料理研究家・貝谷郁子が「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」など、アガサ・クリスティー作品に登場する料理について語る!

料理研究家・貝谷郁子が「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」など、アガサ・クリスティー作品に登場する料理について語る!

料理研究家でミステリー愛好家の貝谷郁子による「ミステリーと食を楽しむ」トークイベントが、ミステリーチャンネルが主催で12月13日に東京・サロンクリスティで開催。20人限定の会場には、アガサ・クリスティー作品からインスピレーションを得た料理の数々が用意され、さらに貝谷自身が考案したスペシャルメニューを味わいながら、クリスティーの世界観を"食"を通して楽しむトークが繰り広げられた。

241219_mystery02.jpg

開始とともにテーブルの上にアガサ・クリスティーの「殺人は容易だ」に登場する紅茶、ラプサンスーチョンを使用したマフィンや、「パディントン発4時50分」に出される「ローストビーフ&ヨークシャープディング」など、作品に登場する料理や飲み物をイメージしたものが用意されると、貝谷は「料理研究家なんですが小さい頃からミステリーが大好きで、飲み物や食べ物、食のシーンを通してミステリーを楽しんでいます」とあいさつ。

241219_mystery03.jpg

最初の話題に「名探偵ポワロ」シリーズを選ぶと、ポワロのイメージについて「初めて読んだ頃から妙に甘い飲み物ばかりが好き」と話し、「『もの言えぬ証人』の中で朝食に必ずチョコレートを飲むという地の文が書いてあります」と展開。それだけでなく美食家だということも示すと「『マギンティ夫人は死んだ』という作品に出てくるお料理下手な女将(おかみ)さんに、オムレツの作り方を教えたという描写があるんです。ポワロが食に対してかなり踏み込んでいる作品として、非常に印象的な1冊になっています」と語り、主人公を食から深掘りする新たな楽しみ方で観客を楽しませた。

241219_mystery04.jpg

続いてイギリスで有名なスコーンは、日本に浸透するまでは昔の翻訳でホットケーキになっていたことなどが語られると、「杉の柩」「パディントン発4時50分」などで作品の重要な役割を果たすフィッシュサンドイッチを取り上げ、オイルサーディン缶やアンチョビ、レモン汁などを使った「サーディンペーストのサンドイッチを考案しました」とスペシャルメニューの話題に。

241219_mystery05.jpg

普段、ミステリーの中で記されている料理の想像再現をするときは「何を使ったか書かれていれば必ず守る、書かれてなければそのときの状況や作った人の性格などを加味して考えます」と前置きを入れると「今回はそこまで考えられる余地がないので、イギリスで作られるような味であり、おいしくて食べていただけるような物ということでレシピを起こしてみました」と説明した。

241219_mystery06.jpg

ひとしきり料理の話を終えると、添えられる飲み物については紅茶だと明かし、「(クリスティー作品は)紅茶なしには成立しない」と断言。「ミス・マープル」シリーズの「復讐の女神」「スリーピング・マーダー」「パディントン発4時50分」でも、お茶に呼んでもらうことで情報を集めて推理につなげていくなど、お茶が大事な役割を果たしていることを話した。

241219_mystery07.jpg

また、会場にクリスティーが好んだと言われている松の薫製香が特徴の中国茶・ラプサンスーチョンが出されると、「高級な物で上流階級の趣味的なものとして珍重されていたんですけど、好き嫌いが激しい香りなんです。『殺人は容易だ』でラプサンスーチョンが鍵になっているので出してみました」と観客に試飲を促した。

241219_mystery08.jpg

イベントも終盤に差し掛かると、作品に細かい描写のなかった料理などを"幻の料理"と称して言及。料理やその味わい、描写がない料理についてもきっと食していたのだろうと想像しながら楽しんでいることを明かすと、「そんなふうに考えながらクリスティーは何度も読み直しますし、ドラマも見ています。そのたびに新しい発見があるので、さまざまな角度から、皆さんも新しい目で楽しんでいただけたらと思います」と思いを口にした。そして、参加者からの質問に答えたり、抽選会をしたり、ファンとの交流を楽しんでイベントを締めくくった。

取材・写真・文/永田正雄

放送日時:2024年12月22日 18:20~

チャンネル:ミステリーチャンネル

放送日時:2024年12月24日 06:00~

チャンネル:ミステリーチャンネル

放送日時:2024年12月26日 06:00~

チャンネル:ミステリーチャンネル

※放送スケジュールは変更になる場合がございます