
「BiSHをやっている時に『アイコトバ』とか『Red:birthmark』という曲を出したりしていたんですけど、BiSHを解散してから出した曲は『Love Sick』以外は自作の曲なので、言葉遣いの変化だったり、メロディーラインの増幅だったりを、"成長"みたいな感じで感じ取っていただけると、また違った聴き方ができて楽しんでいただけるかなと。
――制作秘話を教えてください
「スタジオのこもり方も、バンドメンバーで合宿をしたりとか、ミックスを8時間したのに、もう1回8時間やり直したりとか、かなりこだわりを持って制作させていただきました」
――一番苦労したところは?
「最後に『はじめての友達』という曲が収録されているのですが、トータルで見て『こういう柔らかい曲を最後に持ってこないとアルバムが締まらないな』と思って、急きょ入れていただけるようにお願いしたんです。だから、スケジュールもギリギリで...(笑)。こだわりを持ってギリギリまで味付けしていく作業っていうのは、楽しくもあり大変でもありますね」
――楽曲を制作する時のこだわりは?
「1人じゃ何もできないので、基本的にバンドメンバーのなかむらしょーこちゃんと2人で、家を真っ暗にして(家庭用の)プラネタリウムを天井に照らして、『こういう曲、作ろう』ってなったり、友達とお寿司を食べていて『マグロが口の中で溶けていく。こういう曲、作ろう!』みたいな、そういう言葉にできないことを音楽にするのが本当に楽しくて!だから、曲やダンスなどパフォーマンスの全てにおいて、『言葉にできないことを表現する』っていうことを、今までもこれからも大事にしたいなと思っています」
――BiSH解散から1年強。どんな1年強でしたか?
「解散した次の日から『ap bank fes '23』のリハーサルがあったり、すぐに映画『キリエのうた』(2023年)が公開されたり、宣伝で慣れないバラエティーに出たりと、本当に怒涛の日々で、最近やっと映画館に行けたりと趣味に費やす時間が持てるようになったという感じです。"360°仕事"って感じで、プライベートで会う友達も仕事に引き連れて来ちゃったり...(笑)」
――そういう状況は疲れたりしないのですか? 楽しいが勝っているのでしょうか?
「楽しいですね、今はまだ。でも、この先もしかしたら『私のプライベートには一切触れないで!』ってなるかもしれないし(笑)、どうなるか分からないんですけど、今は割とプライベートも仕事も一緒くたで幸せですね」
――年末には30歳の誕生日を迎えられますが、どんな30代を過ごしたいですか?
「もうちょっと丁寧に生きたいですね。友達に花を買ってあげてみたり、親孝行したりとか。そういうのが全部表現につながると思うんですけど、まずは丁寧に生きてみたいですね」
――最後のファンの方々にメッセージをお願いします。
「今回のアルバムは私の宝石箱で、本当に周りの人に助けてもらってやっとできたアルバムですし、いろんな思い出があります。その"周りの人"とか"あなた"って言っているのは、(応援してくれている)あなたのことなので、『自分に向けて歌われているんだ』と思いながら聴いてほしいなと思います。その方が曲も輝きが増すので、私もうれしいです」
文/原田健 撮影/中川容邦