Paramount+ 作品 完全ガイド
「メイヤー・オブ・キングスタウン」シーズン1の見どころがよく分かる！人物相関図付き
海外ドラマ 見放題
2025.09.30
手加減なしのバイオレンス描写満載の骨太クライム・サスペンス
映画『ウインド・リバー』でタッグを組んだテイラー・シェリダンとジェレミー・レナーが再び挑む最新作。刑務所ビジネスで成り立つ町を舞台に、「市長」として人々の間を取り持つ主人公の活躍を、濃密なバイオレンス描写とともに描き出す。
見どころ
ヒットメーカー、テイラー・シェリダンがジェレミー・レナーを迎えて描く！
アメリカ中西部・ミシガン州キングスタウン。半径16km圏内に7つの刑務所が集中し、約2万人の囚人が暮らすこの町には、受刑者と外の世界をつなぐ「市長」と呼ばれる存在がいた。主人公マイクは、父から「市長」の役目を継いだ兄ミッチを支え、縄張りを持つギャングや看守、警察、FBIといった組織の間で危ういパワーバランスを保つため奔走していた。しかしある事件をきっかけに、マイク自身が「市長」となる。新人看守サムが引き起こす騒動、ロシアンマフィアのボスであるマイロとの対立――彼の前には、次々と過酷な試練が立ちはだかる。
「イエローストーン」「タルサ・キング」「ランドマン」など、パラマウントプラスを代表するヒット作を生み出してきた希代のクリエイター、テイラー・シェリダン。本作では原案・エグゼクティブプロデューサーを務めるだけでなく、シーズン1全10話の脚本を執筆し、第1話と第3話の監督も兼任した。
見どころは、何といってもハリウッドスター、ジェレミー・レナーの迫真の演技だ。シェリダンの映画監督デビュー作にして、第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した『ウインド・リバー』で主人公コリーを演じたレナーが、本作では"町の平和維持"のためなら手段を選ばない男マイクを体現する。父と兄からその役目を継いだ彼は、ギャングやマフィアとの取引はもちろん、警察に捜査上の事故に見せかけた殺人を示唆するなど、並外れた交渉力と胆力で家族が受け継いできた「市長」という存在を守り抜く。レナーの重厚な演技が、マイクの危うい信念を鮮烈に映し出す。
シェリダン作品ならではの容赦ないバイオレンスも、物語を強烈に支える魅力だ。刑務所の看守による囚人への理不尽な暴行や、子どもを死に追いやった犯罪者への過剰なリンチ――キングスタウンに渦巻く暴力が激しければ激しいほど、「市長」として奔走するマイクの献身と、その根底にある打算なき市民愛がいっそう際立つ。
本国アメリカでは、2025年10月に待望のシーズン4が配信スタート。新たに赴任する刑務所長とマイクの攻防など、これまでにない展開が予想される。シェリダンが一貫して描いてきた人種差別、人間のむき出しの欲望、家族愛や友情といったアメリカ社会のリアルを、架空の町キングスタウンに凝縮した本作。レナー渾身（こんしん）の演技が宿す、マイクの生きざまを目に焼き付けてほしい。
ジェレミー・レナーら実力派俳優陣が過酷な運命に立ち向かう人々を熱演！
兄ミッチの後を継ぎ、キングスタウンの「市長」を務める主人公マイクを演じるのは、実力派俳優ジェレミー・レナー。2009年、米アカデミー賞で作品賞を受賞した『ハート・ロッカー』で主演男優賞にノミネートされたほか、「ミッション：インポッシブル」シリーズのウィリアム・ブラント役で見せたコミカルな芝居、「アベンジャーズ」シリーズのホークアイ役で披露したアクションなど、幅広い演技力に定評がある。
本作でレナーが体現するのは、町の平和を守るためなら手段を選ばない不屈の精神を持つ男だ。シーズン1第1話のクライマックス――次期「市長」の役目を拒みながらも、移民系市民に刑務所の娘を助けてほしいと涙ながらに懇願され、自らの使命を受け入れるマイク。その瞬間に見せた、決意と覚悟をたたえたレナーの表情は必見。その優しさは、罪を犯した者だけでなく、他の町から訪れる人々にも向けられる。中でも印象的なのは、ロシアンマフィアのリーダー、マイロがマイクの弱みを突こうと送り込んだ美女アイリスに向ける、レナーの温かくやさしいまなざしだ。さらに、星空を見上げながら語り合うシーンに象徴される、黒人ギャングのリーダー、バニーとの利害を超えた友情も本作の大きな見どころだ。
マイクたちの母親で大学教授のマリアム役には、映画『ハンナとその姉妹』『ブロードウェイと銃弾』で米アカデミー賞の助演女優賞に輝いた名優ダイアン・ウィーストを起用。マリアムは、死と隣り合わせの仕事に従事する長男ミッチと次男マイク、そして刑事として多忙な日々の中で家庭を顧みず、非合法な協力まで行う三男カイルにいらだちを覚えつつ、圧倒的な存在感でその葛藤を体現する。普段は厳しい表情を見せる彼女だが、シーズン1第10話では、刑務所を舞台にした大事件に巻き込まれたマイクとカイルを救うべく、危険を顧みず現場に駆け付けるシーンも。ウィーストが見せるエモーショナルな演技は、見る者の胸を熱くする。
父から「市長」の役目を引き継いだマクラスキー三兄弟の長男ミッチ役には、「グレイズ・アナトミー」のディラン・ヤング役や「ブラッドライン」のジョン・レイバー役で知られるカイル・チャンドラーが扮（ふん）している。ダンディーでエレガントながら、ギャングや汚職まみれの看守たちといった手ごわい相手の信頼も勝ち得るタフさを併せ持つミッチを、チャンドラーはしなやかに演じる。右腕として働いていたマイクが「市長」の役目を引き継ぐことに尻込みするのも納得の、圧倒的な存在感を放っている。
兄たちを支えるキングスタウン市警の刑事であり、マクラスキー三兄弟の末っ子カイルを演じるのは、「VEGAS／ベガス」のラルフの息子ディクソン役などで知られるテイラー・ハンドリー。日々「市長」として町の平和維持に奔走する兄たちを尊敬しつつ、時には非合法な仕事も手伝うカイルを、ハンドリーは当初、不安げな瞳で体現する。しかし、妻トレイシーとの間に新たな命が芽生えたことを母から聞かされて以降は、父親としての自覚を少しずつ獲得していく成長の過程を、繊細な表情で描き出す。
マイクの人間性を際立たせるキャラクターとして登場するのが、ロシアンマフィアの手駒としてニューヨークから送り込まれたエスコート・ガール、アイリスだ。彼女を演じるエマ・レアードは、本作での熱演が高く評価され、『ブルータリスト』や『28年後...』などの作品にも出演している。財界人など、スキャンダルが命取りになる大物に接近し、その弱みをベッドで握る仕事を担うアイリスは、ボスのマイロの命令でマイクに接近する。しかし、彼女の色香に一切動じないマイクに業を煮やしたマイロの右腕ジョセフにより、犯罪者たちに売り渡され、心身に大きな傷を負ってしまう。そんなアイリスを救い出し、復讐（ふくしゅう）を代行するだけでなく、父親のような静かな愛情で見守るマイクに、次第に心を開いていく過程を、レアードは繊細な表情の変化で好演。
あらすじ
「市長」である兄の右腕として奔走する男が人生の岐路に立たされる――
アメリカ中西部・ミシガン州にある町キングスタウン。半径16km圏内に7つもの刑務所が集中し、約2万人の囚人が暮らすこの地には、囚人と外の世界をつなぐ「市長」と呼ばれる存在がいる。父からその役目を引き継いだ兄ミッチ（カイル・チャンドラー）の右腕として、マイク（ジェレミー・レナー）は日々、黒人・ロシア系・メキシコ系の各ギャング、囚人を暴力で抑え込む看守、さらには弟カイル（テイラー・ハンドリー）も所属する非合法な方法で「市長」と共に町の治安維持に努める市警などの組織の間に立ち、危ういパワーバランスを維持していた。
ある日、マイクは刑務所看守で古くからの友人でもあるティムから、甥（おい）で新人看守のサムが黒人系ギャングに弱みを握られたと相談を受ける。事態の拡大を防ぐべく、マイクは兄ミッチと共に黒人ギャングのリーダー、バニーの元へ直接交渉に向かう。
同じ頃、ミッチは事務所を訪れたロシアンマフィアのリーダー、マイロの妻から、マイロが犯罪で得た大金を掘り出してほしいと依頼を受ける。しかし、秘書が隠し場所を記した地図をコピーしているところを目ざとく見つけた男が、マイロの妻だけでなくミッチまでも襲撃。強盗殺人事件へと発展してしまう――。
文／中村実香
人物相関図
