ナイツ・塙宣之のさまざまな愛が込められたドキュメンタリー映画

ナイツ・塙宣之のさまざまな愛が込められたドキュメンタリー映画

ナイツ・塙宣之が監督を務めた映画『漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜』(2024年)が4月5日(土)に映画・チャンネルNECOで放送される。

同作品は、漫才協会の会長を務めている塙が初監督作品として手掛けた、漫才協会に所属する芸人たちの魅力、悲喜こもごもを追ったヒューマンドキュメンタリー。事故で右腕を轢断(れきだん)し、舞台復帰に向けてリハビリに励んだ大空遊平や、39年間コンビとして活躍し、相方を亡くしてもなおピン芸人として舞台に立ち続けるホームランたにし、離婚後も同居を継続し、コンビで舞台に立ち続けるはまこ・テラこ、結成3年の若手コンビ、ドルフィンソングなど、幅広い世代の芸人たちの素顔をカメラが追う。

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漫才で培われたスキルが活(い)きる"お笑い好き"ではない人もすんなり入っていける導入

この作品は、東京・浅草フランス座演芸場東洋館(通称:東洋館)を活動拠点に、連日舞台に立ち続けている一般社団法人・漫才協会の芸人たちを追ったドキュメンタリーなのだが、まずはその前段として「漫才協会とは?」「漫才とは?」「浅草東洋館 紹介」と、関東のお笑い界の歴史をひも解くところから始まるため、"お笑い好き"ではない人でもすんなり入っていけるところがポイント。さらに、所属芸人たちが漫才協会に入った経緯を語っていくシーンなども盛り込み、歴史的な見地と共に、所属芸人たちによる内側の見地も紹介することで、漫才協会が有する和やかな雰囲気や現状をさらりと紹介している。

日本文化の歴史をダイジェストで振り返った上で、社会見学しているような"学び"の感覚が心地よいのに加え、ナレーションを務める小泉今日子とナイツ・土屋伸之の軽妙な語り口が、楽しい気持ちを増幅させつつ見る者をアテンドしてくれる。こういった、自分のファンではない客たちを、自分の笑いの世界に誘い込むことに長(た)けている舞台芸人らしい展開はさすがだ。

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思わず東洋館に出かけたくなる塙宣之監督の"愛情"

ベテランから若手まで、個性豊かなさまざまな芸人たちを、インタビューや密着映像で紹介していくのだが、映像の端々に"芸人への愛"や"芸へのリスペクト"が散りばめられているところが塙監督ならでは。漫才協会の会長として「協会を盛り上げるため」という大義の中にも、先輩への尊敬、後輩への慈愛、"人を笑わせる"という魅力にとらわれた者たちへの共感と応援があふれている。

ネタの切り抜き映像を差し込み、一目でどのようなコンビかを見せた上でインタビューに移行する構成や、出番前や舞台袖の様子、アルバイト先や決して広くない自宅の映像、夢に懸けて日々努力している姿、笑いに対する熱い思いも映し出し、芸人たちのコアな部分までも照らしている。この、塙監督の「芸人」「東洋館」「芸」「笑い」「舞台」「関東お笑い界」などへの底知れない愛情こそが、見る者の胸を熱くする。

関東のお笑いの歴史を学びつつ、さまざまな芸人たちの悲喜こもごもに触れ、それらを愛して止まない塙監督の深い"愛情"を感じながら見ると、より気持ちが入り、見終わった後には東洋館に出かけてみたくなるはずだ。

文/原田健

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