LUNA SEAの聖地・東京ドームが漆黒に染まった伝説の夜「LUNATIC TOKYO 2025」
2025.04.17
昨年結成35周年を迎えたレジェンドロックバンドLUNA SEA。2025年2月23日に東京ドームで開催された 『「LUNATIC TOKYO 2025」黒服限定GIG』の模様が、このたびフジテレビTWOで独占放送される。
まず『LUNATIC TOKYO』と冠されたところが胸アツだ。このタイトルは、1995年12月にメジャーデビューから3年半という驚異的なスピードで、初の東京ドームワンマンに到達した際に冠された公演タイトル。この日がメンバーやファンにとって特別な夜を意味していることが、これだけで伝わってくる。
あれから30年の時を越えた今回の東京ドーム公演。「2000年の<終幕>までに発表されたすべてのアルバムツアーを現代に再現する」バンド史上最大規模の全国ツアー『ERA TO ERA』のグランドファイナルという意味合いもある。90年代に生み出した二大名盤『MOTHER』と『STYLE』の完全新録セルフカバー・アルバムをリリースし、当時のセットリストを再現する「DUAL ARENA TOUR」でファンを驚かせたのは、2023年のこと。そのファイナルが大阪城ホールでのカウントダウンライブだった。2024年の幕開けと共に、開催が告知され、結成35周年イヤーを記念して、全41公演にのぼる自身最大規模のホールツアーとして敢行された『ERA TO ERA』。新たなLUNA SEAの歴史が刻まれたのである。
そして今回の東京ドーム公演。単独公演としては10度目の東京ドームに立つLUNA SEA。本公演の発表時、RYUICHIが「俺たちの覚悟の夜になる」と宣言したそのライブの模様が映像で見られるのは、ファンにはたまらない。
彼らの歴史は1989年に始まった。RYUICHI(Vo)、SUGIZO(Gt/Violin)、INORAN(Gt)、J(Ba)、真矢(Dr)の5人は、この年「LUNACY」の名でライブ活動を開始。1992年にアルバム『IMAGE』でメジャーデビューを果たすと、圧倒的な音楽性の高さとカリスマ性に加えて、5人の強烈な個性がぶつかり合って火花を散らすライブは、既存のバンドに物足りなさを感じる人々をトリコにしてしまった。そして伝説となった初の東京ドーム公演「LUNATIC TOKYO」が1995年に行われたのだ。ただ、類まれなほどに際立つ5人の個性の均衡は危ういものだったのだろう。2000年にバンドの"終幕"が発表されると、12月の東京ドーム公演を最後に、事実上の解散状態となったのは周知の事実である。
しかし2007年12月の一夜限りの復活ライブ「GOD BLESS YOU~One Night Déjàvu~」(この舞台も東京ドームだった)を経て、2010年、ついに"REBOOT"を発表。メンバーは各ソロ活動と並行しながら、LUNA SEAを本格再起動させ、ファンたちは歓喜した。オリジナルアルバム『A WILL』、『LUV』を生み出し、主宰フェスの『LUNATIC FEST.』を2度開催し、見事にホストをこなした。結成30周年となる2019年には、10枚目のオリジナルアルバム『CROSS』をリリース。6度のグラミー受賞歴に輝き、ザ・ローリング・ストーンズやU2も手掛けた大物プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトを迎えたアルバムは、まさに世界基準の名盤として音楽史に刻まれたのである。
2020年には、同アルバム発売を機に30周年記念ツアーを開催するも、新型コロナによって公演中止の憂き目に遭う。度重なる延期を経て2022年にツアーはようやく完走したものの、RYUICHIが声帯の静脈瘤除去手術を受けるショッキングな事態に。活動休止を経て、2022年8月にようやく日本武道館での2DAYS公演で復活を果たしたのである。
「ERA TO ERA」でも行われた"黒服限定GIG"というコンセプトは、今回の東京ドームでも継承された。バンド黎明期のコンセプトライブとしておなじみだが、さまざまな年代の過去を行ったり来たりしながら、膨大なレパートリーを携えて旅をするLUNA SEA。彼らはまるでタイムトリップをしているかのように過去と未来を行き来する。度重なる困難にめげることなく、さらなる高みへ邁進してきた5人だ。2月23日は、彼らにとって特別な舞台である東京ドームに立ち、「LOVELESS」に始まる全19曲のセットリストは、まさにファン感涙のものだった。だが、ここでその詳細を紹介するのは避けよう。
ただ、ライブ中盤でセンターに設置された花道で、RYUICHIが絶唱する「VIRGIN MARY」は、まさに魂に響く歌声だ。そして、本公演では、これまでライブでは演奏されず"幻の名曲"とされてきた、「FAKE」がついに初披露されたこともお伝えしておこう。1994年に発表された楽曲が30年以上の時を経て"初演"されたことに感動を禁じ得ない。FAKEが蔓延する現代を予言していたかのように意味深な歌詞が耳に残るはず。
これ以上の説明は野暮というものだ。歴史的な本公演を見られなかった人には、今回のオンエアでLUNA SEAの新たな伝説をその目で確かめよう。そして幸運にも本公演を生で体験した人たちも、あの特別な夜の感動を映像によって再び呼び起こしてもらいたい。
文/渡辺敏樹