「NCIS:トニー&ジヴァ」は「ネイビー犯罪捜査班」を見ていなくてもファンに!【関根麻里】
海外ドラマ 見放題連載コラム
2025.10.31
こんにちは。関根麻里です。私が大好きなパラマウントプラスの海外ドラマを皆さまにご紹介する連載コラム第13回は、2003年から放送されているクライムドラマ「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」シリーズのスピンオフとなる「NCIS:トニー&ジヴァ」です。

トニーとジヴァの新たな物語がここから始まる
本作の主人公は、「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」シーズン1~13に登場した元殺人課刑事のアンソニー・ディノッゾ(通称トニー)と、シーズン3~10でメインキャラクターを務め、以降もゲスト出演していたイスラエル情報機関モサド出身の美女、ジヴァ・ダヴィード。私はこの作品で初めて二人と出会った"途中参加組"です。しかし、第1話の冒頭でトニーとジヴァ、そして娘タリの歩みがダイジェストで紹介されます。また、物語の中でも過去の出来事が丁寧に描かれるため、初見でもすぐに物語に入り込めます。そんなトニー&ジヴァ初心者の私でも、気づけばすっかり彼らのファンに。冗談を交わしながらも、お互いの弱さや抱える課題を乗り越えていく姿がしっかりと描かれていて、「なんて面白くてクオリティの高いドラマなんだろう!」と感じました。

物語の舞台は、2025年10月のハンガリー・ブダペスト。急ぎ足で教会に駆け込むトニーは、慌ただしくタキシードに着替えます。そこに現れたのは、ウェディングドレス姿のジヴァ。二人の結婚式が始まるのかと思いきや、祭壇でジヴァを待っていたのは見知らぬ青年でした。さらに、トニーは参列者席にいる美女の動きを鋭く警戒。彼女がバッグに忍ばせた銃に手を伸ばした瞬間――物語は9日前、フランス・パリで起きた大事件へとさかのぼります。
その事件とは、謎のミニコンピューター「9.4」によって引き起こされたインターポールの不正送金と、事務総長の失踪事件。トニーはその関与を疑われ、逃走を余儀なくされます。そして、彼を助けようとするジヴァもが共犯として国際指名手配されます。娘のタリを信頼できるシッターのソフィアに託し、トニーとジヴァは久しぶりにコンビを組んで、容疑を晴らすため世界各地を奔走します。

過去と現在を行き来するスリリングな構成
第1話の構成からも分かるように、このドラマは「現在」と「過去」の行き来がかなり多め。でも、その切り替えがとても分かりやすいんです。時間がさかのぼるときや現在に戻るときには、必ず日付と場所が画面に表示されるので、混乱することはありません。さらに、それぞれの出来事が「なぜそうなったのか?」という謎解きのような構成になっていて、一つひとつの答え合わせがとても楽しいんです。冒頭に登場するジヴァと謎の青年の"結婚式シーン"も、第4話でその全貌が明かされるので、ぜひ楽しみにしていてください。
そして、「NCIS:トニー&ジヴァ」の最大の魅力は、なんといっても二人の関係性です。同僚として出会い、仕事を通して互いを理解し合い、数々の困難を乗り越える中で恋人となり、娘が生まれて家族になっていく――その過程が本作から彼らを知った私にもしっかり伝わってきました。見ているうちにどんどんトニー&ジヴァのことが好きになっていきました。

トニーは一見、軽口ばかりたたく調子のいい人。冗談を言って場を和ませるタイプですが、娘のタリやジヴァのことを心の底から大切に思っています。渋くて面白い"おじさんキャラ"でありながら、実はとても愛情深く少し不器用。そのギャップがたまらなくかわいくて、いとおしいキャラクターだなと思いました。
そして、ジヴァは本当にカッコいいんです。娘のタリが謎の男たちに狙われていると知ったジヴァが、カウンセリングの最中にもかかわらずパリの街を駆け抜け、敵を素手で制圧するアクションシーンは圧巻でした。でも、ジヴァには過去に抱えた心の傷があり、そのせいでトニーやタリに対して家族としての役割を十分に果たせないのでは、という葛藤が見え隠れします。その描写がとてもリアルで、キャラクターの深みをさらに感じます。だからこそ、自然と応援したくなる魅力にあふれています。

魅力的なサブキャラクターたちが物語を彩る
また、主人公カップルを支えるサブキャラクターたちも魅力的です。中でも、教会でジヴァと向き合っていた青年であり、すご腕ハッカーのボリスと、その婚約者フルージのコンビが印象的です。フルージは、楽しいことが大好きな女性。でも、過酷な環境の中で努力を重ね、世界的ハッカーに成長したボリスをしっかり尊敬しています。さらに、彼女の活躍によってトニーとジヴァが救われる場面もあり、重要な役割を担っています。ボリスは、インターポールの不正送金に使用されたミニコンピューター「9.4」の制作者という理由で、トニー&ジヴァのチームに加わります。二人がいつも楽しそうにしている姿は、見ていてとても心地よく、緊張感があるシーンが続く中でとても和みました。

もちろん、トニー&ジヴァの娘タリも、ただ守られるだけの存在ではないとこが、とても魅力的です。自分の意思で行動し、物語の中で存在感を放つ姿は見ていて頼もしく感じました。また、タリ役アイラ・ジーは、トニー役のマイケル・ウェザリーとジヴァ役のコート・デ・パブロ、どちらの面影も感じられて、本当に2人ともに似ていました。
本作は、1話完結型の「NCIS」シリーズとは異なり、全10話で一つのストーリーをじっくり掘り下げていく構成になっています。どの話数から見ても十分に楽しめますが、やはり第1話冒頭のダイジェストシーンで彼らの歴史を追った上で見ると、トニーとジヴァの魅力をより深く感じられます。そうすることで、「なるほど、ここがこうつながるんだ」という発見も多く、物語の面白さが倍増します。私も皆さんと一緒に、トニーとジヴァの活躍を見届けていきたいと思います。

連載最終回にあたって
そして、今回でこのコラムも最終回を迎えることになりました。この連載を通して、素晴らしい海外ドラマをたくさん見ることができて本当に幸せでした。毎回、新しい世界やキャラクターに出会い、さまざまなジャンルのストーリーを体験できたことは、私にとってかけがえのない時間でした。少しでもその楽しさや魅力をお届けできていたら、とてもうれしいです。これまでご愛読いただきまして、ありがとうございました。














