WEST.が新たなコンセプトのオリジナルライブに挑む「WOWOW presents WEST. 10th Anniversary Live "W"」

WEST.が新たなコンセプトのオリジナルライブに挑む「WOWOW presents WEST. 10th Anniversary Live "W"」

2024年にデビュー10周年を迎えた「WEST.」。2014年4月にシングル「ええじゃないか」でCDデビュー。メンバー全員が揃ってたどり着いた10周年イヤーは、アリーナツアーに音楽フェスへの出演、そして8月には「WEST. DOME TOUR AWARD ~10th Anniversary~」と題して、大阪公演を皮切りに、福岡、東京の3大ドームツアーを完走した。WEST.の熱唱、そして大勢のファンの歌声に包まれながら盛大に10周年を祝った。

そんなWEST.がWOWOWとタッグを組み、また一つ新たな挑戦をする。今までにないコンセプトで挑んだオリジナルライブが10月26日からWOWOWで独占放送・配信される。10年間の代表曲に加え、ライブとして初披露する楽曲、フルサイズでのパフォーマンス楽曲など、全19曲を披露。本稿では放送・配信に先駆けて4曲をピックアップしながら彼らの魅力に迫ってみたい。

■リスナーの心にダイレクトにメッセージを届ける「証拠」

バンドを背に、重岡大毅、桐山照史、中間淳太、神山智洋、藤井流星、濵田崇裕、小瀧望の7人が大きな丸を作るようにして集まる。スッと息を吸うのを合図にして、7人のユニゾンから始まる「証拠」。9月21・22日に開催された「KAMIGATA BOYZ DREAM IsLAND 2024 〜やっぱこの街好っきゃねん〜」でも披露したばかりで、近年のWEST.を象徴する名刺代わりのような楽曲だ。

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ライブ会場では聴き逃してしまいがちな、彼らの呼吸がはっきり聞こえるのも本ライブの醍醐味。サビの一節から始まる楽曲は、のっけから彼らの熱さに胸を打たれる。神山の柔らかく伸びやかなロングトーンの余韻を残しながらAメロへ。ここからはメンバーがバトンを渡すようにソロやハモリで歌い繋いでいく。1番の歌い出しを藤井、2番を桐山が担当しているが、それぞれが歌詞にあわせて表情と声色を細かく変えているのも特徴的。また、重岡が濵田と肩を組んだり、「らしくいこうぜ」をラフに歌ったり。まるでリスナーの隣に座って語り掛けるかのような歌唱もWEST.のスタイル。1サビを歌い終えたところ重岡がシャツを脱ぎ、全身を使って熱唱するなど、メンバー全員が渾身のパフォーマンスを披露する。

肩の力を抜いて、ありのままを肯定してくれる。本ライブでは、そんな熱くて優しい楽曲に、この瞬間の彼らの想いを歌声に乗せて、直球ストレートを投げ込むようにしてリスナーの心に届けてくれる。

■艶のあるダンスで魅了「King of Chance」

「King of Chance」は、2016年4月リリースのシングル「逆転Winner」通常盤に収録のカップリング曲として発表された。音源での聴きごたえもさることながら、ライブ映えする楽曲の一つだ。大きなシャンデリアに革張りのソファー、床にはレッドカーペット。ストリングスなどの厚みのある音が包むラグジュアリーな雰囲気の中、スーツ姿にドレスアップした7人が登場する。

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中間が立ち上がりレッドカーペットへと進む。そこへ重岡、小瀧と続くのだが、小瀧はシルエットを活かしながら少しミステリアスな雰囲気で物語が進む。

サビ前の濵田が、伸びやかな歌声と表情で惹きつけサビへと繋げ、滑らかにフォーメーションを変えながら歌い、踊る7人。大人の魅力に溢れるダンスミュージカルのようなステージだ。緩急あるダンスにも関わらずブレることのない歌唱。そして7人が横一列に並ぶと圧巻のオーラを放つ。左端に立つ神山がキレのあるダンスを披露、細かな表情や動きを見て、聴いて、酔いしれて......と何度も見たくなるほど一人ひとりの魅力が散りばめられている。

■これも真骨頂!「コンビニいくけどなんかいる?」

「コンビニいくけどなんかいる?」は、今年4月にリリースしたシングル「ハート / FATE」初回限定盤Aの収録曲で、作詞をゆっきゅん、作曲を岩崎貴文が手がけた。"最幸アゲアゲナンバー"と紹介されたように"WEST."らしいアッパーソングだ。

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前述したシアターの雰囲気から一変。スポーティーな衣装に身を包んだ7人が、ハイテンションでコミカルな世界へと誘う。キャップを反対にかぶった桐山に、さっきまで色気をまとっていた藤井が愛らしく映るなど、「これぞアイドル!」と言わんばかりのキラキラとしたWEST.が楽しませてくれる。

一見、ユニークな楽曲に聞こえるが、それだけでは終わらないのがWEST.のすごいところ。1サビで神山が歌うパートに「君が笑顔になる瞬間 なんで泣けてくるんだろう」という一節があるが、リスナーとしても彼らの底抜けに明るい笑顔、楽しそうに歌唱する姿に胸が熱くなる。そんな風に心が満たされるにつれて、なんだかほろりと泣けてくるのだ。


■コンテンポラリーダンスとのコラボで魅せる「ハート」

10th Anniversary Singleとしてリリースされた「ハート / FATE」。本楽曲はSUPER BEAVERの柳沢亮太が手がけた。公式チャンネルでもMVが公開されているほか、TVアニメ「キャプテン翼シーズン2 ジュニアユース編」のオープニングテーマに起用、さらには今年4月にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でも一発撮りのパフォーマンスを披露して話題を集めた。

今回のライブでは、関西ジュニアの伯井太陽を迎えてコラボレーション。伯井はバックダンサーではなく、コンテンポラリーダンサーとしてWEST.とステージを創り上げた。伯井が白い衣装をなびかせながら、柔らかい体を自由に操りWEST.の音楽の世界へと溶け込む。前述したように既に発表した世界観がありつつも、コンテンポラリーダンスを取り入れて、また違った角度から楽曲を解釈するという音楽の楽しみを与えてくれる。


全19曲に及ぶライブの一部をかいつまんで紹介したが、ここまでのラインアップからもわかるように、リスナーのさまざまな感情を刺激する彼らの表現の幅は海のように深くて広い。エネルギッシュでありながらも、繊細さと妖艶さを持ち合わせ、たくさんの笑いを振りまきながら、さらなる高みを目指す野心も忘れちゃいない――。そんなWEST.のパワーと魅力、そして挑戦が詰まったライブがここにある。

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10年という長いようであっという間の時間の中で、WEST.のパフォーマンスは随分と深みと厚みを増した。音楽作品のリリースに単独コンサートを重ね、さらにはさまざまな音楽フェスへの出演が実現。冠バラエティ番組を複数抱えるほか、ソロでもドラマに舞台、映画と、俳優としての活躍も目覚ましい。グループとしては10周年だが、彼らは10代の頃から関西ジュニアとして活動を重ねてきた強固な地盤があり、そんな7人の奮闘に呼応するように、たくさんの声を返してくれるファンがいる。

熱い歌唱を武器に、誰一人欠けることなくメンバー全員が揃って迎えた10周年。昨年の改名では「.」に込めた思いを語ったが、ちょっとやそっとでは揺るがない強さは、彼らの歌唱パフォーマンスにも宿っている。一つの節目を迎え、メンバーやファンとの絆を確かめ、"でっかい愛"を抱えて"進むしかねぇ"と言わんばかりに新たな高みを目指して歩き出す。7人が魅せて聴かせる色鮮やかなWEST.の音楽。WOWOWとWEST.だから実現した、"W"のエンターテインメントをとくとご覧あれ。

文/柚月裕実

放送日時:2024年11月30日 19:00~

チャンネル:WOWOW ライブ

※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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