Netflixシリーズ「ウェンズデー」怒涛の展開から目が離せない!ティム・バートンならではの美学が健在

Netflixシリーズ「ウェンズデー」怒涛の展開から目が離せない!ティム・バートンならではの美学が健在

ホラーコメディーの傑作「アダムス・ファミリー」は、1937年に雑誌の1コマ漫画として誕生し、1964年にはテレビドラマ化され、日本でも「アダムスのお化け一家」のタイトルで放送された。その後も2008年にブロードウェイでミュージカル化、2019年にはCGアニメーション映画が製作されて全世界興行収入2億ドルの大ヒットを記録。現在に至るまで多彩なメディア展開が続き、世界中のファンを魅了し続けている。

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鬼才ティム・バートンによる世界観が際立つスピンオフ

そんな中、2022年には「アダムス・ファミリー」の世界を舞台にしたNetflixシリーズ「ウェンズデー」が配信開始。本作は、アダムス家の長女ウェンズデーを主人公に据え、彼女がネヴァーモア学園に入学し、超自然的な謎を解き明かしていくスピンオフ作品だ。『シザーハンズ』『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』などで知られる鬼才ティム・バートンが監督・製作総指揮を務めたことでも話題に。バートンならではのゴシック調の映像とダークファンタジーの世界観は、「アダムス・ファミリー」との相性も抜群。さらに、主演ジェナ・オルテガの演技力も高く評価され、クールで皮肉たっぷりなキャラクター像を鮮やかに体現している。

「アダムス・ファミリー」といえば、邪悪で不気味なものを愛してやまないお化け一家が繰り広げるホラーコメディーだが、本作「ウェンズデー」は一味違う。主人公ウェンズデーが、アダムス一族にまつわる超常現象や殺人事件に巻き込まれ、その真相を追う推理ミステリーとして展開される。さらに、映画版『アダムス・ファミリー』でウェンズデー役を務めたクリスティーナ・リッチが、学園の寮母兼教師マリリン・ソーンヒル役として出演している点にも注目だ。

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同級生への殺人未遂事件を起こし、高校を退学になったウェンズデー(ジェナ・オルテガ)は、両親の母校であるネヴァーモア学園へ転入する。そこは人狼や超能力者など、"のけ者"たちが集う一癖あり過ぎる学校だった。周囲に溶け込もうとしないウェンズデーは、戸惑いながらも自身の幻視能力を覚醒させ、ルームメイトの人狼族イーニッド(エマ・マイヤーズ)、人心を操るセイレーン族のビアンカ(ジョイ・サンデー)、養蜂クラブのユージーン(ムーサ・モスタファ)らと交流を深めていく。そんな中、謎のモンスターによる連続殺人事件を目撃した彼女は、その正体を暴くため独自に調査を開始。やがて学園に潜む闇や両親の過去、自らの運命に直面していく――。シーズン1終盤では、モンスターの正体や意外な"黒幕"が次々と明らかになり、怒涛の展開が続く。

2022年11月23日に全8話が世界独占配信されると、初週で3億4,123万時間視聴を記録し、Netflix史上、英語シリーズとして更新1週間で最高の視聴時間を樹立。4週間後には累計視聴時間が11.9億時間に達するなど世界的ヒットとなり、続編制作が決定。そして2025年8月6日、待望のシーズン2 パート1がついに世界独占配信された。

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ウェンズデーが親友を救うため難敵との戦いに挑む!

シーズン2では、ウェンズデーがネヴァーモア学園に戻り、再び予測不能で奇妙な事件に立ち向かう。卓越した頭脳と研ぎ澄まされた感覚を武器に、新たなモンスターの謎や学園に隠された秘密へと挑んでいく。物語では、アダムス一家の秘められた真実が明らかになるほか、親友イーニッドに危険が迫り、彼女を救おうと奔走するウェンズデーの姿が描かれる。第1話冒頭では、シーズン1で学園を救った功績から英雄視されるも、それを快く思わないウェンズデーが、毒気たっぷりのブラックユーモアで周囲をあしらう場面が痛快だ。一方、今回はシーズン1以上に緊迫したスリリングな展開が続き、彼女自身も窮地に立たされる。それでも、イーニッドを守るために難敵へ立ち向かうウェンズデーの姿は、クールかつ凛々しく輝いている。

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アダムス一家の面々も、シーズン1に引き続き登場。中でも、母モーティシアを演じるキャサリン・ゼタ=ジョーンズの妖艶な美しさは圧巻だ。また、ルイス・ガスマン演じる父ゴメズの強烈な風貌も忘れがたい。そして、シーズン2ではウェンズデーの祖母(ジョアンナ・ラムリー)が登場し、抜群の存在感を放つ。ウェンズデーの両親が学園生活を見守らせるために送り込んだ"ハンド"も健在。文字通り「手」だけで生きる存在で、初めは不気味に映るが、次第に愛らしさが癖になり、とりこになる視聴者も多いだろう。加えて、いじめられっ子だったウェンズデーの弟パグズリー(アイザック・オルドネス)もネヴァーモア学園に入学。一癖あるキャラクターへと成長し、予想外の活躍を見せてくれる。

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クリストファー・ロイド&レディー・ガガも登場!

「ウェンズデー」は、魔物や能力者が存在するダークファンタジーの世界に、ティム・バートンならではの美学を融合させた独創的な作品だ。ハンドに象徴されるように、不気味さとユーモア、そしてスタイリッシュさが絶妙に同居している。バートン流に再構築されたダークファンタジーの美学が、単なるホラーやミステリー、学園ドラマとは一線を画し、視聴者を斬新な世界へと誘う。

シーズン2には、映画版でフェスターおじさんを演じたクリストファー・ロイドがスペシャルゲストとして登場。シーズン1で重要な役を務めたクリスティーナ・リッチと共に懐かしの顔ぶれが再びそろうという、映画ファンにはたまらない演出が実現した。さらに、超大物ゲストとしてレディー・ガガがキャスティングされ、ネヴァーモアの伝説的教師ロザリン・ロットウッド役を熱演。Netflixのグローバルファンイベント「Netflix TUDUM 2025」では、棺おけから登場して新曲を披露するというウェンズデー色満載のパフォーマンスで話題となった。

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シーズン1をしのぐ化学反応、映画版から受け継がれた緻密な設定、そして毒と美学にあふれた名セリフの数々――その魅力は枚挙にいとまがない。Netflixシリーズ「ウェンズデー」シーズン2 パート2は9月3日より世界独占配信。ウェンズデーの戦いの行方と、待ち受ける物語の結末から目が離せない。

文/渡辺敏樹

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