「NCIS」スピンオフドラマ3選!「オリジンズ」「シドニー」「トニー&ジヴァ」で広がる世界
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2025.11.30
2003年の放送開始以来、世界中で愛されてきた大ヒット・クライムサスペンス「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」。ワシントンD.C.を拠点に、アメリカ海軍に関連する難事件に挑む個性豊かな捜査チームの活躍を描き、科学捜査を駆使した緻密な捜査描写、複雑な過去を抱えたキャラクター、そして仲間との強い絆が織りなすドラマ性で高い評価を獲得してきた。2025年10月には待望のシーズン23がスタートし、20年以上続く名作ながら、その人気は今なお衰える気配がない。
「NCIS」自体が、2003年に放送されていた「犯罪捜査官ネイビーファイル」のスピンオフとして誕生した経緯もあり、これまで数多くの派生シリーズを生み出してきた。「NCIS:LA ~極秘潜入捜査班」を皮切りに、「NCIS:ニューオーリンズ」「NCIS:ハワイ」など、アメリカ各地のエージェントたちに焦点を当てた人気シリーズが次々と登場。今回は、その中でも特にフレッシュでオススメの3作品を紹介する。
ギブスの若き日々を描く「NCIS:オリジンズ」

(C)2024 Paramount Global
加入と卒業を繰り返す特別捜査官チームの顔ぶれの変化は「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」の大きな魅力だが、その人気を不動のものにした最大の功労者が、パイロット版からシーズン19まで主人公として活躍したリロイ・ジェスロ・ギブスだ。元海兵隊スナイパーという経歴も相まって近寄りがたい雰囲気を漂わせる一方、卓越した捜査能力、部下への深い信頼と愛情、そして揺るぎないリーダーシップでチームを率いる姿はまさに"カリスマ捜査官"。どんな難事件にも粘り強く挑み、仲間を導くギブスの存在に魅了され、「ギブスは理想の上司」と称賛する声が上がったのも当然といえる。

(C)2024 Paramount Global
そんなギブスがNCISの新人エージェントだった時代を描くのが、2024年に制作された「NCIS:オリジンズ」だ。1991年、海兵隊を除隊したばかりのギブスが、新設されたNCISのキャンプ・ペンドルトン支局で新人特別捜査官として奔走する日々を、現在のギブスが語り手となって振り返る構成になっている。現在のギブスを演じるのは、おなじみのマーク・ハーモン。長年ギブスに息を吹き込み、その人物像を誰より理解する彼の参加によって、本シリーズでは語られなかったギブスの心の傷と再生の物語が丁寧に紡がれていく。若き日のギブスを演じるのは、「NCIS:LA ~極秘潜入捜査班」にも出演経験を持つオースティン・ストウェル。最愛の妻と娘を失った深い悲しみと向き合いながら、前に進もうとするギブスの姿をエモーショナルに体現している。
シリーズ初の海外が舞台「NCIS:シドニー」

(C)2023 Paramount Global
2023年に始動した「NCIS:シドニー」は、2021年9月に発足したアメリカ・イギリス・オーストラリアの三国間軍事同盟AUKUSを背景に、米海軍犯罪捜査局(NCIS)エージェントと豪州連邦警察(AFP)がタッグを組む合同捜査チームの活躍を描く、シリーズ初の海外(アメリカ国外)が舞台となるスピンオフだ。舞台は、オーストラリアを代表する世界都市シドニー。米海軍や海兵隊関係者が関わる事件を、一話完結形式でテンポよく描いていく。英語圏であり、犯罪捜査を専門とする点では共通する両組織だが、縄張り意識や文化の違いから最初はどこかぎこちない。しかし、捜査を通して国籍も価値観も異なる仲間たちが、徐々に信頼を築いていく過程は、「NCIS」シリーズが長年描き続けてきたチームの絆そのものだ。

(C)2023 Paramount Global
また、「NCIS」らしい魅力の一つとして、女性科学捜査分析官が個性的という設定も受け継がれている。「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」で人気を博したアビーとは対照的に、本作の分析官ブルーバード・"ブルー"・グリーソンは、スタイリッシュなショートヘアにカラフルなメイクやファッションが印象的。違うタイプながらも、強烈な存在感でファンの心をつかむキャラクターだ。さらに、さわやかな空気感を生み出すのが、シドニーの美しいロケーション。象徴的なオペラハウスをはじめ、海辺の街らしい景観が物語を彩る。サメやヘビ、希少な鳥など、オーストラリアならではの野生動物が絡む事件も多く、他のスピンオフにはないシドニー色がしっかりと盛り込まれている。
大人気カップル再び「NCIS:トニー&ジヴァ」

(C)2025 Paramount Global
そして、全世界の「NCIS」ファンを歓喜させたのが、2025年配信のスピンオフ最新作「NCIS:トニー&ジヴァ」だ。「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」初期からギブスの右腕として活躍した特別捜査官アンソニー・"トニー"・ディノッゾと、シーズン3から加わったイスラエル情報機関モサド出身のジヴァ・ダヴィードが本作の主人公となる。本家シリーズでは、女性好きのお調子者でありながら優秀な捜査官トニーと、豪快で戦闘能力も高い武闘派ジヴァ――性格も背景も全く違う二人が、ギブスの下で共に働くうちに、かけがえのない存在へと変わっていく過程が人気となった。シーズン6の衝撃展開や、それぞれの立場故の葛藤など紆余(うよ)曲折を経て、シーズン11でついに二人は結ばれ、"最強カップル"として絶大な支持を獲得。
しかし、シーズン13最終話で事態は急展開。イスラエルで生活していたジヴァがテロ事件に巻き込まれ死亡したと判断され、さらにジヴァが密かに育てていた娘タリの存在も明らかに。トニーはタリを守るため、NCISを去る決断を下す。その後、シーズン16でジヴァが生存していたことが判明し、ギブスの前に姿を見せたことで、ファンは再び激震。「NCIS:トニー&ジヴァ」では、長年運命に翻弄(ほんろう)されてきた二人のその後が、全10話で描かれる。

(C)2025 Paramount Global
本作では、かつて共に任務で訪れた思い出の地パリで、程良い距離を保ちながらタリを育てていた二人が、トニーがインターポールの不正送金事件に巻き込まれたことから再びコンビを組み、巨大な陰謀に立ち向かう。久々の共演となるトニー役のマイケル・ウェザリーとジヴァ役のコート・デ・パブロだが、その息は相変わらずぴったり。第8話冒頭の回想シーンでは、二人の結婚式の招待者リストが映し出され、ギブスやアビーといったNCISメンバーもリストアップされているのも、往年のファンにはたまらないポイントだ。
長い歴史の中で、多彩なスピンオフと個性あふれるキャラクターを生み出してきた「NCIS」シリーズ。今回紹介した作品はいずれも話数がコンパクトで、初めてシリーズに触れる人でも入りやすいラインアップだ。この機会に「NCIS」の世界へと足を踏み入れ、その魅力の深みを体験してほしい。
文/中村実香














