タイトル通り息子を頼りにしていく姿もほほ笑ましい「ヘルプ・ミー・トッド」【関根麻里】

関根麻里

関根麻里 (タレント)

タレント。幼少時からインターナショナルスクールへ通い、海外留学の経験を持つ関根麻里が、パラマウントプラスの海外ドラマからオススメ作品の見どころや魅力を語る。

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タイトル通り息子を頼りにしていく姿もほほ笑ましい「ヘルプ・ミー・トッド」【関根麻里】

こんにちは、関根麻里です。私が大好きなパラマウントプラスの海外ドラマを皆さまにご紹介する連載コラムの第3回は、生真面目な敏腕弁護士の母と、元私立探偵でもある彼女の息子の活躍を描くリーガルコメディー「ヘルプ・ミー・トッド」です。

この作品は、アメリカ西海岸にあるオレゴン州の州都ポートランドが舞台。私立探偵として働いていた頃のノウハウを駆使して、さまざまな証拠を集める法律事務所の社内調査員トッドと、彼の母でもある弁護士マーガレットの親子が絶妙なコンビネーションを駆使して、さまざまな依頼人の無罪を勝ち取るために奮闘します。1話完結なので、とても見やすい法廷ドラマシリーズです。

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(C)2022 Paramount International

落ちこぼれ扱いのトッドの真の実力が明らかに!

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(C)2022 Paramount International

弁護士の母マーガレットをはじめ、オレゴン州知事の首席補佐官の長男ローレンス、救命医の長女アリソンといった、社会的地位の高い職業についている家族ばかりの中で、末っ子のトッドは唯一の落ちこぼれ。彼がかつて探偵事務所を営んでいる時にトラブルに巻き込まれ、マーガレットが全部尻ぬぐいしてきたという前提で物語は始まります。

しかし、実はトッドはすごくデキる息子なんです。スマートフォンを駆使してリモートで写真や動画を撮影したり、音声メモをとったり、GPSトラッカーなどの最新機器を使いこなして、さまざまな証拠をお母さんのために集めます。それだけでなく、とっても情に厚い人物で、どんな人にも優しくて、すぐに相談に乗って助けてあげようとする共感力の高い存在として描かれています。でも、家族はトッドを問題児扱いしていて、お姉ちゃんの家に居候しているものの寝泊まりは離れのガレージで、家の中には入れてもらえないという状況。特に、毎週家族が集まって、お姉ちゃんの家でディナーを共にする席が設けられていながら、トッドだけはその席に招待されていなかったことが判明したりと、ちょっとかわいそうな扱いを受けているんです。ですが、物語が進むにつれ、トッドがずば抜けた勘の鋭さや情報収集能力の持ち主で、とっても優秀な私立探偵だということが分かってきます。

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(C)2022 Paramount International

一方のマーガレットは、現在勤めている法律事務所で、秘書から弁護士へと転身した努力家です。頭が切れるだけでなく、依頼人に寄り添える心の温かさで評価されていますが、ややキツい性格のために、プライベートで大きな問題が発生してしまいます。機械は苦手で、普通に電話をかけようと思っても、間違ってビデオ通話になってしまったりと、親しみやすい面も描かれています。そんなマーガレットも、トッドと過ごす時間が増えるにつれ、スマートフォンの録音機能を活用できるようになるなど、息子の存在が大きな刺激になっている様子が描かれていきます。そして、担当する裁判でもトッドのサポートを受け、タイトル通り「トッド、助けて!」と息子を頼りにしていく姿もほほ笑ましいです。

力を合わせて事件を解決!実力派俳優が描く親子愛

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(C)2022 Paramount International

トッドを演じているのは、映画やドラマ、舞台などで活躍中のスカイラー・アスティンです。本作では、ひげをたくわえていて印象が異なるため、すぐに彼だと気づきませんでしたが、「ゾーイの超イケてるプレイリスト」で主人公ゾーイの同僚で友人のマックスを演じていた俳優さんです。第61回トニー賞でミュージカル作品賞を含む8部門に輝いたブロードウェイミュージカル「春のめざめ」のゲオルグ役のオリジナルキャストも務めていて、歌もダンスもすごく上手な魅力的な役者さんです。

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(C)2022 Paramount International

そして、マーガレットは映画『ポロック 2人だけのアトリエ』で第73回アカデミー賞助演女優賞に輝いたことで知られるマーシャ・ゲイ・ハーデンが演じています。クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』で、素晴らしい演技を披露した役者さんです。そんな実力派俳優の2人が本作で描き出すのは、親子の愛です。どんなに手がかかる息子でもやっぱり守ってあげたいし、助けてあげたい。トッドは、まさに「手がかかる子ほどかわいい」といった言葉がぴったりな存在で、マーガレットからのトッドへの小言も、愛情の裏返しなんですよね。最初は感情的なすれ違いがたくさんあったけれど、力を合わせて事件を解決し、同じ時間を過ごす中で親子の絆が深まっていくストーリーは、とてもハートウォーミングでステキだと思います。

笑って感動して、胸キュンな感情を揺さぶられるドラマ

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(C)2022 Paramount International

さらに、兄姉弟の関係もいろいろあって、トッドは居候させてもらっているお姉ちゃんのアリソンともしょっちゅうケンカしますし、多忙なためにあまり顔を合わせることのないお兄ちゃんのローレンスとも激しく言い合いをします。その原因となるのが、子どもたち全員が「自分が一番ママに愛されている!」という、ほほ笑ましいライバル心なんです。中でも、堅物なローレンスの本音が聞ける#12には注目してほしいです。

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(C)2022 Paramount International

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(C)2022 Paramount International

このドラマにはコメディー要素もたくさんあって、声を出して笑ってしまうシーンも盛りだくさんです。それでいてすごく感動したり、泣けるシーンもあり、さらにトッドと元カノのスーザン、そしてマーガレットと法廷で戦う弁護士ガスとの胸がキュンキュンするようなラブロマンスもあったりと、たくさんの感情を揺さぶられるドラマだなと思います。

トッドやマーガレットをはじめ家族の人間らしさも丁寧に描き、本国アメリカでも多くの視聴者の共感を呼んだ本作。魅力的なキャラクターが顔をそろえている法律事務所や裁判所を舞台にした法廷ドラマと、家族の関係を笑いと涙でつづるヒューマンドラマという2つの物語を柱に、笑いあり、涙あり、胸キュンありの痛快作なので、多くの方に楽しんでいただける作品だと思います!